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ETH・SOL・HYPEをファストフードチェーンに例えると? アークインベストがL1のビジネスモデルを分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • ヴァレンテ氏がL1を外食業に例えた
  • イーサリアムの地代収益は僅少と指摘

L1ブロックチェーンとファストフードの類似性

米投資運用会社アークインベストの暗号資産(仮想通貨)リサーチディレクター、ロレンツォ・ヴァレンテ氏は2日、Xで長文の分析を公開した。主要レイヤー1(L1)であるイーサリアム、ソラナ、ハイパーリキッドについて、ファストフード業界との類似性に着目し、それぞれが「根本的に異なるビジネスモデル」を持つと指摘している。同氏は、3つのL1を同じビジネスモデルの異なる形態として比較するのではなく、それぞれの事業構造や価値の獲得方法に応じて、個別に評価すべきだと主張した。

ヴァレンテ氏は、イーサリアム(ETH)をマクドナルド、ソラナ(SOL)をチポトレ(Chipotle)、ハイパーリキッド(HYPE)をイン・アンド・アウト(In-N-Out)にそれぞれ例えた。これらは人気ファストフードチェーンという共通点を持つ一方、店舗の所有形態や運営手法、収益構造は大きく異なる。

チポトレ(Chipotle)とは

全米展開する人気のメキシコ料理チェーン。フランチャイズを一切使わず、全店舗を自社で直接所有・運営する「完全直営型」経営により、高い収益性と運営品質を維持している。

イン・アンド・アウト(In-N-Out)とは

1948年創業の米西海岸発ハンバーガーチェーン。株式非公開・VC資金なしのプライベート経営を貫き、限定的な店舗展開と絞り込んだメニューで高い顧客忠誠度と利益率を誇る。

イーサリアム=マクドナルド(フランチャイズ+地主モデル)

マクドナルドの収益の源泉はハンバーガーの販売そのものではなく、ブランドやオペレーションシステム(OS)を提供し、加盟店(フランチャイジー)からロイヤリティや地代(不動産収入)を徴収するビジネスモデルにある。フランチャイジーが店舗を建設・運営し、売上の一定割合を本社に還元する。

イーサリアムも同様の構造を持つ。ブランド(信頼性・分散性)、OS(EVMおよび開発者コミュニティ)、不動産(ブロックスペースと最終決済機能)を提供し、その上でアービトラムやベースなどのL2事業者が独自にインフラを構築・運営する。

このモデルの強みは、イーサリアム自体がすべてのネットワークを構築することなく、外部の資本とチームを活用してエコシステムを拡大できる点にある。実際、ロールアップを中心とした拡張戦略によって、イーサリアムは多数のL2を抱える巨大な「フランチャイズ網」を形成した。

しかし、ヴァレンテ氏が問題視するのは、その見返りとしてイーサリアムが受け取る「地代」が極めて小さいことだ。特にEIP-4844以降は、L2が利用するblobの手数料が限界費用に近い水準まで低下し、L2の活動がイーサリアムの収益に結びつきにくくなった。

「最も成功したフランチャイズ網を築いたのに、家賃を請求するのを忘れた」と同氏は語る。価値の大半がL2やその上のアプリケーション層(ロビンフッドなど)に流出しており、L1側へのプロトコル収益還元が課題となっている。

ソラナは「完全直営型」

ソラナ=チポトレ(完全自社運営モデル)

チポトレは全店舗を自社で所有・運営し、店舗売り上げマージンを100%自社に残す。ユニットエコノミクス(1取引あたりの採算性)が強く、自己資金で事業を拡大できる一方、運営上のリスクをすべて自社で負う。

ソラナの設計もこの完全直営モデルに近い。すべての取引がL1上で処理され、基本手数料や優先手数料、MEV(最大抽出可能価値)によるチップなどから生じる経済価値は、ネットワーク内にとどまる。その一部はバリデータやステーカーに還元されるほか、基本手数料の一部はバーン(焼却)される。

ただし、すべての処理を1つのレイヤーで完結させるため、障害発生時にシステム全体の停止につながる「単一障害点リスク」を抱える。また、ソラナの拡張速度は、自社のエンジニアリング能力と資金力に大きく依存する。ファイアダンサー(Firedancer)などのクライアント改善やネットワーク自体の性能向上を自前で進める必要があるためだ。

ハイパーリキッド=イン・アンド・アウト(非公開・限定集中型モデル)

イン・アンド・アウトは、外部ベンチャーキャピタル(VC)の資本を受け入れず、フランチャイズ化も拒否し、厳選されたメニューと少数店舗で高いブランド力と高利益率を維持している。

ハイパーリキッドも同様に、VC資金に頼らず少数精鋭のチームで運営され、無期限先物(パーペチュアル)のオンチェーン・オーダーブックというコア製品に特化している。

取引手数料の大部分がアシスタンスファンドに自動的に流れ、HYPEトークンを継続的に市場から買い戻すなど、短い経路で直接的な価値捕獲(Value Capture)を実現している。独自規格「HIP-3」等で限定的な拡張を試みつつも、コントロールを保持する設計をとる。

一方で、他のL1と比較した際のスケーラビリティの限界や、チームおよび特定のキラーアプリへの集中リスクが存在する。

L1競争の本質

ヴァレンテ氏は、「どのL1が勝つか」ではなく「どのビジネスモデルを選び、曖昧さなく実行できるか」が価値を左右すると主張する。マクドナルドとチポトレが異なる戦略でそれぞれ成功を収めたように、すべてのL1が同じビジネスモデルを採用する必要はない。

一方で、ファストフード業界の歴史が示す通り、事業モデルに戦略的曖昧さが生じれば、成長性や収益性、ひいては競争力までも損なうリスクがある。重要なのはモデルの選択そのもの以上に、自らが採用した構造を明確にし、提供する価値に見合った価格(手数料等)を設定したうえで、一貫して実行し続けられるかどうかにかかっていると、同氏は結論づけた。

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