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金融庁、JPYCを「資金移動業」と明示 公式資料でも初言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融庁は2026年4月、職員が金融規制の実務を解説する連載企画「アクセスFSA」の中で、国内初の円建てステーブルコイン発行事業者であるJPYCを「資金移動業者」として資料でも公式に位置づけた。PayPayや楽天ペイなど「○○ペイ」系サービスと同じ法的枠組みで監督されていることが、一次資料として明確に示された形だ。

JPYCが「資金移動業」に整理される仕組み

金融庁総合政策局の岸本浩介・資金決済業調整官は、同誌のインタビューで「最近話題の円建てステーブルコインを初めて国内発行したJPYC社も資金移動業者である」と明言した。

さらに岸本氏は、ステーブルコインと○○ペイの経済的機能が「同じ資金の移動」に該当することを、具体的な取引フローで説明した。

○○ペイの場合:ユーザーがウォレットに1万円を入金 → ○○ペイを通じて店舗に1万円を送金 → 実質的に「ユーザーが○○ペイに依頼して店舗へ送金した」と評価される。

JPYCの場合:ユーザーがJPYCに1万円を支払い、ステーブルコイン(JPYC)を1万円分受け取る → そのコインが市場で転々と流通 → 最終保有者がJPYCに償還請求(ステーブルコインを日本円に換金するよう請求すること)することで1万円を受け取る。

岸本氏は「大きな視点で捉えると、最初のユーザーが出した1万円が、回りまわって最終保有者のもとに届く。ざっくりいえば、○○ペイと同様の資金移動業という整理になる」と説明した。

法的根拠:「為替取引」の担い手としての資金移動業

この整理の背景には、「為替取引」という法律上の概念がある。ここでいう「為替取引」とは外国為替ではなく、第三者間で資金を移動させる行為を指す。

歴史的に、為替取引(資金移動)を行えるのは銀行のみとされてきた。しかし2010年に資金決済法が施行され、資金移動業の登録を受けた事業者も合法的に為替取引を行えるようになった。

岸本氏は「現行の法律上、為替取引を行うことができるのは銀行と資金移動業の2つ」と明言。銀行が預金を元手に貸し出しを行い経済全体の資金量を増やす「信用創造」ができる代わりに厳格な健全性規制に服するのに対し、資金移動業は信用創造はできないが規制が緩やかで、兼業規制もなく様々なサービスにチャレンジしやすい特性があると述べた。

資金移動業の3分類とJPYCの位置づけ

資金移動業には送金額に応じた3種の区分がある。

出典:アクセスFSA(金融庁広報誌)

  • 第一種(高額類型):送金上限なし、許可制、利用者資金の原則滞留不可
  • 第二種(従来類型):100万円以下/件、登録制、滞留可(受入100万円超は即時整備要)
  • 第三種(少額類型):5万円以下/件、登録制、滞留可(受入上限5万円以下)

JPYCはこの枠組みの中に位置づけられており、預かり資産の100%以上を保全する義務を負う。岸本氏は「資金移動業者が破綻したとしても、預けているお金は基本的には100%返ってくる」と利用者保護の仕組みを強調した。

金融庁が監督する「新しい決済インフラ」としての意義

岸本氏は資金移動業全般について、「国民のインフラとして機能している」と表現。PayPayの登録者数が7,000万人を超えるなど、もはや郷里送金のような伝統的な送金から、財・サービス購入のための決済まで幅広く利用されていると述べた。

ステーブルコインについては、金融庁の「資金決済モニタリング室」が○○ペイと同じ部署でモニタリングを行っており、岸本氏はその合理性を「一見すると全く違う経済的行為に見えるが、よく考えると同じ『資金の移動』といえる」と説明した。

また新規参入を検討する事業者向けには、法的論点を相談できる「フィンテックサポートデスク」(弁護士在籍)や、実証実験を継続支援する「フィンテック実証実験ハブ」の活用を推奨。2025年11月には、ブロックチェーンを活用した決済高度化に特化した「決済高度化プロジェクト」も設置されており、ステーブルコインを含む新しい決済サービスへのサポート体制が整備されつつある。

まとめ:一次資料が示すJPYCの法的地位

今回の金融庁資料は、JPYCを「国内初の円建てステーブルコイン発行資金移動業者」として公式に位置づけた初の一次資料となる。金融庁職員自身が「○○ペイと同じ」と明言した点は、ステーブルコインの制度的な立ち位置を理解する上で重要な意味を持つ。

円建てステーブルコインを巡っては、2023年の改正資金決済法施行以降、国内での発行・流通の枠組みが整備されてきた。今回の金融庁の説明は、その枠組みの中でJPYCがどのように位置づけられているかを改めて明確にするものだ。

出典:金融庁「アクセスFSA」2026年4月号(連載企画:金融庁職員が語る!金融行政の実務 ~フィンテック部門編②~)

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