- 韓国ブロックチェーン協会に関して
- 韓国ブロックチェーン協会のディレクターであり、韓国市場の自己規制ガイドラインを作成する「ナクーン・チョイ」氏に、韓国の仮想通貨市場に関するインタビューを実施。日本の法規制とその影響についても、率直な見解をいただきました。
- 韓国の規制について
- 韓国ではまだ正式なICO規制が発表されていないため、後に厳しい規制が発表されることを懸念した韓国ICO企業に関する資本が海外に流出している現状があります。今後それを防ぐため、韓国政府は日本を参考にした規制を発表する予定としています。
韓国ブロックチェーン協会とは
現在22ヶ所ほどある韓国取引所の意見やニーズを重じ、問題解決や改善策を立案する協会です。
ICO共に交換所の自己規制ガイドラインを作成中のことです。
今回はKorean Blockchain Association、韓国ブロックチェーン協会でディレクターをされている「ナクーン・チョイ」氏にインタビューを実施しました。
ご協力いただいたナクーン・チョイ氏に御礼申し上げます。
インタビュー内容一覧
自己紹介
私の名前はNakoon Choiです、韓国ブロックチェーン協会のディレクターを勤めています。
以前は、米国で知的財産権弁護士と、Noomというアメリカで最大のヘルスケアアプリ会社の戦略責任者として勤めていました。
その経験を生かし、ICO顧問としてブロックチェーンプロジェクトを立ち上げたりしました。
今は法律の面と財政の面から、韓国市場の自己規制ガイドラインを作っています。
KBAはどのようなプロジェクトを進めているのか
今はまだ、韓国ブロックチェーン協会で具体的に何をしているかを公にすることはできません。
私たちはまだ議題を構築し、組織を設立している途中だからです。
ブロックチェーン協会の今後の目標は取引所の意見や興味を集め、重んじることです。
現在22ヶ所ほど取引所が有りますが、それぞれのニーズを知り、可能であれば問題の改善に努めるつもりです。
他には自己規制ガイドライン作成に注力していますが、どちらの角度にも対応しています。
第1は交換所の自己規制ガイドラインで、第2は将来のICOの自己規制ガイドラインです。
今は交換時の自己規制ガイドラインを優先していますが、2−3ヶ月ほどを目処にどちらも発表予定です。
KBAと金融庁の関係は
金融監督院、法務省、経済省、公正取引委員会のようなマーケットに直接影響を与える組織があります。
これらの組織では、各担当部門があり、その担当部門だけをこなしていました。
しかし、この新たなブロックチェーン技術はどこの担当になるのかが正式に決まらず、各組織で混乱が生じていました。
業界が急成長し始めるまでこの問題によってたらい回しにされていたのです。
そしてようやく去年、この問題を積極的に改善するために、我々が呼ばれることになりました。
我々の役目は、経済省にブロックチェーンとは何か、今後の業界の行方などについて共有し、コンサルタントとして政府の手助けすることでした。
今でも立法府や行政府が立案している法的ガイドラインや法案に対してフィードバックを送っています。
コインチェック後の金融庁と取引所の関係はどう変わったか
個人的には、日本の規制は少々厳しすぎるのではないかと考えています。
しかし同時に規制があるということは、それだけ安全性もあるということであり、規制を守ってさえいれば大丈夫なのです。
しかし韓国では規制自体がまだありません。
韓国ではブロックチェーンに関して個人の団体の責任が問えないので、ほとんどの企業は外国に行ってしまいました。
規制のない韓国で、起業するリスクを懸念していたからだと思います。
これは私の予想ですが、今年の5月から7月の間に韓国政治は何かしらの規制を発表するでしょう。
韓国内でのICO規制はどのような現状か
先ほど言った通り、韓国は中国と違いICOに関する規制を発表しなかったのです。
韓国政府はICOに対する厳しい姿勢を示していましたが、正確な規制までは出されていませんでした。
このことで、後々韓国でICOを始めとする禁止令や、厳しい規制に縛られることを恐れ、ICO企業は海外で起業し始めたのです。
私は韓国を出て、シンガポール、スイス、ケイマン島などで起業した会社をいくつも知っています。
韓国政府もこの事実を認識し始めているのではないでしょうか。
韓国政府は、これ以上税収や有望な人材が海外流出してしまうことを避けるため、日本に似た、もしくは日本より易しい規制を発表すると考えられます。
日本の規制について
日本は2つの側面で、とても興味深いと言えるでしょう。
1つは日本の経済は非常に大きいからです。
