- 国連機関UNOPSでブロックチェーンの総括をされている山本氏などが登壇
- 国連でのブロックチェーン技術研究は、国連内部で広がりをみせており、山本氏は「もう後戻りできないほど(大きな)のもの」と発言。国連での活動において、ブロックチェーン技術をどう活用していくかの切り口や、P2Pのメリットを人道支援に活かすなどの可能性についてお話がありました。
3月27日に開催されたイベント「国連機関でのブロックチェーン・プロジェクトからミライの社会を考察する夜」について
3月27日(火)に永田町GRIDで開催された、「国連機関でのブロックチェーン・プロジェクトからミライの社会を考察する夜」にCoinPost編集部も参加いたしました。
今回は国連機関UNOPSニューヨーク事務所でブロックチェーンの総括をされている山本芳幸氏のプレゼンテーションの他、山本氏とソラミツ株式会社の松田取締役会長、株式会社VALUの小川代表取締役がパネラーとなり、Rising Bitcoin Japanの樋田氏がコーディネートを務めるパネルディスカッションも開催されました。
山本氏をはじめとする登壇者のプロフィールはこちらを参照して下さい。
国連の前に立ちはだかり解決できなかった課題をブロックチェーンの技術が解決、もしくはその困難さを和らげる可能性について感じられるイベントでした。
イベント内容をまとめてご紹介致します。
山本芳幸氏のプレゼン
国連内部では2016年の夏頃からブロックチェーンの技術研究を始めようという話題があがりました。
当時は国連内部でも反応はイマイチだったようですが、昨年は64機関のうち15もの機関、そして今年に入ると20以上もの機関が研究を既に開始しており、まさに国連内部でも世界の仮想通貨ブームの影響が浸透している事が、山本氏の話から伺えました。
なぜ、そこまで国連内部でブロックチェーン技術の関心が高いのか。
それは、「国連職員たちの苦い経験に基づくもの」だと山本氏は語ります。
山本氏を含めて、国連の職員は紛争地域をはじめ様々な地域での活動を行ってきたそうです。
しかし、そこでは解決できない課題が多く存在し、苦い経験を持つことになりました。
その課題はブロックチェーン技術を用いて解決、またはある程度緩和出来る可能性を多くの職員たちが感じています。
そのため、国連内部でもブロックチェーンへの関心が高まってきている、と話されていました。
では、ブロックチェーンの技術を用いて課題解決をする際にどのような切り口で考えていくのでしょうか。
この疑問に対して、「被益者を決める」という事と、「政府の機能」というの二つのカテゴライズの仕方が挙げられていました。
- 1.被益者を決める
-
- 移民
- 難民
- グローバル金融システムにアクセスできない人々
- 強制労働を強いられている人々
- ホームレス
- 2.政府の機能
-
- デジタル投票システム
- デジタルIDシステム
- 効率的な公共サービス
- 行政によるデータ管理(ex.登記簿など)
- 金融規制や枠組み
そして、現在の国際決済機関で募金をしても1000円が500円になってしまう弊害が挙げられ、クリプトファンドなどを活用して、より効率的に人道支援や募金のシステム構築ができる可能性に触れていました。
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パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、日本が現在世界のブロックチェーン技術推進において、先進国であるといった指摘がされていましたが、直近の規制の進展で、世界に遅れをとるかもしれないといった懸念も聞かれました。
山本氏は、もっともっと日本がこういった初期段階から枠組み作りにしっかりと参画して、後手に回らないようにすべきと発言しました。
レギュレーションと技術革新といったトレードオフの関係論争についても、やはり話題になった他、寄付の話にも話題が広がりました。
海外では、寄付の仕組みが確立していますが、日本ではまだまだ仕組み化されていない部分があり、お金を出したい人が出せない状況で、それは仮想通貨市場も同様だとの指摘もありました。
仮想通貨を多く持っている人からも募金していただいたり、参画してもらえるようなクリプトファンドが国連でも必要であると、山本氏は自身のプレゼンテーションと絡めてお話されていました。
まとめ
山本氏は淡々と喋り続けてらっしゃいましたが、国連内でブロックチェーン技術を推進し、世界の様々な課題を解決されていくという意気込みが感じられました。
国連の中の動きを、「もう後戻りできないほどのものになっている」とお話しされていた事は印象的です。
今後も様々な課題があるとは思いますが、いつの日か、ブロックチェーンの技術によって世界の難題を解決できたり、解決の糸口を見つけ出せる、そんな日がきっと来ることでしょう。