
ビットコイン(BTC)をウォレットに保有したまま、他のPoSチェーンのセキュリティに貢献し、報酬を得られる新しい仕組みとして注目を集めているのが「バビロン(Babylon)」です。TVL(Total Value Locked:預かり資産総額)は40億ドルで業界トップクラスであり、BTCの新たなユースケースを切り拓くプロジェクトとして期待されています。

ネットワーク別、ステーキング総額の比較(25年4月) 出典:Babylon
本記事では、ビットコインのステーキング市場の概況やバビロンの特徴、国内導入事例まで詳しく紹介します。
目次
- Babylonの特徴とメリット
Babylonの現状:エコシステム
Babylonのロードマップ - 仮想通貨BABYとエアドロップ
- ステーキング手順
- プロジェクトの背景と資金調達
- 国内企業の導入事例
- ビットコインステーキング市場
競合プロジェクト
BabylonとEigenlayerの比較
Babylonの特徴とメリット
Babylonプロトコルの目標は、ビットコイン保有者が自分のBTCをロックアップしてネットワークにセキュリティと流動性を提供し、その対価として検証報酬(ブロック報酬や手数料)を得られる仕組みを確立することです。
外部のPoSチェーンやロールアップ(Rollup)は、このBTCステーキングを活用してネットワークの安定性や安全性を高めます。
- ラッピングやブリッジが不要
従来はBTCをラッピングしたりブリッジする必要がありましたが、Babylonではビットコインチェーン上で直接ロックするため、資産を自己管理しながらステーキングが可能です。 - フェーズ2で本格報酬が開始
現在のフェーズ1ではトークン報酬がまだなく、代わりに「ポイント」を付与。フェーズ2に進むとBTCステーキングによるPoS報酬が本格的に得られる見込みです。 - 高速アンボンド
「EOTS(抽出一回限りの署名)」技術により、BTCを自己保管したままステーク解除までを約5時間に短縮。必要なときに流動性を確保しやすい点が魅力です。
Babylonの現状:エコシステム
ステーキングフェーズ | Phase 1 |
---|---|
ステーク量 | 約53,049.37 BTC(約45億ドル) |
上限の有無 | ステーキング受付あたり一部上限あり |
提携プロジェクト | Akash, Cosmos,Stride, Injective,Kava Network, SatLayer など |
その他指標 | 最大ロック期間:15ヶ月/ 最低ロック期間:7日/ 高速アンボンド:最短約5時間 |
Babylonエコシステムの現状

Babylon の現状(25年4月)
- Liquid Stakingプロトコル:BabylonでステークされたBTCを担保に液体ラップ資産を発行するプロジェクト(Lombard、PumpBTC、pSTAKEなど)が存在。BTC保有者はセキュリティ提供と流動性を同時に得られます。
- ウォレット・カストディサービス:KeystoneやBinance Walletなど、ビットコインをステークできるウォレットやカストディサービスがリストアップされています。
- Bitcoin Secured Networks:BOB、Osmosis、Sei、CornなどがBabylonプロトコルを統合し、BTCセキュリティと流動性を活用。
- インフラプロバイダ:Satlayer、AnkrなどがCosmos、OP-Stack、Arbitrumと連携し、Bitcoinステーキングを導入する仕組みを提供。
Babylonのロードマップ
Babylonプロトコルは、3つのフェーズを段階的に進めながらローンチされます。
Phase 1(2024年12月~)
すでに57,000BTC以上がステークされ、早期参加者には「BABY」トークンのエアドロップ登録機会が提供されました。
Phase 2(2025年以降)
Babylon Genesisのローンチにより、ロックされたBTCがPoSチェーンの合意形成をサポートし、ブロック報酬や手数料をステーキング報酬として受け取れるようになる予定です。特にBTCを担保にした流動性機能(LSTのミンティング、DEX、貸付プロトコル、インセンティブ市場など)も展開されます。

Phase3稼働後の機能イメージ 出典:Babylon
Phase 3
Bitcoin Secured Networks (BSNs)のローンチにより、同じBTCを複数チェーンへ同時にステーク可能に。複数のチェーンから複数の報酬を得られるマルチステーキングが実現します。
Babylon Genesisは、Bitcoin Secured Networksを支える流動性ハブとして機能し、他のBSNsと協調してビットコインのセキュリティと流動性を広く提供します。ビットコインの「価値の保存」以外の新たな活用が加速する見通しです。
仮想通貨BABYの概要

