
2021年、数多くの大企業がメタバース領域に参入したことで一大ブームが巻き起こりました。熱狂は一段落したものの、ブロックチェーンを活用したメタバースは持続的な成長を遂げ、Web3のユースケースとして定着しつつあります。
そんな中でも、初期から存在感を放ち続けてきたのが「Decentraland(ディセントラランド)」です。分散型仮想空間の先駆けとして知られるこのプロジェクトは、独自の経済圏を持ち、仮想通貨「MANA」を活用した土地売買や収益化の仕組みを備えています。
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- 目次
1.ブロックチェーンゲーム「Decentraland(ディセントラランド)」とは

出典:Decentraland
1-1 メタバースプロジェクト「Decentraland」の概要
Decentralandは、最も歴史が長いとされるメタバース構想のブロックチェーンプロジェクトです。2015年、Ari Meilich氏とEsteban Ordano氏の手により2Dプラットフォームとして誕生し、その後VRとブロックチェーン技術を組み合わせた仮想空間プラットフォームとして進化を遂げました。
2017年のICOでは開始から数十秒で約26億円を調達し、2020年に一般向けにリリースされました。現在は、カリフォルニアを拠点とする非営利団体「Decentraland Foundation」と、ユーザーによる投票制ガバナンスを実現する「Decentraland DAO」の共同管理へと移行しています。
メタバース・ブロックチェーンゲームとは
メタバースとは、多人数が同時に参加し、アバターを通じて交流や創作、経済活動ができる仮想空間を指します。MinecraftやFortniteといったゲームは、広義ではメタバースの一種と見なされますが、中央集権的に管理されており、Web3的な特徴は持ちません。
一方、NFTや仮想通貨を用い、ユーザーが資産を所有・運用できるWeb3型メタバースは、より分散的で経済活動が可能な仕組みを特徴とします。
2.Decentralandのメタバース世界の特徴
2-1 Decentralandのメタバース世界を探索する
Decentralandのメタバース世界は、約90,000区画のLAND(ランド)と呼ばれる仮想空間上の土地で構成されています。基盤となっているのは、イーサリアム(ETH)のブロックチェーンです。
Decentralandのメタバース世界を探索するだけなら、誰でも手数料なく参加することができます。無料のアカウント登録をするか、「ゲストモード」でのお試しも可能で、他のユーザーがデザインしたLANDの見物や、世界中のユーザーと交流できます。
2024年にリリースされたデスクトップ専用クライアントの登場により、以前よりも快適で高精細なグラフィック表現が実現しています。さらに、モバイルアプリの提供やVRデバイス対応の強化により、利用環境は大きく広がりつつあります。
以下は、Decentralandのメタバースプラットフォームをモバイルデバイス(iOSおよびAndroid)で利用可能にするためのアプリケーション「Godot Mobile Client」のデモ版です。
Wow! Check out the @Decentraland Godot Mobile Version demo! 🚀
— Decentraland DAO (@DecentralandDAO) February 8, 2024
The open-source and decentralized nature of Decentraland enables the development and creation of various explorers and interfaces to immerse users in the metaverse.
Currently, a team funded by the DAO is… pic.twitter.com/jqYTvHKePQ
2-2 Decentralandメタバースのエコシステムと収益化
Decentralandがユニークな点は、ブロックチェーン技術により構築された独自のエコシステムです。ユーザーは、MANAを使ってLANDやアバターの衣服・ユーザーネームといったデジタルアイテムなどをNFTとして取引・収益化が可能です。

出典:Decentraland
LAND所有者は、売買による利益を狙えるほか、LAND上にビルや歴史的建造物などを設置して付加価値を加えた「Scenes(シーンズ)」として販売することも可能です。また、LANDにアート作品を展示するギャラリーや、ゲーム施設を設けて入場料を得るなど、空間を活用したビジネスで継続的な収益を生む事例も見られます。
企業・団体の活用事例
多くの企業がDecentralandに進出しており、以下のような活用事例があります:
JP Morgan Chase:Onyx LoungeをMetajukuに開設、仮想銀行サービスを模索。Samsung:バーチャルストア「Samsung 837X」を展開。Gucci、Adidas、Dolce & Gabbana:Metaverse Fashion Week(MVFW)に出展。
2-3 Decentralandメタバースのクリエイター機能

