仮想通貨について辛辣発言
米ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁が、仮想通貨を酷評したことが分かった。モンタナで開催されたイベントの席で、投資資産という役目も含め、仮想通貨が何らかの用途に役立てられる可能性を完全に否定した。
一歳になる娘に贈るとしても、ビットコインではなく米国債を選ぶと発言、資産価値に関して以下のように語った。
ドルを創造する権限を持っているのは米国政府だけだ。そうした希少性が、ドルを価値のあるものにする理由の一つ。だが仮想通貨の世界では、がらくたのようなコインが何千とある
さらに、一部の投資家は何百億ドルも巻き上げられてきたので、米証券取引委員会(SEC)が取締りを開始していることは賞賛するとした。
5年後、10年後には何か有益な仮想通貨が登場する可能性もあるとは認めつつ、これまでに現れたコインは価値に欠けていると論じたカシュカリ総裁だが、この辛辣な指摘については正しい部分もある。これまでに仮想通貨の投資詐欺で大量のお金が失われている事例も多くあった。
昨年7月に、セントルイス連銀の総裁は米ドルと種類の多い仮想通貨の共存によって、「米国を統一性のない通貨システムへと導く可能性がある」と指摘。米国の通貨歴史を踏まえ、仮想通貨自体の未来について否定的な見方を示した。
一方で、ビットコインの時価総額は1700億ドル以上にも成長しており、スイスやドイツの銀行はオルタナティブ投資商品として取り扱いを始めている。また、IBM、JPモルガン、フェイスブックなどの大企業が次々と、ブロックチェーンテクノロジーに投資している。
カシュカリ総裁は米国債への投資を選ぶと発言したものの、ビットコインは資産クラスの中でも、過去10年間で高いパフォーマンスを記録した資産であることはデータが裏付けている。
投資の本質価値の議論は、これまで幾度となくされてきたが、周知の行き届き、時価総額も一定水準まで達した中で、ビットコインがパフォーマンスを維持できるか。注目度は世界的にも高いだろう。
FRBは仮想通貨の有用性に注目
今回カシュカリ総裁の発言があった一方で、連邦準備制度理事会(FRB)はデジタルドルの開発研究取り組んでいる。
先週スタンフォード大学のビジネススクールで行われたイベントで、FRBのラエル・ブレイナード理事は、銀行は「分散型台帳技術と中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の可能性を含むデジタル通貨の潜在的なユースケースに関連する研究と実験を行っている」と明かした。
それに続いて、連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長も、ブレイナードの目標を共有すると発言。
「デジタル通貨に関連するコストやメリット、導入する上で利益を得る代わりにトレードオフされることについて理解することは、FRBや各国政府の中央銀行にとって非常に大きな義務であると思う」と見解を述べた。
参考:米ミネアポリス連銀理事