BABYは、Babylonプロジェクトのガバナンストークン兼ユーティリティトークンとして位置づけられています。
初期発行量は100億枚で、以下のような用途や配分が計画されています。
BABYの主な用途
・Babylonチェーンのガバナンス(投票権)
・ネットワーク手数料の支払い
・ビットコインと併用したステーキング(BTCステーカーとBABYステーカー双方が報酬を受け取る仕組み)
インフレ率と報酬
・現時点でのインフレ率は年8%(将来的にガバナンスによって変更の可能性あり)
・BTCステーカーとBABYステーカーに対し、それぞれ4%ずつの報酬分を供給
配分割合

出典:バビロン財団
初期発行量:100億枚
・コミュニティのインセンティブ:15%
・その他(チーム、投資家、アドバイザーなど):85%
この配分は3年または4年のロック期間が設定されている部分があり、ロック解除のスケジュールは段階的に進む計画です。
配分割合や各カテゴリーはガバナンスにより変更される可能性があります。
エアドロップ
初期発行量の6%(6億枚)が早期参加者などに対するエアドロップとして予定され、以下のような割り当てが公開されています。
- Phase1のステーカー:計3,000万枚
- 資格のあるステーカーとファイナリティプロバイダー:計約3.4億枚
- Phase2への移行に成功したステーカー(上記の対象者):計2億枚
- Pioneer Pass NFT保有者:計3,000万枚
- オープンソース開発者:計500万枚
なお、ウォレットキャンペーンやリキッドステーキングのインセンティブなど、その他のエアドロップ枠も存在し、詳細は随時公開される見込みです。一部の暗号資産取引所では、BABYのプレマーケット取扱いが既に始まっていますが、正式なエアドロップの具体的な日程は未定とされています。
ステーキング手順の概要
OKX WalletやUniSatなど、対応ウォレットを準備し、最小0.005BTC・最大5,000BTC(1トランザクションあたり)をロックします。
約21日程度のロックアップが必要で、アンボンドには7日ほどを要する仕様です。
現フェーズではポイントが報酬形態ですが、フェーズによって報酬率やインセンティブ構造は変わる可能性があります。
Babylonのステーキングステップ
- ビットコイン(BTC)の購入とウォレットへの移行
- Babylon専用UIにアクセス
- 対応ウォレットの準備
- ステーキングの流れを把握
- 手数料を考慮
- ステークがアクティブになるまで待機
- 仕組みの理解
- 現フェーズの報酬状況を確認
- Phase-1: ビットコイン所有者がビットコインをロックす
- Phase-2: ビットコインのステーキング有効化
- Phase-3: 複数のチェーンで同じビットコインを同時にステーキングできるように
- 目的の違い: Babylonはビットコインのステーキングに特化しているのに対し、STXはビットコインでスマートコントラクトの構築に特化しています。
- ステーキング報酬の獲得プロセス: Babylonはビットコインをステークして報酬を得るのに対し、STXでは$STXをステークして報酬をビットコインで獲得できます。
- 技術面の相違: BabylonはCosmos SDKを基盤に構築されたPoSブロックチェーンに対して構築されています。STXはビットコインレイヤーをベースに構築されており、独自コンセンサスアルゴリズムのプルーフ・オブ・トランスファー(PoX)で運営されます。
- 価格変動リスク:BTCやBabylon関連トークンは大きく価格変動する可能性があります。
- スラッシュリスク:不正行為による担保BTCの没収リスクが存在します。
- 技術的リスク:スマートコントラクトやスクリプトのバグ、脆弱性による損失などが考えられます。
1. ビットコイン(BTC)の購入とウォレットへの移行
国内暗号資産取引所でビットコインを購入し、自身で管理するウォレットに送金します。
ステーキングに使うBTCを、必ず安全に保管できるウォレットへ移行しておきましょう。
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2. Babylon専用UIにアクセス