専門的なスキルがない一般ユーザーでも、LANDを所有していればクリエイションに参加できる環境が整っています。Decentralandが提供するビジュアルエディター「Builder」を使えば、建物や木、アート作品、ライトなどの装飾をドラッグ&ドロップで簡単に配置し、イベントスペースやギャラリー、ショップなどを直感的に構築することができます。
ユーザーが作成したアバター用アイテムや装飾品などのNFTコレクションは、Decentraland DAOに申請し、セキュリティや品質面の審査を経て正式にマーケットプレイスへ出品・販売することができます。
2-4 Decentralandを運営する「DAO(分散型自立組織)」とは

出典:Decentraland
Decentralandが一般的なオンラインゲームと決定的に違う部分の一つが、「DAO」によるユーザー主導の運営体制です。DAOは「Decentralized Autonomous Organization(自律分散型組織)」の略称であり、スマートコントラクトを通じてユーザーが直接的に組織の運営をコントロールする仕組みです。
ガバナンスに参加するには、MANA、NAME、LANDのいずれかを保有していればOKで、各資産に応じて「Voting Power(VP)」が自動的に割り当てられます:
MANA:保有量に応じてVPが付与
NAME(ユーザーネームNFT):1つあたり100 VP
LAND:1区画あたり2,000 VP
ESTATE(複数のLANDを束ねたもの):合計LAND数に基づいてVPが付与
3.Decentralandの独自トークン「MANA」とは

出典:Decentraland
トークンの基礎情報
項目 | データ |
---|---|
価格 | 約43円 |
時価総額 | 約845億円 |
市場ランキング | 109位 |
過去最高値(ATH) | 840円(2021年11月25日) |
流通供給量 | 約19.6億MANA |
最大供給量 | 約22億MANA |
トークンの種類 | ERC-20(Ethereumベース) |
主な用途 | LAND購入、マーケットプレイス取引、DAOガバナンス、サービス支払い |
バーン機構 | LAND購入時やマーケットプレイス取引手数料のうち2.5%のMANAを焼却、供給量を減少 |
DAO投票 | 1 wMANA = 1票、1 LAND = 2,000票 |
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3-1 Decentralandでは仮想通貨「MANA」が標準通貨
Decentralandでは、基本的なアクセスは無料で開放されていますが、LANDの購入やアイテムの取引、アバターのカスタマイズ、DAOへの参加といった本格的な機能には、ネイティブトークンであるMANAの保有が必要です。
2025年5月時点では、MANAの価格は約$0.32(約46円)、時価総額はおよそ6.5億ドル(約944億円)となっています。流通供給量は約19.4億MANAで、最大供給量は22億MANAに設定されています。
MANAにはバーン(焼却)メカニズムが組み込まれており、Decentralandのマーケットプレイスでの取引に対して2.5%のMANAが自動的にバーンされる仕組みが継続中です。この仕組みにより、供給量の抑制とトークン価値の安定化が図られています。
3-2 「LAND」などNFTコンテンツの投機的価値
DecentralandにおけるNFTコンテンツ、特に仮想土地である「LAND」は、メタバース上の資産として一定の投機的価値を持っています。2025年時点では、ギャラリーや教育施設、商業スペースとしての活用を前提に購入されるLANDも増えており、必ずしも価格高騰を目的とした転売だけが投資の動機ではなくなっています。
LANDは発行数が限られており、エリアによっては新たな供給が不可能なため、将来的な用途やコラボレーション計画を視野に入れた戦略的な取得が重要です。単発の転売益にとどまらず、体験やコンテンツを提供する側として収益を得る構造が拡大していることが、Decentralandのエコシステムの成熟を物語っています。
4.Decentralandのメタバースがつくるエコシステムの将来性

