21年、多数の大企業がメタバース市場への参入したことをきっかけに世界中でメタバースブームが巻き起こり、その勢いは留まるところを知りません。
そんなメタバース市場で、特に有望視されているのが「Decentraland(ディセントラランド)」というプロジェクトです。
本記事では無限の可能性を秘めたDecentralandとは何か、ゲーム内で使用できる暗号資産(仮想通貨)「MANA」の概要とゲームで遊びながら収益を得ることができるGameFi・P2Eと呼ばれる仕組み、プロジェクトの今後の展望まで詳しく解説します。
- 目次
1.ブロックチェーンゲーム「Decentraland(ディセントラランド)」とは
初めに、Decentralandというプロジェクトの概要をご紹介します。
1-1 メタバース・ブロックチェーンゲームとは
具体的なプロジェクトをより理解できるよう、まずはメタバース・ブロックチェーンゲームなどの基本用語について確認しましょう。
「メタバース」は、インターネット上に構築された多人数参加型の仮想空間プラットフォームのこと。例としてはMinecraft(マインクラフト)・Fortnight(フォートナイト)などが有名です。
「ブロックチェーンゲーム」とは、ブロックチェーン技術を基盤に構築されたゲームのこと。データの改ざん防止や膨大な処理の分散に優れたブロックチェーン技術を活用することで、従来の技術では到達できなかった「完全なメタバース」を構築できる可能性を秘めています。
完全なメタバースでは、際限なく広がる仮想世界、自由で制限のない経済圏、現実と同じように永続性・連続性があり現実の写し鏡のような別世界が広がっています。世界を管理・運営するのは第三者機関ではなくユーザー自身で、アバターを通じて世界中の人とコミュニティを作る事が可能。メタバース内の所有物は資産価値があり、現実世界でも権利を主張できます。
その無限の可能性に魅力を感じた世界中の大企業や投資家たちがこぞって投資したことで、メタバースへの参加が世界的なムーブメントとなりました。
例えば21年9月には、Meta社(旧称:Facebook)がメタバース関連プログラムの研究に50億円を投じる方針を明らかにしています。出資先は各国の団体からソウル大学・香港大学等も含まれ、世界規模で出資を行う予定です。
関連:フェイスブック、メタバース(仮想空間)研究などに50億円投じる方針
1-2 メタバースプロジェクト「Decentraland」の概要
Decentralandは、最も歴史が長いとされるメタバース構想のブロックチェーンプロジェクトです。
Decentralandは2015年、Ari Meilich氏とEsteban Ordano氏の手により2Dプラットフォームとして誕生。その後、VR(バーチャルリアリティ)とブロックチェーン技術を組み合わせた仮想空間プラットフォームとして進化を遂げます。
2017年のICO(資金調達目的で行う独自トークンのプレセール)を実施した際には、開始から数十秒で約26億円を調達したことで大きな話題を呼びました。そして2020年、満を持して一般向けにリリースされ、瞬く間に世界最大規模のエコシステム(経済圏)を持つプロジェクトの一つに。
開発・運営を行うのはカリフォルニアを拠点とする非営利団体「Decentraland Foundation」で、20を超える世界中の投資家からサポートを受けています。
ちなみに、21年11月には、Decentralandを巡って様々な動きがありました。 例えば、同月15日にはカリブ海の島国バルバドス(Barbados)がDecentraland上にバーチャル大使館を設立することを計画していると発表。18日には、「メタトーキョー(MetaTokyo)」がDecentralandにポップアップミュージアムを建設したことが明かされました。
関連:メタバースで大使館建設へ、バルバドス政府がDecentralandと契約
さらにその直後、主に分散型金融(DeFi)分野に投資を行うカナダ企業「Tokens.com」が約3億円相当のLANDを購入。この金額は、仮想空間の土地購入において過去最大規模とされます。
関連:カナダ投資企業、ディセントラランドで約3億円の土地を購入
2.Decentralandのメタバース世界の特徴
