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公認会計士が考察:4〜6月期決算から強制適用の仮想通貨新会計基準の次なる実務課題

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

新しい会計基準が4~6月に強制適用
仮想通貨に関する新しい会計基準が、2018年4〜6月期決算から上場企業に強制適用されます。上場企業は四半期末時点で保有仮想通貨を厳密に時価評価する必要が出てきました。
公認会計士 姥貝賢次氏が仮想通貨新会計基準の次なる実務課題を考察
貸借対照表のどの区分に計上するか、送金手数料はどの様に処理するか、ICOに関する会計処理が定められていないと、実務を踏まえて考察しました。

日経新聞社によると、仮想通貨に関する新しい会計基準が、2018年4〜6月期決算から上場企業に強制適用されるとのことです。

従来まで仮想通貨を貸借対照表へ計上する明確なルールはありませんでしたが、今回の新会計基準によって、上場企業は四半期末時点で厳密に時価評価をする必要が出てきました

  • 今回の新会計基準についての解説
  • それによって考えられる課題
  • 今回の新会計基準が導入されても残る課題

の3点について、この記事で解説していきます。

新しい会計基準

今回、日経新聞でいうところの新しい会計基準とは、日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)が3月に公表した「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取り扱い」に該当します。

まず仮想通貨取得時の計上について、仮想通貨取得時の価格(原価)で貸借対照表に簿価計上を行います。

その後、四半期末ごとにその時点の価格(時価)で、前期末(取得時の四半期決算であれば取得時の価格)に比べて、仮想通貨の価格(時価)が上がっていれば、資産を増やし差額を利益として計上し、価格(時価)が下がっていれば、資産を減らして差額を費用として計上する事になると解説されています。

資産変動リスク

出典:Shutterstock

また日経新聞の記事では、今回のこの新しい会計基準導入によって上場企業による資産変動リスクを指摘しています。

仮想通貨は既に周知の通り、ボラティリティ、すなわち価格の変動が非常に大きい事で知られます。

上場企業が仮想通貨交換業や、仮想通貨の取り扱いなどをすると、その保有量によっては会社の資産や決算内容に影響が大きいだけでなく、ROAやPBRといった投資の指標の意義が薄れるとの懸念が同記事でも上がっています。

今回の新しい会計基準について、公認会計士であり、ブロックチェーンやフィンテックの分野でも活躍されているカウンティア株式会社 代表取締役 姥貝賢次氏は、CoinPostの取材に対し、以下の通り回答しました。

姥貝賢次氏の考察する次なる実務課題

今回の会計基準では「仮想通貨を期末時価評価する。評価差額は損益計算書に計上する」という方針が定められた点で、大きな方針を示したものと考えられます。

一方で「次なる実務課題」として、下記の3つが挙げられます。

課題①:仮想通貨は貸借対照表のどの区分に計上したら良いのか?

貸借対照表の資産の部には「流動資産、固定資産及び繰延資産」という区分がありますが、どの区分に計上したら良いかは現実点では明確になっていない為、実務上で更なる議論が必要です。

課題②:仮想通貨の送金手数料はどの様に処理したら良いのか?

仮想通貨を送金した場合、仮想通貨の一部は手数料として削られて相手側に届くことが通例です。

この手数料の会計処理についての取り扱いは現時点で明確になっていない為、実務上で更なる議論が必要です。

課題③:ICOに関する会計処理は未だ定められれていない

企業が自社で発行した仮想通貨の会計ルールは未だ策定していません。

その理由は「ICOの実態を網羅的につかめていないため」とされていますが、ICOプロジェクトを進める事業者にとっては、会計処理の方法が次なる実務課題として残っています。

この様に、仮想通貨の会計基準は大きな方向性が定められたものの、最先端の実務で発生する種々の活動の全てに対して答えを示すものではありません

仮想通貨は進化を続ける領域であり、新たな可能性にチャレンジを続ける事業者にとっては、さらなる会計基準の進化が求められています。

まとめ

会計にかかわらず、法整備から税務と仮想通貨の影響力が、ルールづくりよりも早く、予想以上に大きくなってしまい、未だ整っていません。

一方で、今回のニュースは少しずつ進んでいることの表れでもあります。

ルールや規制は一定以上は必要で、ある程度のルールがあるからこそ活発な経済活動ができます。

しかし、過度に規制をしすぎたり、利用やビジネス展開を阻害してしまうような規制については多くの反発を招く恐れがあります。日本が明確なルールを作ることができれば、そのルールの中で仮想通貨の健全な発展が可能であり、世界中の事業者を呼び込む流れも出来るでしょう。

新しい経済圏の可能性を摘まない為にも、ブロックチェーンや仮想通貨に精通されている方がレギュレーターサイドに働きかける必要があるだけでなく、レギュレーターサイドも仮想通貨の未来を示していくことが必要ではないでしょうか。

カウンティア株式会社について

会社名 カウンティア株式会社
代表 姥貝賢次氏
所在地 東京都渋谷区
URL https://countir.jp/
事業内容 Fintech開発、財務戦略企画、2017年11月に株式会社VOYAGE GROUP(東証一部)と合弁で、仮想通貨関連事業を展開する新会社「カウンティアバンク株式会社(https://countirbank.jp)」を設立
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