
投資家に注意喚起
仮想通貨強気相場の中で、小規模な上場企業による大規模な仮想通貨購入計画の発表が相次いでいる。これらの企業の多くは時価総額が数千万〜数億ドル規模にもかかわらず、数十億ドル規模の仮想通貨財政構築を宣言しているが、専門家はその持続可能性について警戒を呼びかけている。
VanEck社のデジタル資産責任者マシュー・シーゲル氏はThe Blockの取材で、これらの計画の多くが小型株の株価押し上げを狙った試みである可能性を指摘。「時価総額が小規模で新たな主要投資家の開示がない場合、一時的な投機行為と判断したほうがいいだろう」と分析し、投資家に慎重な姿勢を求めている。
例えば、米ナスダック上場のトライデント・デジタル・テックは最大5億ドルのXRP財政構築計画を発表したが、同社の時価総額は約1,600万ドルに過ぎない。自動車・ホスピタリティ企業ウェーバス・インターナショナルも時価総額1億ドル未満で最大3億ドルのXRP財政計画を公表している。
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また、教育技術企業クラッソーバー・ホールディングス(年初来-67%)は時価総額1億ドル未満ながら最大5億ドルのソラナ財政構築を発表した。DeFiデベロップメント社は最大50億ドルの株式売却でソラナ購入資金を調達する契約を締結し、3月末の時価総額700万ドルから約3.8億ドルまで暴騰。一部銘柄の株価は年初来3〜30倍ほど上昇している。
一方、アフィリエイト企業シャープリンク・ゲーミング(SBET)は約4.63億ドル相当のETH購入を発表し、イーサリアム財団に次ぐ世界第2位の保有企業になったと発表。しかし発表後に株価は約72%急落し、市場の懐疑的な反応を反映している。
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これらの動きは、マイケル・セイラー氏のストラテジー社によるビットコイン大量購入戦略の成功を模倣したものとみられる。シーゲル氏は投資判断において企業の実態と発表内容の整合性を慎重に検証するよう投資家に助言している。
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