2018年1月後半から始まった長期的な下落相場では、何度か価格の反発は見せたものの、すぐさま再下落へと転じるなど上値の重さが際立っており、結果的にBTC/JPYの過去最高値約220万円を付けた2017年12月中旬から、今年4月に記録した最安値約68万円まで、約70%もの下落を記録しました。
このように中長期的な下落局面で、疑心暗鬼に陥った投資家も少なくないと思われますが、4月12日になって、下げ相場で溜まっていたショートの踏み上げなどで記録的な大暴騰を見せました。
ほぼ同時期に、東証1部の大手金融企業「マネックス」によるコインチェック買収からの合同会見、ヤフーの仮想通貨市場参入など複数の好材料も重なったことで、相場の雰囲気が一変。仮想通貨市場の状況が明確に変化しつつあります。
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時価総額の推移
仮想通貨市場全体の時価総額の推移は、4月12日に2690億USDから瞬間的に3010億USDまで高騰し、前日比+12%という昨年12月以来の最大上昇率となりました。
3000億USDを突破した後も順調に推移しており、16日現在では月間最高値となる3370億USDとなり、すでに約3日間で300億USD(約3.2兆円)も増加していることがわかります。
この時価総額の勢いを維持することができれば、4000億USD(約45兆円)も視野に入るでしょう。
4000億USDの市場規模は、BTCが110万円付近で推移していた3月8日時点と同水準となります。
また、時価総額の推移をBTCとアルトコインで分別して考えた場合、下落時とは大きな違いが表れています。
市場全体を「100」として、各通貨はどの程度市場の割合を占めているのかを表すドミナンスの推移では、仮想通貨が大きく盛り上がった12月初旬はBTCが60%を超える圧倒的なシェアを誇っていたのに対し、BTCが過去最高値を更新してからXRPやETHのが伸びてきていることがわかります。
注目をして欲しい水準は、主要アルトコインを除く「OTHER(その他)」と表記される主要アルトコインを除く(時価総額の軽い)アルトコインのドミナンスを示しており、12月の中旬から大きく伸長していることがわかります。
この『OTHER』の伸びは、主要通貨以外にも資金が流れていることを意味しており、これらの通貨上昇の勢いは、投資家の取引が多く行われることで、より流動性の高いビットコインや、主要アルトコイン以外の不安定かつ価格変動の激しい(リスクが高くなる)通貨に投資を行うことから、「市場全体の楽観的な指標」と捉えることもできます。
今回の長期的な下落期でのドミナンスからの変化は、この『OTHER』が下落相場と共に減退しながらBTCのドミナンスが上昇傾向にあったことが判明した一方で、またBTCが現在確認できる中での底値付近で『OTHER』のドミナンスが上昇を開始、3月20日には17%だったドミナンスは現在約23%まで伸びてきています。
市場全体の時価総額の伸びが記録された上で、アルトコインに資金が流れてきていることが確認されたことは、下落相場時を脱したと考える一つの指標と捉えることができるでしょう。
ファンダメンタルズ要因
米国の確定申告時期
米国の確定申告の期日となる「4月17日」が近づいています。
仮想通貨の保有によるキャピタルゲイン税の総額は25億ドル(2687億円)にも相当すると予想されており、多額の利益が出た可能性のある大きな高騰を見せた仮想通貨市場と合わせて税金を支払うための売却、またそれに伴う市場の売り圧力が懸念されていました。
この期日が近づくことで、大きな売り圧力の緩和に繋がることが予想されており、大きなファンダメンタルズ要因となった可能性があり、米著名アナリストの「Tom Lee」氏も、CNBCに対し同様の指摘をしています。
複数のアナリストがBTCの価格上昇を予想
Wall Streetのアナリスト兼Fundstrat創業者である「Tom Lee」氏は、2018年末までに25,000ドル(約270万円)を記録すると予想。
Tom Lee氏だけでなく、仮想通貨のエンジェル投資家でもある「Tim Draper」氏も、2022年末までに25万ドル(約2,700万円)、仮想通貨を扱うパンテラ・キャピタル・マネジメントも同社の顧客へのレポートの中で年内2万ドルと記載し話題となりました。
このようなポジティブな予想が多く出てきたことも、市場緩和に繋がる一因になったと考えられます。
シリア攻撃によるリスク回避の動き
13日の米英仏によるシリア攻撃が行われたことで、地政学リスクへの懸念に伴うリスク回避の動きがあり、デジタル・ゴールドと呼ばれることもある、主要仮想通貨(特にビットコイン)がリスク回避資産と捉われ、買われた可能性が指摘されている。
現時点では、短期的な軍事行動であるとの見方から、このリスク回避の動きは収まりつつありますが、仮想通貨はボラティリティの高いリスク資産との捉え方もできる中で、非中央集権の特性からか、世界情勢の悪化によるリスク回避の動きとしても、今までにない”新しい資産の在り方”として注目を浴びています。
また、2013年3月には、ギリシャ財政危機にギリシャ国債の焦げ付きなどの影響を受けた「キプロス金融危機」により、キプロス国内の銀行が閉鎖されるなど法定通貨(ユーロ)への信用が低下、信用不安が広がったことで、リスク回避の動きとしてビットコイン(BTC)が大量に買われ、当時の過去最高価格を更新する高騰に至った過去もあります。