出典:Decentraland
4-1 Decentralandの今後の展望
Decentralandは、Web3メタバースとして独自のエコシステムを維持しつつ、より開かれた環境づくりを進めています。その一環として注目されているのが、他のメタバースとの連携やクリエイター支援の拡充です。
とくに、アバターの相互運用性を高めるため、Ready Player Me(レディ・プレイヤー・ミー)との統合が進められています。Ready Player Meは、写真をアップロードするだけで3Dアバターを作成できる人気のツールで、作ったアバターは複数のメタバースで使える仕様となっています。
DecentralandでもReady Player Meで作成したアバターをそのまま利用できるようになりました。さらに、Somnium SpaceやVRChatといった他の有名メタバースでも同じアバターを使用可能なため、ユーザーはメタバース間をスムーズに行き来しつつ、自分らしいスタイルを保てます。
この連携によって、Decentralandは単独の仮想空間にとどまらず、他のメタバースとつながり合う「拡張性の高いプラットフォーム」へと進化しています。
一方、クリエイター支援の面でも積極的な取り組みが進行中です。2025年には、ユーザーの活動に応じて「Marketplace Credits」が付与される仕組みが導入され、日々のログインやイベント参加などで獲得したクレジットを使い、MANAを消費せずにウェアラブルアイテムなどを購入可能になりました。クリエイターにとっては自らの作品をより多くのユーザーに届ける機会が広がり、収益化のチャンスも高まっています。
4-2 仮想通貨MANAの将来性
MANAは、2021年のブーム期に約$5.8を記録した後、2025年5月現在では約$0.32前後で推移しており、価格面では大きな調整局面を迎えています。短期的な値上がりを期待する投資には慎重な判断が求められますが、ガバナンストークンとしての機能や、マーケットプレイス・LAND取引での決済手段としてのユーティリティは維持されています。
LAND市場においても、現在のフロア価格は約$156(約22,600円)前後。価格変動を狙う投資よりも、イベント開催・アート展示・教育施設などで実際に活用できるLANDへの「実需型投資」が主流になりつつあります。
4-3 メタバース関連NFTの購入は「Coincheck NFT(β版)」で
前述したように、21年12月時点で仮想通貨MANAは日本の取引所では販売されていません。しかし、ますます盛り上がるメタバース市場に国内から参戦するならCoincheck(コインチェック)の口座を所有しておくのがおすすめ。
まず、LANDなどNFTコンテンツの取引などDecentralandの経済圏に参加するには仮想通貨が必要です。もし仮想通貨取引所の口座を保有してない場合は、仮想通貨を日本円で購入でき、金融庁の規制の適用範囲で安全性の高い国内取引所で口座開設しましょう。
国内取引所の中でも、メタバース市場に参入するためにうってつけなのがコインチェックです。コインチェックが提供するNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」では、ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」のNFTトークンやNFTプロジェクトの「Meebits」のアバターなど、メタバースで実際に使える膨大なアイテムを扱っています。
一般の大手マーケットプレイスは英語表記がメインな場合が多いですが、Coincheck NFTなら日本語対応で初心者でも簡単に利用できて安心です。Coincheck NFTはコインチェックの口座を保有するユーザーなら誰でも簡単に利用できます。
さらにコインチェックは、アルトコインを積極的に上場する国内随一の取引所。口座開設は無料なので、メタバースに関心のある人はコインチェックで口座開設しCoincheck NFTで関連アイテムを入手すると良いでしょう。
5.Decentralandでメタバースの未来を体感する
Decentralandは、ブロックチェーンとVRを融合させた分散型メタバースとして、ユーザー主導の経済活動やガバナンスがすでに機能しており、Web3時代の社会を先取りする存在となっています。単なるゲームやSNSにとどまらず、ユーザーが「住み、働き、創る」空間として、多様な分野のプレイヤーが活用しています。
4月のMetaverse Fashion Week、6月のGame Expo、11月のMusic Festivalなど、大規模な仮想イベントが年間を通じて開催されており、アートや音楽、ゲームなど多様な文化が交差する場となっています。
今後は、インフラの整備や他メタバース、AI・ARとの連携が進むことで、Decentralandが「メタバースを日常へと浸透させる入口」として、さらに存在感を増していく可能性があります。
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