TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

プロが解説:ビットコインのオプション建玉から仮想通貨マーケットを読む

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
※このページには広告・PRが含まれます

オプションの建玉情報からマーケットを読む

仮想通貨市場でも伝統的なアセットクラスと同様の商品ラインナップが揃いつつあります。その中でも「オプション取引」というものが早い段階で個人投資家でも利用できるようになりました。

しかし、オプション取引に対して馴染みのないユーザーも多いことでしょう。しかしオプション取引を利用しなくてもオプション取引を行なっている投資家のフローというものは、ダイレクトにスポット市場(直物取引・現物取引)に影響を与えるものです。そのため、仮想通貨取引を行う上では、オプション取引のプレイヤーが行なっている基本的な情報や動き方を理解するべきでしょう。

ここではオプション取引のデータから何が読み取れるのか、そしてどのような投資行動が予測できるのかを解説したいと思います。

オプション取引とは?

まずオプション取引とは何かについて解説したいと思います。

オプション取引とは「ある一定の期日に定めた価格で売買する権利を売り買いすること」です。あくまで「権利」を売買しているだけであり、現物は一切売買していません。(※オプションの権利を行使するタイミングで現物決済が発生します。)

その将来の権利の売り買いをする投資家のヘッジフロー等がスポット市場に影響を与えるという一部をここでご紹介したいと思います。

オプションの基礎用語

次に、オプション取引における基礎用語についてそれぞれ解説します。

ストライクプライス

ストライクプライスとは「権利行使価格」のことを指します。文章では「10,000ドルのストライクが満期を迎えます」というような言葉で使われたりします。これは10,000ドルの権利行使価格の満期が到来するということを意味しています。

コール/プット

「コール」とは買う権利を指しており、「プット」とは売る権利を指しています。「BTCUSD10,000ドルのBTCコールの買い」という文章の意味は「BTCを10,000ドルで”買う権利”を購入する」という意味です。プットはその逆となります。

ATM(アットザマネー)

これは原資産価格とオプションの権利行使価格(ストライク)価格が同じ状況を指しています。これが意味するところは、「その状況はオプションの本質的価値は0」ということを意味しています。

この他ITM(インザマネー:本質的価値がプラスの状態)やOTM(アウトオブザマネー:本質的価値が0)という言葉もあるため、併せて覚えておきましょう。

オプションの建玉情報の見方

ここから、オプションの建玉情報からどのようなマーケット心理が読み取れるのかを解説していきます。

下記は、仮想通貨トレーダーがTwitterでフォローしている「BTC情報アラート」から抜粋した画像を使って説明します。

拡大可

まず画像の説明から行います。

画像の左側が「ストライク別のコールとプットの建玉の総数」です。真ん中の棒グラフは「ストライク別のコール(左)とプット(右)それぞれの建玉」になります。

右側は「7日間におけるストライク別のポジションの増減」を示しています。最後に下段は「put/call ratio(プット・コールレシオ)」です。これは簡単に説明すると「オプション市場でどちらにマーケットが傾いているのか」を示しているものです。

では、上記のポジション状況を実例として、ここから10,000ドルまでスポット価格が上昇した場合を例に考えてみたいと思います。

上図から、オプションの建玉一覧から10,000ドルストライクのポジションが積み上がっていることが把握できます。

このポジションのロング/ショート比率まではわかりませんが、もしcallポジションのショートを持っていたケースを仮定した場合、

  • callを誰かに売っており、「買う権利を売る=相手に権利行使され場合、その価格で売る必要がある」という状態

つまり「BTC価格が期日に10,000ドル以上の価格まで上昇していたとしても、10,000ドルで売らないといけない=上昇した分損失を被る」ということになります。

では、その場合どのような動きになるでしょうか?