次に、Decentralandのメタバース世界やエコシステムについて、さらに詳しくご紹介します。
2-1 Decentralandのメタバース世界を探索する
Decentralandのメタバース世界は、約90,000区画のLAND(ランド)と呼ばれる仮想空間上の土地で構成されています。基盤となっているのは、イーサリアム(ETH)のブロックチェーンです。
Decentralandのメタバース世界を探索するだけなら、誰でも手数料なく参加することができます。無料のアカウント登録をするか、登録せずに「ゲストモード」でのお試しも可能。メタバースを歩き回り、他のユーザーがデザインしたLANDの見物や、世界中のユーザーと交流できます。
Decentralandの経済圏ですべての取引に使用できるゲーム内通貨「MANA」で利用料を支払うことで、バーチャルコンサートやミニゲームなどのコンテンツを消費する楽しみ方も。
VRを通じた没入できる3D体験が魅力ですが、VRヘッドセットがなくてもChromeまたはFirefoxなどのブラウザを通じてプレイが可能です。
ただ、メタバース世界はアクセスが集中し非常に処理量が大きくなるため、スムーズなプレイにはある程度のスペックを備えたパソコンが必要です。また、21年12月時点で言語は英語のみで日本語には対応していないため注意しましょう。
2-2 Decentralandメタバースのエコシステムと収益化
Decentralandがユニークな点は、ブロックチェーン技術により構築された独自のエコシステムでしょう。ユーザーは、MANAを使ってLANDやアバターの衣服・ユーザーネームといったデジタルアイテムなどをNFT(非代替性トークン)として取引・収益化が可能です。
例えばLANDを所有するユーザーは、LANDの売買によって利益を狙えます。購入時より価格が上昇したタイミングでLANDを売却して利益を出すこともできれば、LAND上にビルや歴史的建造物などを設置して付加価値を加えた「Scenes(シーンズ)」としての販売も。
他にも、LANDにアート作品の並ぶギャラリーを建てる、ゲーム施設を提供して入場料を得るなど、LAND上でビジネスを展開して継続的な利益を得ることもできます。
また、LAND以外にもデジタルアイテムの作成や二次流通による収益化を狙うこともできます。例えばレアアイテムを他のユーザーから購入し、Decentralandの経済圏が拡大してアイテムの価値が高まったところで売却するなど。
ちなみに、公式・外部のNFTマーケットプレイスでLANDやデジタルアイテムを取引するには、トークンを保管する「MetaMask(メタマスク)」等の仮想通貨ウォレットが必要。MetaMaskは、Decentralandがサポートするウォレットの中でも利用者数がとりわけ多く、部分的ですが日本語にも対応しているため安心です。
関連:MetaMaskとは|月間2000万人超が利用の仮想通貨ウォレット
さらに、ゲームのクエストをクリアすることで報酬を得る「Play-to-Earn(遊んで稼ぐ)」イベントも多数開催されており、遊ぶことを通じて稼げる仕組みも充実しています。
関連:大企業の関心集める「NFT」の魅力とは|主な特徴と将来性を解説
2-3 Decentralandメタバースのクリエイター機能
次に、Decentralandのデジタルアイテムやゲームなどを作るクリエイター機能について簡単にご紹介します。
デジタルアイテム・ゲームの作成は開発者向けで、3Dモデリングやゲームプログラミングの知識が必要です。そのため、Decentraland内でのゲーム作りには「Decentral Games」や「Metazone」といった企業も多く参入しています。
しかし、LAND所有者で専門知識がない場合でも、専用のエディターを使ってLAND上に建物やオブジェクトを配置してカスタマイズが可能です。実際、既存のLAND所有者の多くは、ゲーム制作者が作ったゲームをLANDに設置し、それによって発生した収益の一部をクリエイター側に支払う形式を採用しています。
作成したコレクションは、まず後述するDAOに申請され、バグ・スパム・ウイルスなどがないことが確認されて承認を受けた後にDecentraland上へ公開されます。
