- ファンダメンタルテーマ「新興国や債務国の政治経済」
- 投資の世界では、テクニカル分析とファンダメンタル分析の二つの分析を用いて投資戦略を行いますが、今回はファンダメンタル分析、とりわけ中でも「新興国や債務国の政治経済」というテーマを取り扱います。なぜ、新興国や債務国の政治と経済が仮想通貨の価格形成に影響を及ぼすのかに焦点を置いて解説致します。
二つの壮大な実験
なぜ新興国や債務国経済が重要なのかについて話す前に、今、金融の世界では壮大な実験が二つ行われているのはご存知でしょうか。
一つはもちろん「仮想通貨(ビットコイン)」で、もう一つは「金融の正常化」です。
リーマンショックが起こり、世界経済を立て直す為に米国、欧州、日本各国の政府と中央銀行は大規模な金融政策と財政政策、とりわけ量的緩和政策、金利引き下げ政策を行い、歴史上最も大規模的に世界中にお金をばらまきました。
この大規模な金融緩和政策の恩恵は、先進国のみならず、新興国にも波及。高い利回りを求めたマネーの動きが新興国債券にまで及んだわけです。
それから約10年。ようやく世界経済は回復していると言えるところまできて、米国FRBは利上げを含む金融の正常化をはじめ、欧州ECBも出口戦略を意識した発言が出始めている他、日本でも出口戦略が一部マスコミ等でも報道されるようになってきました。
しかし、これだけの金融緩和を行った後に出口戦略を取る中で、先進国の金融政策の恩恵を受けてきた新興国の経済はどうなるのかといった懸念があります。世界のマネーの流れが逆回転し、新興国からマネーの流出が起こるのではといった懸念があります。
このマネー流出によって、新興国の経済、そして政治の不安が起こり、急速なインフレーションに今後苦しむ国が出てくる可能性があり、自国の通貨が不安定なものとなった時、ここで一つの解決策が出てきます。
それこそが「仮想通貨(ビットコイン)」なのです。
過去の政情不安がビットコイン価格にどう影響したか
仮想通貨(ビットコイン)は、キプロスショックをはじめ、政治経済の不安が起こると、マネーの逃避先となっただけでなく、ビットコイン価格は上昇しました。直近、イタリアの財政不安の影響によって価格の上昇が起こったと指摘されております。
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現在起こっている金融正常化の流れは新興国だけでなく、イタリア、スペインなどの多額の債務国も無関係ではありません。金利の上昇により、債務返済、つまり借金が返せなくなるようなリスクもあります。
このように、今世界の流れは金融の引き締め、マネーの逆回転が起こりつつあり、しかもこの規模は今まで過去歴史上みても無い規模での金融引き締めであり、経済学的にみて壮大な実験であることは言うまでもありません。
果たしてこの壮大な実験はうまくいくのか、もう一つの試みである仮想通貨にどう影響していくのか。非常に面白いテーマとなりそうです。
以上の理由から仮想通貨投資家は、新興国やスペインやイタリアなどの債務国の動向に注視しながら投資をすべきでしょう。