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量子コンピュータの脅威から休眠ビットコインを守る新提案「PACTs」、サトシの資産も対象

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 量子脅威からBTC休眠資金を守る新提案「PACTs」が公開
  • オンチェーン取引を伴わずに秘密鍵の所有を証明し資産を保護

量子脅威から休眠資産を保護する新提案「PACTs」

仮想通貨ベンチャーキャピタルであるパラダイム(Paradigm)社のダン・ロビンソン研究員は1日、将来の量子コンピュータの脅威からビットコインの休眠資金を保護する新たなモデル「PACTs」を提案した。

この提案は、ビットコインの創設者であるサトシ・ナカモトが保有する推定750億ドル相当の資産を含め、初期から動かされていない資金を安全に守ることを目的としている。

ビットコイン開発者の間では4月15日、旧来の署名方式を数年後に無効化して量子耐性アドレスへの移行を促す「BIP-361」という改善提案がドラフト公開されていた。しかしこの移行プロセスでは、長期保有者が資産を移動させる際にオンチェーン上で取引履歴が公開されてしまい、プライバシーが損なわれるという重大なジレンマが存在している。

今回提案されたPACTs(証明可能なアドレス制御タイムスタンプ)は、保有者が資産を移動させることなく秘密鍵の所有権を証明できる仕組みを提供するものだ。利用者はブロックチェーンのタイムスタンプ機能を活用して自分がウォレットを管理している証拠を記録し、将来的に量子耐性を備えたネットワーク上で資金を回収することが可能になる。

関連記事:量子脆弱なビットコインの凍結計画、BIP-361が3段階移行を提案

BIP-361を公開。量子脆弱な約170万BTC(約11兆8,000億円)を段階的に凍結する計画で、サトシ推定保有分も対象。コミュニティは強く反発している。

プライバシーの確保と時間制限への懸念

このモデルではオープンソースプロトコルなどの技術が用いられており、保有者は自身の公開鍵や取引情報をネットワーク上にブロードキャストする必要がない。資産の所有者はオンチェーンでの活動履歴を残さずに準備を進めることができるため、匿名性を維持したまま将来のハードフォークや緊急のアップデートに備えることができる。

同研究員は今回の提案について、ビットコインが直ちに旧来署名の無効化を決定する必要はないと自身のブログ記事で説明している。ユーザーに対しては、将来的に保護措置が必要となった場合に備えてあらかじめ所有権を証明する手段を提供し、事前の自己防衛を促す意図があるとしている。

現在、公開鍵がオンチェーンに露出しているビットコインは全体の3分の1を超えており、量子攻撃による資産喪失のリスクにさらされている。

先週には独立系の研究者が量子ハードウェアを使用して15ビットの楕円曲線鍵を導出する実証実験が行われており、暗号解読に向けた技術は着実に進展している。

関連記事:量子コンピューターで15ビットの暗号解読に成功、研究者が1BTCの報酬獲得

プロジェクト・イレブンは、独立研究者が一般的にアクセスが可能な量子コンピューターで15ビットの楕円曲線鍵を解読したと発表。報奨金として仮想通貨ビットコインが1BTC与えられた。

現代の暗号技術が量子コンピュータによって突破される「Qデー」の到来時期については、専門家の間でも見解が分かれている。実用的な攻撃まで数十年かかると主張する声がある一方で、グーグルの研究チームは2029年頃までにポスト量子暗号への移行が必要になると予測している。

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