2-4 Decentralandを運営する「DAO(分散型自立組織)」とは
Decentralandが一般的なオンラインゲームと決定的に違う部分の一つと言えるのが、「DAO」によるユーザー主導の運営体制でしょう。DAOは「Decentralized Autonomous Organization(自律分散型組織)」の略称であり、スマートコントラクトを通じてユーザーが直接的に組織の運営をコントロールする仕組みです。
Decentraland DAOで決定できる方針には、承認されるアイテムの種類から、DAO資金の投資先、開発の方針まで運営の全てが含まれます。
ガバナンスへの参加条件の一つは、独自トークンMANAをラップした「wMANA」を保有している事。wMANAをDAOにロックすることで、1wMANAごとに1票分の議決権が与えられます。また、LANDの所有者は1LANDごとに2,000票分の議決権を獲得。メタバースの方針について大きな影響を与えることができます。
ユーザーが直接コミュニティを管理できるDAOは、全ての取引記録・ルールがブロックチェーン上に記録されているため、第三者機関による仲介が必要ありません。そのため、人間が作った組織におけるパラダイムシフトとなる可能性を秘めているとされています。
関連:DAO(分散型自律組織)の仕組みや将来性とは|Nansen寄稿
3.Decentralandの独自トークン「MANA」とは|投資対象としてのメタバース
次に、投資対象としての側面からDecentralandをご紹介します。
3-1 Decentralandでは仮想通貨「MANA」が標準通貨
前述したように、MANAはDecentralandにおける経済活動の中心となる独自トークンです。
20年までは大きな変動はありませんでしたが、21年に入ってからのメタバースブームによって、凄まじい勢いで高騰しました。
これまでの価格推移としては、20年2月時点では1MANA約8円だったところが、21年3月になって100円を超えるまでに上昇。10倍以上価格が上昇した背景には、同時期のNFT関連銘柄の高騰や、米老舗ゲーム会社がDecentraland内でカジノ建設を発表したことなどが考えられます。
その後、数か月以上大きな変動はありませんでしたが、21年11月には爆発的な上昇をみせ、同月25日時点で1MANAで600円を超えるまでに。これには、前述したようなFacebook社の社名変更や、メタバース関連企業に巨額の出資が相次いだことにより大きな注目を集めたことが理由として挙げられます。
近年のアルトコインに買いが集まっている傾向や、Decentralandの需要が順調に高まり続けている事を踏まえれば、今後も上昇する可能性はあるでしょう。
3-2 「LAND」などNFTコンテンツの投機的価値
また、LANDなどDecentraland内でにおけるNFTコンテンツにも投機的価値があります。
LANDの価格推移として、19年時点は1LANDで5万円程度だったところが、21年後半には約60~100万円以上で取引されるなど、目覚ましい勢いで値上がりしました。このように、LAND購入後にその需要が高まれば、売却によって大きな利益を狙える可能性もあります。
LANDへの投資は現実の不動産へ投資するようなものなので、どのLANDを購入するかは戦略的に検討すべきです。
LANDは発行数に上限があり、その価値も現実の不動産と同様に立地によって異なります。例えば、大学・博物館・イベント会場など人が集まりやすい場所の近くに位置するLANDは高いポテンシャルを持つでしょう。
4.Decentralandのメタバースがつくるエコシステムの将来性
最後に、Decentralandの将来性について考察します。
4-1 Decentralandの今後の展望
まずは、Decentralandというメタバースプロジェクトの今後の展望です。
これまでDecentralandは具体的なロードマップを出していませんでした。しかし、21年後半になって、プロジェクトのロードマップの作成を「Decentraland Foundation」に委任する提案がDAOで承認されたため、今後は同団体からリリースがある予定です。
