- バイナンス、約30億ドルの資産を凍結
- 攻撃者、承認50件のうち1件でウォレット掌握
約63億ドルの被害
世界最大級の仮想通貨取引所バイナンスは30日、セキュリティインシデント(ハッキング事件)に関する更新情報を公表し、被害額が推計で約63億ドル(9,920億円相当)に上ると明らかにした。
バイナンスは全損失をユーザー保護基金(SAFU)と自社の資金で補償するとし、ユーザー資産は安全だと説明した。
原因を巡っては、バイナンスの初期調査で、開発運用(DevOps)担当エンジニアのノートパソコンが侵害され、攻撃者がサービスコンテナに入り込んで不正な出金取引を送った可能性があるという。ウォレットの秘密鍵が漏えいした痕跡は見つかっていないとし、詳細な事後検証(post-mortem)と、修復完了後の更新版の準備金証明(Proof of Reserves)を公開する方針だ。
対応として、バイナンスは入出金を一時停止し、影響を受けたアドレスの承認を取り消した上で、捜査当局やブロックチェーン分析のパートナーと資金の追跡・回収に当たっている。
また、ブロックチェーン分野のパートナー(テザーやサークル、アービトラム)と連携し、影響を受けた資産のうちこれまでに約30億ドルをブロックチェーン上で凍結した。
背景記事:バイナンスから9000億円以上の仮想通貨が不正流出、過去最大規模
バイナンスのイーサリアム用ホットウォレットから25億ドル以上の仮想通貨(複数銘柄)が新規ウォレットに移動した。創業者のCZ氏はハッキングのようだと述べ、ユーザー資金は安全だと明言した。バイナンスの公式声明は出ていない。
攻撃の手口
攻撃の手口を分析したブロックチェーンセキュリティ企業ブロックエイドによると、攻撃者はイーサリアムの「EIP-7702」を悪用した。EIP-7702は、ウォレットの動作を外部のプログラムに任せる承認を出せる機能で、承認が有効になるには、取引時点の口座の通し番号(nonce)との一致が必要だ。
攻撃者はオンライン接続型のホットウォレット「バイナンス14」の通し番号を特定できなかったため、番号を変えた50件の承認(18914775から18914824まで)を1回の取引で送り、1件だけが一致して権限が未検証の悪意あるプログラムに移った。このプログラムは、攻撃者が指定したアドレスだけがイーサリアムとERC-20トークンを移せる設計で、手数料用の1ETHを残し、今後入金される資産も移される恐れがあるとの見方をブロックエイドは示した。
解説記事:ビットコイン急落、バイナンス1兆円規模の流出で市場に動揺|仮想NISHI
ビットコインは日本時間30日朝、世界最大級の暗号資産取引所Binance(バイナンス)において、1兆円近い規模の暗号資産が不正流出したとみられる事故を受け、大きく下落した。今回の事故は単一の取引所にとどまらず、中央集権型取引所とDeFiが密接に結びついた現在の暗号資産市場において、信用不安がどこまで波及し得るのかを問う事態である。



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