- マネックス決算説明会の内容
- 本日前場引け後のマネックスグループ決算発表にて、コインチェックの業績開示が行われました。これを受けてマネックス株は後場寄り付かず、ストップ高のまま引けまています。当ページでは、「個人投資家向けのオンライン決算説明会」での松本CEOの決算資料の解説と、視聴者していた個人投資家との質疑応答内容をまとめています。
決算説明会の内容
松本CEOは冒頭、マネックスグループ全体の注目ポイントとして、「元々のビジネスが好調であり、特にアメリカの口座数と預かり資産が、ブランド刷新と手数料体系の改定により右肩上がりに収益が向上した」と語りました。
以下、主な発言要旨になります。
- アメリカのEBITDA(営業利益相当額+減価償却費)は、2018年3月期4Q換算で48億円となり、3Qに続き過去最高と好調に推移
- 仮想通貨に関する『クリプトアセット事業』が、新たな主軸として追加された
- コインチェックの業登録(金融庁の認可)を1日でも早く済ませてサービスを全面再開させるため、全リソースを傾注している
- 顧客基盤の拡大を示す成果の一つとして、「R&Iファンド大賞 2018」で最優秀ファンド賞を獲得できた
- コインチェックがグループ入りしたことで前提が変化、セキュリティや人材強化を図り、新しい金融サービスへの投資を行うために総還元性向を75%に戻す
- インキュベーター及びエンジェルとしてベンチャー投資も進めており、業績の後押しやサービス改善に繋がる成果が出ている
- 今後も世界中の金融市場へのアクセスなどでセグメント間のコラボレーションを進めることで、企業価値を高めていく
質疑応答内容
以下、オンライン上で行われた一般投資家と、マネックスグループCEO「松本大」氏との質疑応答内容をまとめたものです。
当ページに記載されている内容については、リアルタイムの視聴に基づくため、ニュアンスの誤りなど聞き違いが含まれている可能性があります。
投資を行う場合、ご自身で情報を精査の上、自己責任でお願いいたします。
- ―仮想通貨の高い営業利益はキープできるのか
- スプレッド縮小など、諸要因によって営業利益率は低下すると考えられるものの、市場規模の拡大や顧客基盤を増やすことで仮想通貨最盛期と同等近い利益を出すことも可能ではないかと考えている
- ―配当と自社株買いについて
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配当と自社株買いのバランスについて、適宜適切に考える
この環境下で自社株買いも検討している
- ―仮想通貨を取り扱う金融商品の開発について
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税金を考えると、現状ではキャピタルゲインに対して総合課税がかかる。
源泉分離課税の対象になり得るので、マネックス証券のサービスとして仮想通貨を取り扱う金融商品を開発できれば、税制上のメリットになる可能性がある
- ―コインチェックのウォレットで交通機関の決済など行えるようになるか
- 今後そのような構想もある
- ―マネックスの口座からコインチェック銘柄を買える可能性は
- そのようなサービスも今後考えていきたい
- ―仮想通貨研究所の研究は進んでいるか
- 研究が進んでおり、今後充実させていく
- ―日米ビジネスにおける中期目標について
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現在のグループ全体のトップラインが500億円ほどだが、桁を変えていくのが当然だと考えている
(時価総額など)数倍の成長を目指していく
- ―コインチェックはいつ再開されるのか 業登録に向けての障害は
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内部管理体制をしっかりして金融庁に認められるにあたり、特別な障害があるとは考えていない
高い確度で登録されると信じているが、最終的には金融庁が決めることなので、全力を尽くすのみ
- ―コインチェックは在庫を保管しているのか
- よく誤解されているが、コインチェックは在庫は保有していない
- ―仮想通貨事業に投資できないとして、資金を引き上げる機関投資家がいると聞いたが
- 実際に世界中の機関投資家と話しているが、そのような事実はない
- ―新しいサービスについて
- 仮想通貨を使用した、リアルタイムかつグローバルな決済サービスも作っていきたい
- ―アーンアウト条項は暖簾として計上されるのか
-
アーンアウトは暖簾ではない
利益の中から、費用として引いていくだけ
- ―顧客流出については
- 現状では新規口座開設手続きを止めているので、緩やかな顧客流出はもちろんあるが、現時点で強固な顧客基盤があり大きく問題視はしていない
- ―将来の時価総額は
- 現時点では答えかねるが、目標としては数倍にしていきたいと考えている
- ―セキュリティ対策にかかる費用は
- 自己資本で十分賄えるので、新株予約権の一種である「MSワラント(Moving Strike Warrant)」などの増資は一切考えていない
- ―株価維持について
- しっかりとIRを行い価値を伝えるとともに、しっかりと結果を出していくことが肝要だ
- ―特別優待について
- 検討中だが、今後も積極的に考えていきたい
- ―コインチェック事件関連の訴訟リスクについて
-
裁判の訴状について届いているのは現時点では数える程で訴額も極めて限定的。
もちろん今後さらに増えるか不明だが、過去の事例などさまざまな事項を法律事務所の専門家が相当保守的に考えても、最大20億円程度ではないかという計算が行われている。
- ―コインチェックの海外支部を開設する可能性は
- 金融庁の業登録後は、そのような方向性も考えていく
- ―独自の仮想通貨トークンの発行は
- 独自のトークン発行は、将来考えていきたい
- ―仮想通貨の人材育成とセキュリティ
- 相応に必要なもの。惜しみなく資金を投入したいが、グループ全体の収益力から考えると限定的と考えている
- ―現在の株価について
- 相場へのインプリケーション、サムオブザパーツ(各事業の利益に対し、PERを用いることで企業の適正株価を測る手法)として合理的に考えると、現時点でも自社株買いを検討する段階にある。
- ―アルトコインの新規取り扱い(上場)について
- まずは金融庁の認可である業登録が先決。金融庁と相談しながら、追加の取り扱い(通貨上場)も検討する
- ―ベンチャーキャピタルへの投資金額は
- ポートフォリオの簿価は10億円ほどであり、しっかり回収もしているので大した額ではない
- ―機関投資家の反応は
- 私が話している限りでは、かなり好評を得ている
- ―3月単月の利益は下がるのか
-
2-3月で営業利益が出ている。2月は契約上止められなかった、CMコストで出ていった部分がある
収益が多く費用が少ないため、むしろ3月の方が利益は多いと考えて間違いない
- ―業界1位を目指すのか
-
SBI証券や楽天証券に抜かされたのは大変残念であり、悔しい
今後は、総合金融としてNo.1を目指していく
- ―(競合他社と比較して)コインチェックの優位性は
-
UIの出来や操作感覚については、大きな優位性だと考えている
コインチェックのエンジニアと経営陣の技術力は大変高い。不足分は我々が補完していく
- ―仮想通貨取引業者は銀行と同じような自己資金比率になるか
- コインを所有していることで、銀行と同じような仕組みになる可能性もある
- ―大きな機会損失があっても、再開後にシェアを伸ばせるのか
- コインチェックの優れたUIやブランドがあるので、伸ばしていけると考えている
- ―掲示板などのネガティブキャンペーンや風説の流布について
-
風説まがいの書き込みについてはどうしようもない部分もある
SNSなどのフェイクニュースがあるという注意喚起や情報リテラシーを高める取り組みは考えていきたい
- ―日本と海外どちらが反響あったか
- 日本と同等以上に、海外の反響も本当にすごい
免責事項
当ページに記載されている内容については、リアルタイムの視聴に基づくため、ニュアンスの誤りなど聞き違いが含まれている可能性があります。
投資を行う場合、ご自身で情報を精査の上、自己責任でお願いいたします。
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