21年11月までの動向としては、Decentraland内に建てられたアートギャラリーにおけるNFT取引を拡大する試みが進められています。例えば11月にはロンドン創業で世界最大のオークション企業の一つ「サザビーズ」と提携を発表し、メタバース内で多くの競売が行われるようになりました。Decentralandのアートギャラリーでは、アートを売買するだけでなくボイスチャット機能を通じてバイヤーがアーティストと直接会話が可能です。
他には、ブランドや有名人がNFTドロップや広告などを掲載できるシステムを構築する提案や、座る・握手などアバターのアクションを追加する提案も可決され、実装が進められています。
DAOで検討中の提案で特に注目すべきは、Decentralandを他の複数のメタバース世界と統合し、相互運用やユーザーの行き来を可能にするというアイデア。これが実現すれば、今後のメタバース市場を新たな次元に引き上げる可能性があります。
また、長期的には、既存のインターネットの問題を解決する分散型の新しいインターネット「Web3.0」を実現するプロジェクトとしても期待されています。
関連:Web3.0で何が変わる? ブロックチェーン技術が実現させる新しいインターネット
Decentralandの今後の課題としては、手数料の高さや、デジタルアイテム・LANDの高騰で初期投資が高額になるため参入障壁が高いという点が挙げられます。
4-2 仮想通貨MANAの将来性
MANAは21年12月11日時点で約370円と、ピーク時と比較すると下落しましたが、それでも数か月前と比べれば非常に高い水準を保っていると言えます。今後もDecentralandの需要増減や経済圏拡大の影響を受けて価格が推移するでしょう。
MANAは現在、日本の仮想通貨取引所では取り扱っていません。しかし、日本においてメタバースへの注目度が高まっている事、日本発のプロジェクトも複数始動している事から、今後国内取引所に新規上場する可能性はあり得るでしょう。
また、ゲーム内NFTの価値は、Decentralandの需要だけでなくNFT市場の拡大にも影響を受けます。今後さらにNFT市場が拡大すれば、その追い風を受けてDecentralandのNFTの価格も軒並み上昇する可能性はあるでしょう。
4-3 メタバース関連NFTの購入は「Coincheck NFT(β版)」で
前述したように、21年12月時点で仮想通貨MANAは日本の取引所では販売されていません。しかし、ますます盛り上がるメタバース市場に国内から参戦するならCoincheck(コインチェック)の口座を所有しておくのがおすすめ。
まず、LANDなどNFTコンテンツの取引などDecentralandの経済圏に参加するには仮想通貨が必要です。もし仮想通貨取引所の口座を保有してない場合は、仮想通貨を日本円で購入でき、金融庁の規制の適用範囲で安全性の高い国内取引所で口座開設しましょう。
国内取引所の中でも、メタバース市場に参入するためにうってつけなのがコインチェックです。コインチェックが提供するNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」では、ブロックチェーンゲーム「The Sandbox」のNFTトークンやNFTプロジェクトの「Meebits」のアバターなど、メタバースで実際に使える膨大なアイテムを扱っています。
一般の大手マーケットプレイスは英語表記がメインな場合が多いですが、Coincheck NFTなら日本語対応で初心者でも簡単に利用できて安心です。Coincheck NFTはコインチェックの口座を保有するユーザーなら誰でも簡単に利用できます。
さらにコインチェックは、アルトコインを積極的に上場する国内随一の取引所。口座開設は無料なので、メタバースに関心のある人はコインチェックで口座開設しCoincheck NFTで関連アイテムを入手すると良いでしょう。
5.Decentralandでメタバースの未来を体感する
ブロックチェーンベースのVRプラットフォームとして、非常にユニークな地位を確立しているDecentraland。メタバース世界への参加・探索は完全無料で行えるので、ゲームとして・投資対象として興味があるならまずはアクセスしてみることをおすすめします。
Decentralandが、今後の世界にどんな変革をもたらすのか、今後の動向から目が離せません。