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ブロックチェーンゲームで遊ぶメリットと自律分散型の将来性|廃猫

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2021年以降、「ブロックチェーンゲーム」という言葉をよく耳にするようになりました。 しかし、ブロックチェーンゲームとは何か、よくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。

ブロックチェーンゲームとは単なるゲームではなく、ブロックチェーン技術を活用したトークンやDeFi(分散型金融)といった専門用語が混ざっているため、なかなかとっつきにくい分野に思われます。しかし、ブロックチェーンゲームを知れば知るほど、ブロックチェーンゲームが次世代のゲームとしての可能性を秘めていることに気が付きます。

本記事は、国内初のブロックチェーンゲームの解説書を出版した著者の「廃猫(@hainekolab)」が、CoinPost所属ライターとして執筆したものです。

ブロックチェーンゲームの具体例を挙げながら、ブロックチェーンゲームとはなにか、既存のゲームの課題をどう解決しているか、主な特徴やブロックチェーンゲームの未来についてわかりやすく説明します。

1.ブロックチェーンゲームとは

ブロックチェーンゲームとは、「誰がいつ何をしたか」が記録されるブロックチェーン技術を活用したゲームです。

例えば、ブロックチェーンゲームの運営会社が、そのゲームのアイテムを誰にいつ送ったかといったデータを、ゲームのプレイヤー1人1人が自分で確認できます。プレイヤーが手に入れたゲームのアイテムは、各プレイヤーのデジタル上の財布の中に入るため自由に売買することも。

さらに、ブロックチェーンゲームでは世界で自分しか持っていないゲームアイテムの実現も可能です。ブロックチェーンゲームは、既存のゲームの様々な課題をブロックチェーン技術を駆使することで解決します。

2.既存のゲームの課題

現代、特に日本においてはスマートフォンゲームが主流です。スマホゲームでは、お金を払う(課金する)とランダムでゲーム内アイテムが手に入るガチャが醍醐味ではないでしょうか。しかし、ガチャで手に入るアイテムは、プレイヤーの所有物とは言えません。その理由は3つあります。

1. アイテムの希少価値が保証されていない

ガチャを回す目的の1つは、めったに手に入らないレアなアイテムを手に入れることではないでしょうか。

しかし、そのレアなアイテムの価値は保証されていません。アイテムの価値は希少性、つまりレアであるということ。そして、そのアイテムが本質的にレアなアイテムかどうかは、アイテムの発行数(供給量)によって左右します。

また、既存のゲームの場合、ゲームの運営会社がアイテムの発行上限枚数をいつでも変えることができます。つまり、運営会社の意向次第で変わってしまう既存ゲーム内のアイテムの価値は、保証されていません。

2. アイテムは1つのゲーム内でしか使えない

既存のゲームでは、あるゲームで得たアイテムは、そのゲーム内でしか使えません。

例えば、A というゲームアイテムを労力をかけて強化したとしても、A 以外のゲームでは使用不可。さらに、A のゲームがサービスを終了すると、その強化したアイテムは使えなくなります。

どれだけ情熱や時間、お金を使ってアイテムを強化しても、そのゲームがサービス終了してしまったら資産は残らないのです。

3. アイテムをお金にできない

既存のゲームでは、ゲーム内のアイテムをお金に変えること(RMT:リアルマネートレード)は、基本的に規則で禁止されています。どれだけレアなアイテムを手に入れたとしても、それをお金に換金できません。同じように、どれだけ労力をかけて強化したアイテムもその価値をお金に換金できないのです。

上記のように考えてみると、普段意識していないだけで既存のゲームには複数の課題があるとわかります。

3.ブロックチェーンゲームの特徴

ブロックチェーンによって、ゲームそのものが大きく変わろうとしています。

既存のゲームの課題点であった、アイテムの希少価値が保証されていないこと、アイテムは1つのゲーム内でしか使えないこと、アイテムをお金にできないこと、これらの問題をブロックチェーンゲームはどのように解決しているのでしょうか。

国内最大級のブロックチェーンカードゲームである「クリプトスペルズ」の事例を元に説明します。

「クリプトスペルズ」は、国内最大級のブロックチェーンカードゲームです。プレイヤーは30枚のデッキ(バトルで使うカード群)を組み、コンピュータやプレイヤー相手に戦います。自分でオリジナルカードを作ってバトルするという新しい体験が特徴です。

1. アイテムの希少価値が保証される

ブロックチェーンゲームでは、アイテムの発行枚数が決まっており、その仕組み上、例え運営(開発)でも後から発行枚数を変えることはできません。そのため、永続的にアイテムの希少性(レア度)が保証されています。

