- ナスダックの将来的な仮想通貨取引所としての参入
- ナスダックのCEOを務めるAdena Friedman氏は、CNBCの番組であるSquawk Boxにてインタビューを受け、どの程度の時間がかかるかは不明ながら、仮想通貨の将来は確約されていると主張し、市場が充分に成熟したら仮想通貨取引所としての参入も検討すると語りました。
- 現時点での仮想通貨市場
- Friedman氏は、現時点での仮想通貨市場が、未熟で、規制が行き届いていないことを指摘し、仮想通貨取引所としての参入は短期的には考えられないと主張しています。しかし、同社の市場監視技術を仮想通貨取引所であるGeminiに提供していることを明らかにしました。
ナスダックが将来的に仮想通貨取引所に参入の意向
時価総額9兆USD(約960兆円)の世界で2番目の規模を誇る株式取引所であるナスダックが、今後の規制された市場において仮想通貨取引所の参入を前向きに検討しています。
CNBCの番組であるSquawk BoxにてナスダックのCEOを務めるAdena Friedman氏(以下、Friedman氏)が4月25日インタビューを受け、ナスダック役員及び、彼女自身のサービス提供者としての仮想通貨に対する考えを述べました。
「多くの人々は、(仮想通貨)市場において、取引所に流動性がないことを不満に思っている」と番組のホストで、過去にアメリカ版’マネーの虎’として知られる’Shark Tank’の投資家として出演したKevin O’Leary氏は述べ、「ナスダックが、その(仮想通貨取引の)適切な場となるのですか?」と質問を投げかけました。
Friedman氏は以下のように述べ、ナスダックの監視技術がGeminiのビットコイン / イーサリアム ペアの仮想通貨取引の監視に使用されることを強調しました。
仮想通貨市場は、未だ規制が整っていない市場であり、すぐに仮想通貨取引所として参入しようとは考えていません。しかし、現時点で、他の仮想通貨取引所に私達の技術を提供しています。
一般的には株式取引で知られているナスダックですが、同氏によると会社の利益の大半は株取引以外のビジネルから収入を得ているそうです。
現在急成長中のビジネス分野はデータ分析と専門技術のプラットフォーム化であることを明かし、100以上のブローカーディーラーや投資ブローカーの会社がナスダックの技術を活用していると述べました。
Geminiは、Cameron Winklevoss氏とTyler Winklevoss氏の双子兄弟が代表を務める仮想通貨取引所であり、Friedman氏がこのインタビューを受けた同日に、市場を監視することを目的として、ナスダックと提携を結んだことを発表しました。
Gemini公式HPには以下のように記載されています。
Geminiは認可されたデジタル通貨の取引所と保管所です。BitcoinとEtherを規制に準じて、なおかつ安全に売買・保管できます。
同社は、ナスダックのSMARTSと呼ばれる市場監視技術を使用することで、異常な取引を監視し、市場操作などを弱めることで、より公平なサービスを提供したいと考えています。
ナスダックの監視技術はSMARTSとよばれ、潜在的な不正取引などの調査・検出・分析を自動化するものであるとナスダックは説明しています。
仮想通貨の将来性
また、Friedman氏は市場の未熟さの1つとしてICOを挙げました。
ICOと仮想通貨は別のものです。仮想通貨は現在流通している通貨の代わりとなり得るものです。しかしICOはただ単に仮想通貨を使用してトークンを発行して集金しているだけです。ですのでSECのICOは有価証券であるという見解とそれに準ずる措置、規制方針は正しいと思います。
とはいえFriedman氏は仮想通貨自体には前向きであり、以下のように補足しました。
時間とともに、規制の整備が進み、私達から見ても、市場の人々から見ても、投資家達に公平な体験の提供が必要であると感じたら、私達ナスダックは仮想通貨取引所として仮想通貨業界に参入することを検討するでしょう。
そして同氏は、マーケティング用語の製品ライフサイクルも引用して仮想通貨はまだ成長期にあってこれからどんどん成熟していくと語り、『製品ライフサイクルを引用することはつまり仮想通貨は今後も続くものなのか』という問いに対しては、以下のように強気に返答しました。
デジタル通貨は、今後も存続していくと考えています。不明確なのは、この市場が成熟するまでにどれほどの時間がかかるかということだけでしょう。そして後に、規制が行き届いた市場に需要があるようならば、ナスダックは間違いなく前向きに検討するでしょう。
ナスダック社のCEOであるFriedman氏の技術自体には興味があるものの、規制の必要性を挙げる中立的な立場が印象的です。
今後日本や米国を筆頭に仮想通貨に関する規制が整っていけば、ナスダックのような懐疑的な企業にももっと一般的に認可され始められるでしょう。
Facebookの初期投資家として有名なWinklevoss兄弟も仮想通貨にはBitcoinのはやい時期から投資を初めていましたが、今後もナスダックの定評のあるデータ分析や監視技術を導入する他の仮想通貨取引所が現れるかもしれません。