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ビットコイン急落、バイナンス1兆円規模の流出で市場に動揺|仮想NISHI 仮想通貨アナリストが相場分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

*本レポートは、クリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。

クリプト市場マーケットレポート(10/30 PM12時執筆)

寄稿者:仮想NISHI仮想NISHI
クリプトアナリスト。BTC Status Alert制作協力者、DECOCHARTの企画・監修者。著書に『暗号資産の裏・投資戦略』。日本の業界に必要な投資関連情報の配信に携わっている。

ビットコイン(BTC)は日本時間30日朝、世界最大級の暗号資産取引所Binance(バイナンス)において、1兆円近い規模の暗号資産が不正流出したとみられる事故を受け、大きく下落した。

出典:CoinPost Terminal

今回の攻撃では、イーサリアムの改善提案「EIP-7702」による権限委任の仕組みが悪用され、Binanceのウォレットから不正な資金移転が行われたとみられている。流出した資産のうち、USDTやUSDCなどの主要ステーブルコインについては、発行体による凍結措置が講じられている。

一方、盗難資金の一部がDeFiの主要レンディングプロトコルであるAaveに流入し、USDTを担保とした大量のETH借り入れが行われたことも確認されている。これを受け、Aaveは追加的なリスクの拡大を防ぐため、広範な市場で新規預入・借入を一時停止する措置を講じた。

また、流出した資産がDEXなどを通じて大量にETHへ交換されており、一部市場ではETH価格が局所的に押し上げられた可能性もある。こうした特殊な資金移動による価格形成の歪みには注意が必要である。

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10月29〜10月30日の相場状況

取引所別の成行売買動向を見ると、流出事故が発生したBinanceにおいて顕著な売り圧力が確認できる。Bybit、OKX、HTXなどの主要取引所でも一時的に売りが強まったものの、足元では売り圧力が和らいでおり、Binanceほどの売り圧力は見られない。市場参加者がBinanceにおける取引リスクを警戒し、資金を退避させる動きが強まっている可能性がある。

Binanceに上場する主要銘柄のデリバティブ市場を見ると、幅広い銘柄で価格が下落している(下画像赤枠)ほか、アルトコインを中心に未決済建玉(OI)が10%を超えて減少した銘柄が多くなっている(下画像黄枠)。ポジションの解消やリスク削減の動きが鮮明となっており、市場参加者のリスク回避姿勢が強まっていることがうかがえる。

加えて、世界最大級の暗号資産取引所であるBinanceで事故が発生したことにより、市場全体の流動性も低下している。注文板の厚みが乏しくなる一方、清算リスクを抱えるポジションが残っているため、比較的小規模な売買でも価格が大きく変動し、連鎖的な強制清算が発生しやすい状況にある。事態が収束するまでは、ボラティリティの急激な上昇に警戒が必要である。

過去の代表的な海外中央集権型取引所(CeFi)の大規模流出事故としては、2025年2月21日のBybit(約15億ドル)、2026年9月24日のBitget(約3億5,000万ドル)が挙げられる。こうした事故の後には、市場参加者のリスク回避姿勢や流動性の低下によって、暗号資産市場が停滞する場面が見られた。今回のBinanceの流出規模はこれらを大幅に上回るとみられており、市場の信頼回復に時間を要する可能性がある。流動性の低下が長期化すれば、暗号資産市場全体の価格が一定期間低迷する展開も想定される。

現状分析(10月30日 12時時点)

Binanceの大規模流出事故は、今後の暗号資産市場に暗い影を落とす可能性が高い。

Binanceは高い流動性やセキュリティに対する市場参加者の信頼を背景に、長年にわたり世界最大級の中央集権型取引所としての地位を維持してきた。しかし、今回の事故によって、その信頼が大きく揺らぐ事態となっている。市場参加者が取引所の安全性を改めて見直し、暗号資産市場から資金を退避させる動きが続けば、流動性の低下を通じて価格の下押し圧力が長引く可能性がある。

さらに懸念されるのが、DeFi市場への波及である。今回の事故では、盗難資金の一部がAaveに預け入れられ、ETHの借り入れに利用された。その後、ステーブルコイン発行体による資産凍結が進んだことで、盗難資金の流通を阻止する措置と、DeFiにおける担保・貸借取引との関係が新たな論点となる可能性がある。現時点でAaveの貸し手に直接的な損失が生じる状況とはされていないが、広範な新規取引の制限が長期化すれば、貸借市場の流動性低下や資金調達コストの上昇を招く可能性がある。こうした影響が他のプロトコルや市場参加者に波及し、信用不安の連鎖につながるリスクには注意が必要である。

今回の事故は単一の取引所にとどまらず、中央集権型取引所とDeFiが密接に結びついた現在の暗号資産市場において、信用不安がどこまで波及し得るのかを問う事態となっている。

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