- FX業界から仮想通貨業界へ流入?
- 2017年度の取引高は、現物と信用取引等合わせて約69兆円と昨年度の約20倍に膨れあがりましたが、日経新聞によると、FXの規制強化、また円相場の膠着といった要因で、仮想通貨取引に個人マネーが向かったと指摘されています。
FXから仮想通貨へ流入?
日本仮想通貨交換業協会のデータによると、2017年度の取引高は、現物と信用取引等合わせて約69兆円と昨年度の約20倍に膨れ上がっています。
また、金融先物取引業協会によると、17年度の店頭FX取引金額は4179兆円で、16年度比15%減となり、2年連続で減少したことが明らかになっています。
仮想通貨取引高の約69兆円という数字は、株式の約280兆円には及びませんが、約30兆円の上場投資信託(ETF)、約2兆円の不動産投資信託(REIT)を大きく上回っています。
日経新聞によると、FXの規制強化、また円相場の膠着といった要因で、仮想通貨取引に個人マネーが向かったと指摘されています。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、日経新聞の取材に対し、投資家数でも「FXを上回った可能性が高い」と発言しました。
相場変動の少なさが顧客の熱を冷ますか
順調に見える一方で、2018年の仮想通貨の市場は芳しくありません。
ビットコインは、昨年12月に200万円を超え、2万ドル付近まで上昇した後、現在は90万円台にまで価格を落としています。
また、トランザクション数の推移も、2016年第三四半期(7~9月)水準まで落ち込み、今年3月には1日取引高が過去2年で最低を記録しました。
FXや他業界からの流入者、また新規参入者が落ち着いた相場を見て落胆を覚えている、と指摘する投資家も存在します。
日本では住民税の10%を含め、仮想通貨の最高税率は約55%で、FXは一律20.315%であるため、他相場よりも魅力的な点が減ってしまえば、他業界へ移る人が増える可能性があります。
また、4月までとは違い、5月からは回復傾向にありましたが、仮想通貨最大級のカンファレンス「Consensus2018」で期待された値動きが発生しなかった事、モナコインへの攻撃事件、またマウントゴックスの売り圧力懸念などもあり、投資家の期待が裏切られた形になっています。
一方で、規制の整備や大企業からの注目が集まることで順調に健全化が進んでいるとする意見もあります。
仮想通貨交換業者の自主規制団体設立、仮想通貨の新会計基準の4~6月強制適用など、それぞれの問題点は各所で指摘されつつも、ゆっくりと進行しています。
現在、日本は世界から仮想通貨先進国とみられていますが、2018年第一四半期は日本発のICOが0件との調査結果も出ており、他国との仮想通貨・ブロックチェーン技術競争に遅れが生じているとの声が挙がっています。
業界整備の進行度の遅れはそのまま業界発展の遅れに繋がる可能性もあり、他国で進められている仮想通貨税制の改革(有識者からは仮想通貨の少額決済は非課税にすべきとの意見も)やICO規制含め、整備の速度を上げることが求められます。