1. callの売りポジションを保有している大口投資家の場合、原資産価格(スポット価格)の市場で強引にショートポジションを作りながら、期日の時間まで力技で10,000ドルに到達しないようなトレードをする

2. 10,000ドルを超えてそのまま上昇した場合におけるリスクを排除するため、callの売りポジションのリスクヘッジのために、スポット市場でロングを作り、10,000ドル以上の損失部分にヘッジを行うトレードをする

この2つがあると考えましょう。

1のケース

1.のパターンとしては、callオプションをショートしている機関投資家が期日ギリギリになった時に、巨額の売り注文を出してレートを下げるというようなケースが考えられます。

外国為替市場は巨大な流動性があるため、強引にポジションを作ってレートを操作するのは大変なことですが、選択肢としてパワープレーを行う場合もあり得ます。ましてや現在の仮想通貨市場は、外国為替市場と比較すると、まだまだ流動性が低く市場規模も小さいです。

一方「期日が分単位で迫っている中で、ATMに近い場合に限り、残り少ない時間を耐え忍ぶために行なっている」だけであり、このようなケースは多くはないとも言えます。もしもこれで無理にスポット市場でもショートポジションを作ると、その後上昇した場合オプションで損失を被りながら、スポット市場のショートポジションでも二重に損失が出るため、大きな損失が出てしまいます。

2のケース

2.のケースは、マーケットでもよく発生する投資家の動きになります。

10,000ドルを超えると、オプションの損失部分をヘッジするためにロングポジションを構築する動きがオプションプレイヤーから発生します。つまり上昇トレンドで10,000ドルを超えて上昇し、callオプションを売っているプレイヤーからリスクヘッジの買いフローが出始めると、価格の上昇速度がより加速し、一気にブレイクアウトする動きが出やすいということです。

筆者自身もcallオプションを売っていて、上昇トレンドが継続すると考えた場合は、10,000ドル以上でロングポジションを作りオプションのリスクヘッジのトレードを行うでしょう。

このトレードにより、一旦は10,000ドルを超えた部分に関しては損失は出ないことになります。しかしこの時点でcallオプションを売っている投資家はかなり不利な状況です。

もしも価格が10,000ドルを再度下回ってくる動きとなると、リスクヘッジのために10,000ドルよりも上で保有したロングポジションは損失が出始めます。つまり10,000ドルよりも高い位置でロングポジションを作った場合、そこで損失がある程度確定することになります。

今回は実例として10,000ドルのcallポジションが積み上がっていることからご紹介しましたが、これはストライクが下のputでも同様の投資家フローが発生するため理解しておきましょう。

マグネット効果

オプション市場の重要な動きで「マグネット効果」と呼ばれるものがあります。これは巨大なピン(オプションの建玉が大きいストライクのこと)に吸い寄せられるように、そこからなかなか価格が離れない動きを指しています。

拡大可能

例として、先ほどの10,000ドルの大きいピンを例に考えてみましょう。もしも10,000ドルのコールオプションを買って保有している場合、10,000ドルを超えた部分については利益となります。

しかし、オプションは期日のみ権利を行使できるタイプ(ヨーロピアンタイプ)といつでも行使できるタイプ(アメリカンタイプ)の2種類があります。個人でトレードできるのはヨーロピアンタイプが多く、期日のみ権利行使ができるパターンです。

この場合、権利行使前に10,500ドルまで上昇したとすると、コールの買いを保有している場合、ここでオプションで購入した総量の半分だけ利益確定したいと思う投資家も多くなります。その場合にスポット市場でショートポジションを作成します。

このようなフローが様々な投資家から湧き出てくるのが、巨大なピンの付近で多くなることが予想できるでしょう。

これはputの買いを保有している投資家も同様です。期日が近づいてくる中で9,800ドル辺りまで下落し、再度10,000ドルまで戻ると利益がなくなってしまいます。

その可能性が高いと思えば、9,800ドルでロングポジションを構築し10,000ドルで利益確定することで、200ドル利益を上げ、また9,900ドルまで下落すれば再度ロングポジションを作り、10,000ドルで利益確定をするというフローが繰り返されます。

このように期日が近づいてくる中で、ピンを挟んで両サイドから細かいポジション操作が行われるため、磁石のマグネットのように10,000ドル付近に価格が行ったりきたりしながら収斂することを「マグネット効果」と呼んでいます。

オプション市場はスポット市場に影響することを頭に入れておく

これまでの説明からオプションプレイヤーのポジションが、現物取引のスポット市場に影響を与えていることはイメージがついたのではないかと思います。そのため、巨大な建玉が積み上がっているストライクのポジションはチェックしておくべきでしょう。

今回はオプションのポジションやトレーダーがどのような意図でポジション操作を行なっているのかを中心に解説しました。この心理的背景を理解することが大切なので、投資家心理を常に考えて価格の値動きを見ながら調べることが大切です。