韓国は日本、中国、アメリカなどと比べると、まだまだ経済は小規模です。
管理方法自体が異なってきますが、日本のように大規模な経済があると、一つ一つの出来事が経済全体に大きな影響を及ぼしかねません。
日本はICOやブロックチェーン業界で初めて規制を立ち上げた国です。
それによって得たものと失ったものがあると思います。
利点の面は、業界で初めて規制を立ち上げたことにより、マーケットの成長を予測しやすくなったという点です。
しかし、規制の基準がなかったため、厳し過ぎたということを考えれば、失ったものもあるでしょう。
例えば、セキュリティコインや将来性もあって面白かっただろうプロジェクトをいくつか取り逃がしてます。
取引所が野放しになるのは良くないですし、コインチェック事件もあったので、考えは理解できます。
しかし日本のICOへの規制は、少々厳しすぎるのではないかと思います。
規制の厳しさゆえにビジネスモデルを変え、結果としてビジネスそのものが弱くなった例は、いくつも思い当たります。
もし私が野心家なICOビジネスマンだったら、日本ではなく海外を好まざるを得ないでしょう。
しかし同時にこの規制は、投資家にとって安全で優しい安定したマーケットを構築することに成功していますので、全てが悪いというわけではありません。
以前と比較して、仮想通貨に関する新たなプロジェクトは立ち上げられているか
韓国は、日本に比べてブロックチェーンテクノロジーを仮想通貨やICOだけでなく違った業界でも取り入れる動きが見えます。
医療、金融、借用証書など幅広い分野でブロックチェーン技術を採用し、今まで解決できなかった問題を改善しようとしています。
また現在、韓国では『逆ICO』というものが流行っています。
逆ICOというのは大手や、すでに成功している会社企業がコインを発行する事です。
日本の大手企業はどちらかというと慎重派で大きなリスクを背負わず、特に新しいテクノロジーは徹底的に利用価値を検証してから導入しますが、韓国はその逆でベンチャーやスタートアップより先に、新しいマーケットやテクノロジーに手を出すことがあります。
広告面について
韓国ではICO広告は、非常に難しくなっています。
韓国はデジタル化が進んでいるので、新聞や紙媒体の広告を読まない傾向にあります。
となると必然的にウェブ広告になるのですが、ウェブ広告の大黒柱であるグーグル、ファイスブック、インスタグラムや、人気のあるウェブメディアは揃ってICO関連の広告を禁止しています。
なので、ICO広告はPR会社を雇うしかないですよね。
私たちにとっては少々古典的な方法でICOを広めるしかないので、情報配信が遅れることもあります。
しかし、面白いことに韓国で仮想通貨の口座を開いている人の割合は多く、経済や金融に携わっている人の1/4は仮想通貨に投資しているとされています。
しかし残念なことに、この人々は自分の利益を増やすだけしか興味がないのでは感じることがあります。
ブロックチェーンや仮想通貨が今後どのような社会的進展に繋がるか、なぜ作られたのか、どのような仕組みなのかなどに全く興味がなく、株のようにただ投資して利益を得る事だけしか興味がない。
このような動機で、今後エコシステムが成長できるのか心配です。
仮想通貨で決済できる店舗は韓国にあるか
一般的な店舗では、ほとんどありません。
一部の都市では、仮想通貨を現金と交換してくれるATMがありますが、そちらも限られています。
その分野については、日本の方が進んでいると言えるでしょう。
一つ言えるとすれば、韓国で仮想通貨の価値が徐々に上がっているという点があるため、仮想通貨に投資している人達は今はコインを手放したくない気持ちもあるのではと考えられます。
給料を仮想通貨で支払っている企業もあると聞きます。
主な理由は、税金対策ですね。
現金や普通の通貨で支払う30%の税金を、現状の韓国仮想通貨で支払う方が税金を払わずに済むからです。
ICO合法化に向け法案を提出
5月2日韓国の議員グループがICO(イニシャル・コイン・オファリング)と仮想通貨発行を合法化する法案を組んでいるとKorea Times (コリアタイムス)で報道されました。
2日に開かれたICOとブロックチェーンに関するフォーラムで、洪氏は、ICOを政府の監督のもと合法化し、韓国貿易協会(KITA)との共同研究がベースになると述べました。
この法案によれば、公的機関や研究機関によるICOは、韓国の金融委員会と科学技術情報通信部の厳格な監督を受けることになるようです
Lawmakers move to legalize new ICOs in South Korea
posted on 2018-05-02
参考記事はこちらから