- 取引手数料無料の仮想通貨取引プラットフォーム
- 米NYのVoyager Degital社は、BTCやETHなど15以上の仮想通貨を「手数料無料」で取引できるモバイルアプリの提供計画を発表した。株式取引アプリ大手の米Robinhoodと競合する可能性がある。
- Uberとは
- 米ウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車アプリ。日本での知名度はあまり高くないが、世界70カ国・地域の450都市以上で展開するなど世界最大級の配車サービスとして知られる。
取引手数料無料の仮想通貨取引プラットフォーム
米ニューヨークを拠点とするVoyager Degital社は7月25日、BTCやETHをはじめとする15以上の仮想通貨を、手数料無料で取引できるモバイルアプリの提供計画を発表しました。 アプリは今年、第4四半期に公開される予定です。
Voyager社は、2017年に設立されたスタートアップですが、アメリカのブローカー・ディーラーライセンスを有する暗号資産仲介業者で、自動車配車大手のウーバーの基本技術を構築。CTOを務めたOscar Salazar氏、オンライン取引老舗の金融サービス会社、E*Trade社のCEOを務めた金融業界のベテラン、Stephen Ehrlich氏が創設者として名を連ねています。
ウォール街(金融)とシリコンバレー(テクノロジー)両方での豊富な経験を持つチームが、「全ての投資家に、仮想通貨取引のための信用できる安全なアクセスポイントを提供する」ことを社命に掲げています。
Ehrlich氏は、仮想通貨が社会に大きな影響を与える新しい資産クラスとなり、新世代の投資家に大きな力を与えることになるとの信念から、同じビジョンを共有する仲間とVoyager社を設立したと述べています。
仮想通貨アプリとビジネスモデル
Voyager社のアプリは、12以上の仮想通貨取引所からの価格情報を集約する機能を持ち、ユーザーがその中の最良の価格を選んで、ビットコインや他の仮想通貨を取引することを可能にします。
具体的には、10の取引所及び、3つの国外を含むマーケットメーカーに、同時に接続してその価格を表示することで、Voyager社は、CoinbaseやBinanceのような単独の取引所よりも安い価格で、購入と売り注文を一貫して実行することができるような、アプリを提供するとしています。
Voyager社CEOのStephen Ehrlich氏は、「特定の取引所で取引を行う際、流動性が十分でない場合がある」と、現在の取引所の持つ問題点についての認識を述べ、長年のオンライン証券取引の経験から、1年前に出会った仮想通貨市場に、伝統的株式市場の経験をもたらすことが、チャンスにつながると捉えているようです。
取引所の最大の収益源とも言える取引手数料の代わりに、Voyager社は、「取引を実行する時点でのコインの平均価格を上回ることで、収益の差を補う」ビジネスモデルを構築し、取引手数料を無料にすることで、すでにアメリカでビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の手数料無料取引を提供している株式取引アプリ大手のRobinhoodをライバルとして目標に据えているようです。
アプリの特長
技術面でVoyager社を支えるOscar Salazar氏は、「私たちのゴールは、ユーザーに信用される業者となり、ユーザーにとって仮想通貨という新しい世界のガイド役になることだ。」
と述べていますが、そのゴールの実現のために、Voyager社のアプリは、次のような特長を備える予定です。
- 口座の即座開設 法定通貨と仮想通貨による、最低額設定なしの入金
- 最も普及しているデジタル資産のうち、15以上にアクセス可能
- 市況に応じた最適な交換の組み合わせによる、スマートオーダールーティング
- 有利な価格設定と、手数料なしでの高速な法定通貨ーコイン取引、コイン同士の取引
- ニュース、SNSフィード、アラートを使用してユーザーと市場をつなぐ
- 使いやすいインターフェイスと高度なツールによる取引、アイデアの研究、投資の追跡
- チャットと電話による、24時間年中無休の業界最高クラスのカスタマーサービス
Voyager社のアプリは、現在、ベータ版のテストフェーズに入っており、10月末までに、現在認可済みのカリフォルニア州、マサチューセッツ州、ミズーリ州、ニューハンプシャー州とモンタナ州で公開予定ですが、ライセンス取得申請中の他の40州以上にも徐々にサービスを拡大していく予定です。
新しい強力な参入者により、仮想通貨業界内の競争を高め、仮想通貨取引所の進化をリードすることが、既存の金融システムの手強いライバルとして成長することにつながると言えるでしょう。