- 金融マーケットのクジラ
- 先日、世界3大投資家のジョージ・ソロス氏や、世界的財閥であるロックフェラーやロスチャイルドが仮想通貨市場に参入する可能性が報道されました。経歴や投資スタンスなどの情報をまとめています。
世界有数のファンドの動き
先日、ジョージ・ソロス氏やロックフェラー財閥など”金融マーケットのクジラ”が、仮想通貨市場への参入を計画していることが、国内外のメディアで驚きをもって報じられました。
クジラとは
経済用語のスラング。市場に大きな影響を与えるほどの”巨額マネー”を動かす機関投資家のことを指す。
日本の株式市場では、150兆円規模の運用資産額を有する「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」を始め、3共済、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険などが、クジラと呼称されている。
関連する可能性のあるとされる各ファンドの特徴は、以下の通りです。
各ファンドの規模
ジョージ・ソロス | ロックフェラー | ロスチャイルド | |
---|---|---|---|
関連ファンド(VC) | Soros Fund Management | VenRock | RIT Capital Partners plc |
推定運用資産 | 約260億ドル(約2兆7000億円) | 約30億ドル(約3200億円) | 約19億ポンド(約3000億円) |
①ジョージ・ソロス
巨額の資産を保有する「世界3大投資家」の1人として知られる存在であり、投資スタンスとしては、相場の逆張りを好む。
1992年9月16日に発生したイギリスの「ポンド危機」では、英国の中央銀行として金融政策に関わる「イングランド銀行(Bank of England)」の大量買い(為替介入)に対して、大量のポンドを売り浴びせることで全面衝突。資金の枯渇したイングランド銀行を打ち負かした経緯があります。
以下は、ジョージ・ソロス氏の略歴を簡単に紹介した年表になります。
簡易年表
1969年 | のちに”世界3大投資家”と呼ばれることになる「ジム・ロジャーズ氏」と共に投資ファンド「クォンタム・ファンド(Co-Founder)」を立ち上げ、投資家としてのキャリアを開始。 |
---|---|
1992年 | 当時世界の基軸通貨であったイギリスのポンドに対し、”巨額のポンド売り”を仕掛けた。イングランド銀行が買い向かったが、資金が尽きて「ポンド危機」に陥った。ジョージ・ソロス氏は、この一件で”イングランド銀行を潰した男”の異名をとるようになり、「10〜20億ドル(約1,000〜2,000億円)」もの利益を得たとされる。 |
2010年 | 資産運用額が、270億ドル(約2.8兆円)に到達。 |
2018年 | Soros Fund Managementによる仮想通貨市場への参入計画が、ブルームバーグで報じられる。 |
4月7日にブルームバーグが報じたところによると、ジョージ・ソロス氏が設立した「Soros Fund Management」の投資責任者アダム・フィッシャー氏が、過去数ヶ月間に”仮想通貨取引に関する内部承認”を得たとしています。
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②ロックフェラー財閥
世界最大の石油トラストとして君臨した「ジョン・D・ロックフェラー」氏と、実弟でありシティグループ創業者である「ウィリアム・ロックフェラー」氏らによって、資産総額約1000兆円ともされる莫大な富を築き上げた一族です。
石油産業を中心に軍事産業や金融業など、世界中のあらゆる企業を傘下に収めています。
2018年4月上旬には、ロックフェラー財閥所有のベンチャーキャピタル「VenRock」が、ブロックチェーン技術リサーチ諮問機関で仮想通貨投資機関の「CoinFund」と提携したことが報じられました。
CoinFundは、ICOプラットフォームを運営するコインリストに投資した他、チャットアプリ「Kik」を支援するなどしています。
アメリカを代表するベンチャーキャピタル「VenRock」は1969年設立。「intel」や「Apple」などの世界を代表する企業に対して、スタートアップ期(黎明期)からその将来性を見込んで投資、成長させた実績を持つなど、その先見の明と目利きの鋭さに疑問の余地はありません。
VenrockのパートナーであるDavid Pakman(パクマン)氏は、「複数の著名なブロックチェーンプロジェクトを支援しており、仮想通貨市場の短期的な動きには興味なく、長期目線でへの投資を考えている」と説明しています。
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③ロスチャイルド財閥
ヨーロッパ最大のユダヤ系の世界的大財閥。
ロックフェラー財閥同様、世界中の名だたる企業を傘下に収めており、財閥の総資産額はもはや天文学的数字となる数千兆円〜数京円規模という情報も。
英ロスチャイルド家のジェイコブ・ロスチャイルド氏率いる「RIT Capital Partners plc」は、ロンドン証券取引所に上場している投資信託であり、純資産は推定で約19億ポンド(約3000億円)とされています。
2011年には、優れた業績が認められ、投資信託ジャーナルから「最優秀トラスト賞」を受賞しました。
またロスチャイルド財閥は、2017年には「ビットコイン投資信託(GBTC)」を通じて、約21万ドル分の仮想通貨を購入したと報じられており、最近も仮想通貨市場で再び名が挙がっています。
④ウォーレン・バフェット
世界3大投資家には、ジョージ・ソロス氏のほか、”オマハの賢人”の異名をとるウォーレン・バフェット氏や、ジム・ロジャーズ氏が存在。
ウォーレン・バフェットは、ROE(自己資本利益率)などの指標を軸に、長期的な集中投資を行うことで推定900億ドル(約9兆円)ほどの莫大な資産を築き上げており、CEOを務める投資会社「バークシャー・ハサウェイ」を通じて投資を行なっています。
コカ・コーラ株などで大儲けしたこともあるバフェット氏ですが、『自分が理解できないものには投資しない』という投資ポリシーを持っており、その信念に基づき仮想通貨についても一貫して懐疑的な立場です。
過去には、以下のようなコメントを残しています。
「ビットコインに本質的な資産価値はないため、評価することはできない。そういった意味では本当のバブルと言える。」
「一般論として、仮想通貨はほぼ確実に悪い結果を迎えるだろう。」
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⑤ジム・ロジャーズ
ジム・ロジャーズ氏は、ジョージ・ソロス氏と一緒に「クォンタム・ファンド(Co-Founder)」を立ち上げた共同設立者であり、10年で4000%のリターンを叩き出したとされている超大物投資家です。
また、市場の動向や状況に応じてロング(買いポジション)とショート(売りポジション)のどちらでもポジションを取り、株式に限らず、通貨・商品など幅広く運用する富豪として知られています。
現段階では、表立った動きは見られず静観しているジム・ロジャーズ氏ですが、ジョージ・ソロスらの参加により仮想市場の時価総額および流動性が大きく高まることで、世界中の巨大なファンドや機関投資家が、続々と参入する動機を招く可能性も指摘されています。