トランプ政権の規制環境に期待
米ブロックチェーン協会は22日、トランプ次期大統領と新議会にあてて書簡を提出。新政権の就任後、最初の100日間で検討すべき優先事項を挙げている。
米ブロックチェーン協会はまず、暗号資産(仮想通貨)業界はこれまで、敵対的な規制を受けて国外脱出を余儀なくされる例もあったが、今後は「規制環境が友好的になることに期待と楽観を抱いている」と述べた。
5つの優先事項
米ブロックチェーン協会は、米国が技術革新の世界的リーダーとしての地位を確実にすることを狙いとして、以下の5項目を優先事項として掲げている。
- 仮想通貨の規制枠組みを確立
- 仮想通貨企業から銀行サービスを奪うことを終了
- 新しいSEC議長を任命し、「SAB121」を撤回
- 財務省とIRSに新しい指導者を任命
- 議会や規制当局と連携する仮想通貨諮問委員会を設立
まず1番目については、市場構造とステーブルコインの法案を超党派で進め、消費者保護とイノベーションを両立させるような、仮想通貨の用途にそった枠組みを確立することだ。
こうした方向性の法案としては、「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法(FIT21)」や「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」が提出されている。
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2番目については、米国政府が仮想通貨業界への銀行サービスを制限しているのではないかとの疑惑が関連している。例えば、米コインベースは10月、米連邦預金保険公社(FDIC)などの当局が金融機関に対し、仮想通貨企業の預金に上限を設定していた可能性があるとして開示請求した。
他に、2023年に仮想通貨に友好的な米国の3銀行(シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行)が破綻した際、仮想通貨業界を銀行システムから締め出そうとする政権の意向が背後にあったのではないかとの意見も上がっている。
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3番目について、「SAB121」とはSECが発行した仮想通貨の保管に関する会計公報のことだ。顧客の仮想通貨を保管する企業に対し、それらの資産を貸借対照表に「負債」として計上するよう義務付けるもので、カストディ業務のハードルになると懸念されている。
なお、仮想通貨企業を厳しく取り締まってきた現職のゲンスラーSEC委員長は、1月20日に退任するとの声明を発表したところだ。現在、トランプ氏のチームが次期委員長の人選を検討している。
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4番目は、財務省と内国歳入庁(IRS)の人事に触れたもの。財務長官候補は、当初仮想通貨肯定派二人が有力だったが、現在は規制派の名前も浮上している。
IRSは連邦税に関する法的執行や徴収を行う機関だ。現在の長官は2023年3月に就任したダニエル・ワーフェル氏で、任期は5年のため、トランプ陣営がすぐに交代させることができるかは不透明である。
5番目については、業界と政権が直接議論できるような官民協働の場を設けることを提案する形だ。トランプ氏は公約として、こうした諮問委員会の設立を掲げており、現在メンバー企業を選定中と伝えられる。様々な企業が参加を熱望しているところだ。
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