ただし、保証されているのはアイテムの希少性だけであり、アイテムの価格が保証されているわけではありません。以下では、ブロックチェーンカードゲームである「クリプトスペルズ」の事例を紹介します。

『クリプトスペルズ』では、ゲーム内アイテムであるカードが、NFT(非代替性トークン)と呼ばれるブロックチェーン上のトークンとして発行されます。そのため、一定の発行枚数が決まっています。

例えば、画像のカード『大天使フリッカ』は、世界にたった9枚しか存在しません。運営会社が発行枚数を変えようと思っても、この9枚という枚数は変わらないのです。

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2. アイテムを複数のゲームで使える

一部のブロックチェーンゲームでは、A というゲーム内で手に入れたアイテムを、A 以外のゲームでも使えます。

さらに、A 以外のゲームでそのアイテムを使う時に、アイテムのレベルまで引き継がれます。そのため、既存ゲームのように運営会社がAというゲームのサービスを終了した場合であっても、アイテムを強化するために費やした時間や労力が無駄になりません。

例えば、ブロックチェーンゲーム『クリプトスペルズ』では、同じくブロックチェーンゲームの『マイクリプトヒーローズ』や『ブレイブフロンティアヒーローズ』、『CHOJO-CryptoGirlsArena-』のキャラクターを使うことができます。

具体的には、『クリプトスペルズ』の『ライジング・スピリット』というカードを『ブレイブフロンティアヒーローズ』の『迅神姫ルカナ』というキャラクターに変換(コンバート)して遊ぶことが可能です。

反対に、『クリプトスペルズ』の『ライジング・スピリット』というカードを『ブレイブフロンティアヒーローズ』内の『迅神姫ルカナ』を『クリプトスペルズ』内の『ライジング・スピリット』に変換しても使うことができます。

このように、一部のブロックチェーンゲームでは、ゲーム内アイテムがブロックチェーン上の共通の規格で作られているため、ゲーム内アイテムを様々なゲームを跨いで遊べるのです。

3.アイテムがお金になる


出典:OpenSea

ブロックチェーンゲームでは、アイテムがいつ誰によって生成され、どのような取引がなされたのかがすべて記録されています。そのため、アイテム複製のようなゲームのデータやプログラムを改ざんするチート行為などの不正は不可能です。

また、お金を使ったゲームデータの売買は禁止されていないどころか、むしろ推奨されてるプロジェクトも少なくありません。

ブロックチェーンゲームでは、自分が育てたキャラクターや手に入れたアイテムは、「マーケットプレイス」という取引所(NFT市場)を通じてプレイヤー間で売買できます。この売買では、現実世界のお金(主に、仮想通貨)を使って行うため、ゲーム内で稼ぎ生計を立てられるのです。

ブロックチェーンゲームの魅力は、従来の課題を解決することだけに留まらず、ゲームとしての面白さも兼ね備えています。今まで私達はゲーム会社が作ってくれたゲームを、ただ消費者としてプレイするに留まっていました。ブロックチェーンゲームでは消費者としてだけではなく、「参加者」としてゲームに関われます。

ブロックチェーンゲームのさらなる魅力について説明します。

4.ブロックチェーンゲームの目指す先とは?

ブロックチェーンの特徴は、特定の管理者がおらず非中央集権の仕組みが維持されています。

ブロックチェーンゲームにおいて、完全なる非中央集権は達成できておらず、ゲームを作成し管理する管理者が存在します。中には、非中央集権のゲームを目指しているところも多いです。実際に、非中央集権のゲームを目指したブロックチェーン技術ならではの施策を5つ紹介します。

1. アイテムのパラメータがプレイヤー投票で決まる

ブロックチェーンゲームでは、アイテムの価値が保証されています。しかし、ある例ではアイテムの価値が変動することで、プレイヤーが楽しめ納得するような内容になっています。

ブロックチェーンゲームの『クリプトスペルズ』では、プレイヤー次第でレア度の最も低いカードの強さが変動します。運営は月に一度、レア度の一番低いカードの強さをどう変えるか、いくつかの候補を提示。それに対して、プレイヤーは投票しその投票結果を元に、運営がカードの能力を決定します。

『クリプトスペルズ』のカードは5色に分かれており、それぞれ個性を持っています。どの色のカードを選ぶかによって戦い方が異なり、強さのバランスを取るためにこの投票が行われています。

2. プレイヤーがカードを作る


出典:OpenSea

さらに『クリプトスペルズ』では、プレイヤーがオリジナルのカード(NFT)を作れます。プレイヤーはカードの要素(名前、イラスト、種族、コスト、能力、など)を組み合わせます。次にカードの名前やイラストを設定して、マーケットプレイスにて公開します。