「オプショントレーディングはしないから関係ない」と思わず、オプションプレイヤーの背景を理解することで、マーケットの動きの理解がより深まることになります。基礎知識をしっかりと覚えておくことで、今後のトレードの役に立つことでしょう。

本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11/23 土曜日
06:45
米マラソン、転換社債販売で1500億円を調達 5771BTCのビットコインを取得
ビットコインをさらに買い増し 米マイニング大手のMARA Holdings(マラソン)は23日、2030年満期のゼロクーポン転換社債10億ドル(1500億円)の発行を完了し、そ…
11/22 金曜日
20:30
XRPのETF承認はどうなる?市場価格への影響を分析
トランプ次期政権下でのXRP現物ETF承認の可能性を詳しく解説。SEC委員長交代や規制緩和への期待、市場への影響を専門家の見解とともに分析。ビットコイン、イーサリアムに続く承認タイミングと価格への影響を予測します。2025年のXRP市場展望を徹底解説。
15:00
仮想通貨XDC(XDC Network)の買い方と将来性は?
ハイブリッド型ブロックチェーンを採用する仮想通貨XDCの特徴や将来性を解説。SBIとの提携や買い方、リスクについても詳しく紹介します。
13:50
米SEC敗訴、連邦地裁がディーラー規則は無効と判断 「仮想通貨業界全体にとっての勝利」
米連邦地裁がSECのディーラー規則を無効と判断し、SECの敗訴が確定した。原告の米ブロックチェーン協会CEOは、この判決は仮想通貨業界全体の勝利であると表現。ディーラー規則は分散型金融に重大な影響を与える可能性が危惧されていた。
13:10
トレードの機会損失を最小限に、メタマスクがイーサリアムガス代込みスワップを新たに導入
仮想通貨イーサリアムの主要ウォレットMetaMaskは新機能「Gas Station」の導入を発表した。ガス代不足によってスワップが中断されることを防ぐものである。
11:26
チャールズ・シュワブ次期CEO、規制緩和で仮想通貨現物取引への参入示唆
米大手ブローカー、チャールズ・シュワブの次期CEOが、規制環境の変化があれば仮想通貨現物取引へ参入すると述べた。トランプ新政権に期待する格好だ。
10:10
仮想通貨擬人化BCG「コインムスメ」、板野友美がアンバサダー就任
タレントの板野友美氏がWeb3ゲーム「コインムスメ」のアンバサダーに就任。板野氏プロデュースのアイドルグループとのコラボユニットも結成する。
09:55
Suiブロックチェーン、稼働停止の原因や対策を公表
約2.5時間稼働を停止していた仮想通貨SUIのブロックチェーンが復旧。その後、原因や今後の対策を公表している。
08:20
マイクロストラテジー、ビットコイン追加購入のための30億ドル調達を完了
米マイクロストラテジーは21日に仮想通貨ビットコイン追加購入のための、2029年満期の無利息転換社債の募集を完了したと報告した。
07:50
金融庁、仮想通貨仲介業の新設を検討
仮想通貨のイノベーションと利用者保護の両立に向けて、金融庁が仲介業の新設を検討。この会議ではステーブルコインも議題に上がった。
06:45
トランプ氏のメディア企業、「TruthFi」仮想通貨決済サービスの商標出願
トランプ次期大統領が保有するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは今週、デジタル資産取引やその他決済処理サービスのプラットフォーム「Truthfi」の商標出願を行った。
06:25
SECがソラナ現物ETFの審査開始、2025年承認へ期待高まる
米証券取引委員会はソラナ現物ETFの上場申請に関する審査を開始したようだ。SOLは本日8%上昇している。
06:08
トランプ次期政権の仮想通貨諮問委員会、ビットコイン準備金設立の可能性=報道
トランプ次期大統領が提案した仮想通貨諮問委員会は、米国のビットコイン準備金を設置する可能性があると報じられた。
05:45
ソラナが史上最高値更新、XRPも急騰、ゲンスラーSEC委員長の退任確定を受け
仮想通貨のソラナやXRPなど、SECが規制の標的としている銘柄は22日、ゲンスラーSEC委員長の退任が確定したことを受けて大幅に上昇した。
11/21 木曜日
17:00
BitwiseがソラナETF準備開始 デラウェアで信託登録完了
暗号資産運用大手Bitwiseが、ソラナ(SOL)ETF組成に向けデラウェア州で信託登録を完了した。VanEck、21Sharesに続く参入となる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