仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマンCEOが語る、相場と金融商品|Forkast寄稿

大手取引所FTX、CEOのインタビュー

暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン・フリードCEOが、仮想通貨メディアForkastのロングインタビューに応じ、仮想通貨相場やDeFi市場、画期的な金融商品を生み出す秘訣など、独自の見解を語りました。

創業2年のデリバティブ分野におけるFTXの取引量は、飛躍的に増加しています。2020年4月からの1年間で、前年比25倍の成長を遂げました。FTXプラットフォームには、機関投資家、ファミリーオフィス、プロ投資家など、約100万人のユーザーを抱えています。FTXは昨年、ポートフォリオトラッカーであるBlockfolioを1.5億ドルで買収し、世界中のリテール投資家にアクセスを提供しました。

本記事はForkastの寄稿であり、一部内容を抜粋したものです。

目次
  1. 直近の相場について
  2. ミーム銘柄と草コインについて
  3. 金融商品に対する考え方
  4. DeFiでソラナに注目した理由
  5. FTXの上場について

直近の相場について

5月19日の暴落について、ビットコインの根底にあるファンダメンタルズで本質的に変わったことは何もありません。

引き金になった理由そのものよりも、ビットコイン市場が少し大きく揺らぐ中、誰かが50万ドル(約5,400万円)のロングポジションを清算したことで、ロスカットの連鎖を引き起こしたという事実が注目に値します。市場の特性上、下落局面で強い清算が発生すると、それが2番目の清算を引き起こし、3番目の清算を引き起こし…という形が起こり得ます。最終的に200億ドル(約2.2兆円)もの大規模清算されていたというのが大まかな流れでしょう。

ミーム銘柄と草コインについて

さまざまな側面があるかと思います。例えばドージコイン(DOGE)は、クリプト普及という観点からすると素晴らしいものがある。膨大な人々が仮想通貨に興味を持ったからです。

一方で、値動きの激しい仮想通貨に嫌悪感を抱く人も少なからずいたので諸刃の剣ですね。代償は大きかったですが、ドージコインの場合は、そのコストに見合うだけの価値があったのではないかと思います。

もっと重要なことは、これは仮想通貨界隈だけの問題ではなく、世界的な問題でもあるという点です。

例えば、株式市場で大きな騒ぎになった「ゲームストップ株」の事例は、仮想通貨の草コインと似ています。新型コロナウイルスのパンデミックが我々にもたらしたものなのか、私たちが密かに望んでいた結末だったのか、それともソーシャルメディアが必然的にもたらしたものなのかは分かりません。

「ゲームストップ株」の事例は、まさに混沌としていました。30年前を振り返って、何が株を大きく上昇させたのかを考えてみましょう。ミューチュアル・ファンドが集まって優良株であると判断したとします。投資信託が集まって300億ドル(約3.3兆円)相当の株を買えば、それだけで株価は大きく上昇するでしょう。何人かの個人投資家が、100万ドル(1.1億円)でも何でもいいから買ったとしても、莫大な資金力を持つ機関投資家が大きく売れば株価は下がる。中央集権的なメディアサービスが生み出すものに反応して、まずは小口のリテール投資家が市場を動かしていたということです。

しかし長い歳月を経て、RedditやTwitterなどのソーシャルメディアの巨塔が登場、普及していきました。

そうなると、1,500万人を超える規模のデイトレーダーがフォーラムに集まり、結託して1,000ドル(約11万円)の取引を行うことで、累計150億ドル(約1.6兆円)の買い注文が入ります。これを実現するのは容易なことではないですが、大量の空売りを仕掛けていた金融機関をも吹き飛ばすには十分な規模です。

個人投資家を保護するための厳しい金融規制の元、銀行や企業、ミューチュアルファンド(オープンエンド型投資信託)の場合は、互いに結託して売買することはできません。

金融商品に対する考え方

「どのような金融商品を作るのか」「どのように設計するのか」を考えるとき、ユーザーの声に耳を傾けることで、着想につながることが多くあります。

みなさんが待ち望んでいたものを提供するのが私たちの仕事ですが、そのためには、「本当に欲しがっているもの」を特定する必要があります。大きな反響を呼んだ「トークン化された株式」や「トランプ・バイデン先物」の例があります。

サービスのローンチ当初こそ静かな立ち上がりでしたが、米大統領選が近づくにつれ注目が集まり、ピーク時はFTXのトラフィックが爆発的に増えることになりました。

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時には、一見すると無意味なように思える、クレームのようなフィードバックを受け取ることもあります。私たちの仕事は、それを因数分解して問題の要因を突き止め、私たちが本来行うべきことへの理解に努めることです。

代表的な例が、「サブアカウントの切り替えバー」です。

多くの人が、FTXに特定の種類の「分離型マージン」がないことに不満を持っていました。私たちは「すでにある」と答えましたが、ここでの“気付き”はサブアカウントを切り替えるのに4回クリックする必要があり、このUI自体に問題があったということです。これを改善するため、すべての取引ページに切り替えバーを設置し、サブアカウント一覧を表示することにしました。

ソラナに注目する理由

FTXの分散型取引所(DEX)であるセラム(Serum)は元々、ある課題に対する答えでもありました。

その課題は、「すべての結果の内90%を無視して、最もDeFi(分散型金融)領域で成功している10%だけに注目すべき」というものです。その10%の成功事例は、ときに数千倍の規模まで成長することもあります。

とてつもない成長を遂げたフェイスブックは、秒間約100万回のトランザクションを処理していて、クレジットカードのVisaは秒間5万件を処理しています。彼らのような巨大なエコシステム(経済圏)を構築するためには、少なくとも同等水準以上の取引を捌く必要があります。

したがって、ブロックチェーンを検討する際には、一つの基準として「秒間100万回の取引」を実現するための長期的な展望(ロードマップ)を持っていることが重要であり、これまで構築されたブロックチェーンの中で、それを実現し得るのは現時点では「ソラナ(Solana)」しか存在しませんでした。

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現在のDeFi(分散型金融)を動かすためには、秒間処理能力は1,000件もあれば十分でしょう。しかし、将来的に拡大を見据えると不十分な性能です。

FTXの上場について

現時点で具体的な計画があるわけではありませんが、できる限りのことを学び、デューデリジェンスなど下調べはしています。

他の取引所にも言えることですが、成功すれば限られたコストで高い収益性が見込め、基本的に資金調達する必要もありません。(コインベースはIPOではなく直接上場した)

そのため資本金を増やす必要もありませんし、今やっている事業を継続しながら成長を目指すことができます。タイムリミットがあって、それまでに上場しなければ水の泡になってしまうというわけではありません。

しかし、そうは言っても株式上場は極めて高いハードルです。「必要かどうか」ではなく「すべきかどうか」という視点で考えています。

もう一点は、コインベースのビジネスに何が起こったのかを把握することです。コインベースのビジネスに何をもたらしたのか?彼らの事業にどのような影響を与えたのか?膨大な数の賞賛を得たのか、それとも多くの批判を浴びたのか?それを目の当たりにするのは興味深いことです。

私たちが頭を悩ませているのは、コアな仮想通貨エコシステム以外でビジネスを成長させるためのカギとなる多くのネットワークや関係性、パートナー構築であり、「正しいビジネス戦略とは何か」ということに尽きます。

現時点で、多くの金融機関が仮想通貨の取引を開始し、顧客に仮想通貨を提供し始め、仮想通貨への参入を試みています。資産運用会社、投資銀行、ミューチュアルファンド、年金基金、伝統的なブローカーからの仮想通貨への資金流入は、おそらく今後1〜2年で大幅に増加し始めるでしょう。

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