そうすると、オリジナルカードが発行され、そのカードを売買したりバトルで使用できます。世界で1 枚だけの、それも自分が作ったカードを世に出すことが実現するのです。

3. プレイヤーがゲーム内チーム『ギルド』を運営する

多くのブロックチェーンゲームでは、プレイヤーは『ギルド』というチームに分かれて、協力したり戦ったりします。また、そのギルド専用のアイテムもあります。

例えば『クリプトスペルズ』では5つのギルドがあり、プレイヤーは毎月好きなギルドに移動できます。先月はギルド『エメラルド』に在籍していたが、今月はギルド『ダイヤモンド』の専用カードが欲しいから『ダイヤモンド』に移動する。このようなことが可能です。

ブロックチェーンゲームの中には、ギルドに参加するだけでなく、ギルドを所有することや、ギルド運営もできます。ギルドには「株式市場」のような仕組み(NFT)があり、その株の所有数に応じて、ギルドにおける様々な権利を得ることも。

例として、『クリプトスペルズ』ではギルドの株の保有割合に応じて、ギルドに所属しているプレイヤーの課金額の15%が配分されます。これは一回きりではなくプレイヤーが課金する度に、自分が持っている株の割合に応じて継続的に収益を得られる、株の配当のような仕組みがあるのです。

主に、ギルドはプレイヤーによって運営されています。ギルドによって異なる方法で運営に関わるプレイヤーを決めているのも特徴です。

例えばギルドの『オニキス』では、プレイヤーからの立候補と選挙によって運営者が決まります。運営者はギルド全体の方針決めや運営を補佐するプレイヤーの任命、ギルドに集まった資金の分配方法を決められるなどの権利があります。

4. プレイヤーがゲームの方針を決める

また、ブロックチェーンゲームでは、運営ではなくプレイヤー主体でゲームの方針を決める、ガバナンスの仕組みが進んでいます。

こちらは『クリプトスペルズ』のユーザーガバナンス提案ページです。レアカードを保有している上位2%のプレイヤーは、毎月ゲームに対する変更を提案できます。

そして、プレイヤー投票で可決された場合のみ実施されます。ユーザーからの提案だけでなく、運営からも提案がされることがあります。プレイヤーにとって短期的にマイナスな投票であっても、プレイヤー自身の投票によって決まるため、運営に非難が集まらない仕組みになっています。

 「クリプトスペルズ」だけでなく、世界No1ブロックチェーンゲーム(記事執筆現在、DappRadar TopDappsランキング1位)であるブロックチェーンカードゲーム「Splinterlands(スプリンターランド)」でも、同様にプレイヤーの投票による開発予定の機能の優先度を変える仕組みが試験的に導入されています。

5.プレイヤーがゲームを運営する

世界No1ブロックチェーンゲーム(記事執筆現在、Dappsランキング1位)である「Splinterlands(スプリンターランド)」では、将来的にプレイヤーがゲームを運営する分散型自律組織(DAO)の構築を目標に掲げています。ゲームに関するあらゆる意思決定をプレイヤーが行うブロックチェーンゲームが進みつつあります。

既存のゲームでは、新しいアイテムのアイデアを考えることや、バランス調整でカードやアイテムの強さをナーフなど調整すること、ゲームを運営することは、運営会社が行っていました。

ブロックチェーンゲームでは、このように今まで運営会社が行っていたことがプレイヤーの役割になりつつあります。このようにブロックチェーンゲームは、プレイヤーが主体となる、非中央集権化が進んでいます。

5.まとめ

本記事では、ブロックチェーンゲームの具体的な事例を挙げながら、ブロックチェーンゲームとはなにか、既存のゲームの課題をどう解決しているか、ブロックチェーンゲームの未来について説明しました。

既存のゲームでは、アイテムの希少価値が保証されておらず、アイテムは1つのゲーム内でしか使えず、アイテムをお金にできないという課題がありました。

ブロックチェーンゲームはそれらの課題を解決し、さらにプレイヤーがゲームを作り、運営する非中央集権化への道に進んでいます。

執筆者:廃猫hainekolab
ブロックチェーンゲーム(BCG)の情報を発信中。博士(工学)。 国内最大級BCG「クリプトスペルズ」公式大会2度優勝。海外最大級BCG「Splinterlands」チャンピオンリーグ世界ランキング6位を達成。同ゲームの日本語翻訳監修。 著作として、国内初のBCG攻略本「ブロックチェーンゲームの初め方・遊び方・稼ぎ方(技術評論社)」

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