- Ripple社 Stefan Thomas氏の発表
- レストランで食べ物をお金で払うように、直接的な等価交換をウェブで可能にするために、Interledgerを設立しました。Interledgerはインターネット上の情報の速さで決済を行うことが目的で、XRPとInterldgerを組み合わせたことでこれは現実となりました。
- TenX社 Co-founder Paul Kittiwongsunthor氏の発表
- TenXはより多くの店舗で仮想通貨を利用できるように、企業の第一製品である仮想通貨対応のデビットカードを発表しました(特定の国では既に利用可能。日本導入は未定)。最終的なゴールは世界中の方に仮想通貨を利用させることとのことです。
- 孫泰蔵氏とーサリアム財団Executive Director宮口礼子氏の発表
- イーサリアム財団のミッションはイーサリアムの開発、リサーチ、教育やコミュニティの活動支援です。孫泰蔵氏は、世界を変えようと言うムーブメントが起きており、その証拠の一つがイーサリアムの誕生だと述べました。
今記事は3月28~29日の二日間にかけて開催されるSlush Tokyo 2018の1日目の内容をまとめた参加レポートです。
早速Slush Tokyo 2018に、CoinPost編集部も参加致しました。
Slush Tokyo 2018は世界最大級のテクノロジー・国際起業家・スタートアップイベントです。
会場では様々な企業の出展ブースや著名人によるプレゼンテーションが行われます。
今年は仮想通貨やブロックチェーンに触れるプレゼンテーションが多く見られ、について発表され、多くの方がその知識を深めようと熱心に聞き入っていました。最終的なゴールは世界中の方に仮想通貨を利用させることです。
そんな中CoinPost編集部が選抜したプレゼンテーションの内容をレポートしたいと思います。
- 目次
Ripple社 Stefan Thomas氏のプレゼンテーション
ステファン・トーマス氏は2010年からビットコインに興味を持ち、その理由として決済に対してある強い思いを抱いてるためだと述べました。
2006年彼がロンドンで広告代理店を運営していた頃、世界各国のフリーランスデザイナーとビジネスをしていていました。
ある日、利用していた送金業者がパキスタンから撤退してしまい支払いができないためパキスタンのデザイナーと仕事を打ち切る事を決断した時、心が痛んだと言います。
この経験もあり、Bitcoinに関り今ではRipple社に勤めています。
次に彼は現状のウェブのビジネスモデルが崩壊していると指摘しました。
既存のウェブの収益は広告、サブスクリプションなどがありますが、これらは全て崩壊状態だと言います。
ウェブを利用したとき、特定のウェブサイトは利用者に価値のあるコンテンツを提供しますが、利用者がウェブに等価のものを返す方法がないので、価値のフローは一方通行になります。
それをカバーするためにウェブサイトは利用者が求めていない広告やフィッシングを使って収益を得ます。
しかし利用者はこれらの広告を求めていないためにAdBlockerのような広告ブロッカーを使いますが、ウェブ運営側は広告からの収益がなくなればコンテンツそのものの価値が無くなるため、広告ブロッカーのブロッカーを導入します。
これはStefan氏が指摘するウェブのビジネスモデルの問題点です。
レストランで食べ物をお金で払うように、直接的な等価交換をウェブで可能にするために、Interledgerを設立しました。
Interledgerはインターネット上の情報の速さで決済を行うことが目的で、XRPとInterldgerを組み合わせたことでこれは現実となりました。
まだ開発の途中ですが、Interledgerを利用することは可能です。
プレゼンテーションの中で、既に利用可能なInterledgerのプロダクトとしてInterledger JS、Minuteなどを紹介しました。
TenX社 Co-founder Paul Kittiwongsunthor氏のプレゼンテーション
Paul氏はTenX社の共同設立者であり、現在はオフィスがあるシンガポールに在住していますが、出身はタイで過去に4年間日本に住んでいたこともあるそうです。
Paul氏の今回のプレゼンテーションでは、TenXの立ち上げから企業理念を紹介しました。
初めにPaul氏は仮想通貨の利便性を上げるには、大衆向けのサービスやプロダクトが必要だと述べました。
TenXはより多くの店舗で仮想通貨を利用できるように、企業の第一製品である仮想通貨対応のデビットカードを発表しました(特定の国では既に利用可能。日本導入は未定)。
最終的なゴールは世界中の方に仮想通貨を利用させることで、世界各国を旅行をする際、為替や通貨を気にすることなくどこへでもいけることがPaul氏の理想です。
早速、昨年6月24日TenXはICOを終えました。
しかしPaul氏が強調したいことは、ICOなどの前にプロジェクトとして成り立つために重要な要素はチーム、技術そしてタイミングの3つだと言います。
様々なコンピューターが繋がり、より大きなインターネットを成立させているように、TenXも様々な通貨を受け入れネットワークを成長させるのが狙いです。
ネットワークが大きくなれば、安全性も増し、利便性も増します。さらに元を下れば、これを現実にするには優秀なチームが必要です。
そして最後にタイミングです。これは特別我々がコントロールできるものではありませんが、その『時』を待つために、準備をしておくことはとても大事なことだとPaul氏は言います。
2011年Paul氏が日本にいた際3つの会社を設立しましたが、全て失敗に終わりました。
当時からビットコイン関連の事業を始めたいと思っていましたが、市場はそれを受け入れる準備ができていないと思っていたそうです。
そしてTenXの原石であるアイデアが生まれ、数々のハッカソンを経て次第にアイデアが具現化しました。
シンガポールに拠点を移し、初のプロトタイプのデビットカードを作成し、3人のチームが今では50人のチームに成長しました。
ICO後に最も大事な3つの要素はプロダクト、コミュニティ、そしてカンパニー(会社)だと彼は言います。
技術の進化によりメッセージのやりとりが無料化し我々の生活に多大な影響を与えているように、仮想通貨という『ニューマネー』も我々の生活を変えると思います。
Paul氏が最後に残したい言葉は、『タイミングはいずれやってくる。ただそのタイミングを受け入れる準備をすればよい』ということです。
孫泰蔵氏とイーサリアム財団Executive Director宮口礼子氏のパネルディスカッション
世界の若い起業家を支援する孫泰蔵と先月イーサリアム財団Executive Directorに就いた宮口礼子氏。
宮口氏は2013年からブロックチェーン技術による社会現象に興味を持っていました。
イーサリアム財団のミッションはイーサリアムの開発、リサーチ、教育やコミュニティの活動支援です。
Vitalik氏が真の分散型技術の開発を狙うように、その理念はイーサリアム財団、技術、コミュニティにも遺伝しています。
宮口氏及び孫氏は分散型技術による中央集権の除去によって、人々に権力を与える点に魅了されたと言います。
イーサリアムは中央集権ではなく、各コミュニティメンバーの貢献に成り立ちます。
Slushもたくさんのボランティアの力によって実現したように、一人一人が集まり力を合わせれば世界だって変えれるほどの影響力を持つと孫氏は述べ、同じ事がブロックチェーン技術にも言える、としました。
今後も世界中で『世界を変えよう。力を合わせれば世界を変えられる』というムーブメントは起こるだろうと孫氏は述べ、その証拠の一つがイーサリアムの誕生だと宮口氏も同意しディスカッションを終えました。