ステーキングUI 出典:Babylon
Babylonが提供するステーキングプロトコル用のUI(dApp)で操作を行います。
ステークしたBTCの状態(Pending・Active・Overflow)を確認し、早期解除(アンボンド)のリクエストなども可能です。
※現在は「locking-only phase」でPoSチェーンが稼働していないため、報酬はなく「ポイント」が付与されます。
3. 対応ウォレットの準備
OKX Wallet、UniSat、Leather、Phantom、Magic Eden、Fordefi、OneKeyなどがBabylonに対応しています。
ハードウェアウォレットでは、KeystoneやOneKeyシリーズ(特定のファームウェアのみ対応)も利用可能です。
BRC-20やARC-20などのトークンを同一ウォレットで保有している場合は、紛失リスクがあるため推奨されません。
4. ステーキングの流れを把握
ビットコインを自己管理型のスクリプトに一定期間ロックし、PoSチェーンでの「投票権(Voting Power)」を得ます。
ロックしたBTCの投票行動は「ファイナリティプロバイダー」が担当し、ユーザー自身で運営するか、第三者に委任できます。
もしファイナリティプロバイダーがPoSシステムを攻撃すると、投票権を担保にしたBTCがスラッシュされる恐れがあります。
5. 手数料を考慮
ステーク・アンボンド・引き出しには、それぞれビットコインのネットワーク手数料が必要です。
十分な手数料を上乗せしないと、アンボンドや引き出しができなくなる可能性があります。
また、引き出し時にはステークしたBTCから所定の手数料が差し引かれます。
6. ステークがアクティブになるまで待機
ステークした直後は、ビットコインのブロック確認が10回必要なため「Pending」状態になります。
また、既定の上限(Cap)を超えた分は「Overflow」となり、アンボンドして引き出す必要があります。
7. 仕組みの理解
ステーキングしたBTCは、第三者に送金されるのではなく、自己管理型のスクリプトにロックされます。
ウォレット残高は減ったように見えますが、ユーザーの承認なしに動かすことはできません。
ただし、コードの脆弱性やサービス停止などのリスクは考慮が必要です。
8. 現フェーズの報酬状況を確認
現在の「locking-only phase」ではPoSチェーンが稼働していないため、報酬はありません。
その代わりに早期参加者には「ポイント」が付与されますが、これはトークンではなく、換金性は保証されていません。
プロジェクトの背景と資金調達
Babylonを運営するのは、カリフォルニア州を拠点とするBabylon Labsです。共同創業者兼CEOの David Tse氏はスタンフォード大学の教授として情報科学分野で著名な存在であり、 共同創業者兼CTOのFisher Yu氏はDolby Laboratoriesでマルチメディア研究を率いた経験を持ちます。 さらに、Eigenlayer創設者兼CEOのSreeram Kannan氏などがアドバイザーとして名を連ねており、 暗号資産分野をけん引する実力者が多数参加している点が特徴です。
資金調達一覧
日付 | ラウンド | 調達額 | 投資機関 |
---|---|---|---|
2023年3月 | シードラウンド | 800万ドル | IDG Capital, Breyer Capital など |
2023年12月 | シリーズAラウンド | 1,800万ドル | Polychain Capital, Hack VC など |
2024年2月 | 私募ラウンド | 不明 | YZi Labs(旧Binance Labs) |
2024年5月 | プレ・ローンチラウンド | 7,000万ドル | Paradigm, Polychain Capital, HashKey Capital, Galaxy, Hack VC など |
合計で約9,600万ドルを調達しており、IDG Capital、Polychain Capital、Paradigm など大手投資家が参加しています。この豊富な資金力が、Babylonの開発やマーケティング活動を強力に支えています。
国内企業の導入事例
Zaifのステーキングサービス提供へ向けた動き
Zaifは株式会社Zaifが運営する国内暗号資産取引所です。BTCを買値と売値を設定し、自動で売買することができる「Zaif 自動売買おてがるトレード」など魅力的なサービスが提供されています。
Zaifは2024年12月にビットコインのステーキングサービス提供へ向けた発表をしました。
このプロジェクトではビットコインステーキングソリューションの開発を行うBfluxと協業し、バビロンプロトコルを活用してビットコインのステーキングサービスを提供する予定です。
bitbank、バビロンのメインネットローンチPhase-1(Cap-3)へ参加
国内暗号資産取引所「bitbank」がバビロンメインネットローンチに向けた取り組みに参加することを発表しました。
バビロンは3段階のマイルストーンに分けてメインネットをローンチします。
さらに各段階は「Cap」という細分化された内容に分けられており、bitbankはこの内のPhase-1 (Cap-3)へ参加することを発表しています。
これにより、bitbankは暗号資産のユースケース拡大を目的としBabylonについて今後も調査を進めていく方針です。
ビットコインステーキング市場
ステーキングとはトークン保有者が一定量の暗号資産をロックアップさせ、担保として資産を引き出せない状態を作ります。そのロックアップ期間中にユーザーは報酬としてトークンを獲得できる仕組みです。
これまでPoSに限定され。PoWのビットコインにはできなかったが、最近は、ビットコインでもステーキングすることを可能にするプロジェクトが誕生しました。
需要を確かめる指標の一つとして、ビットコインステーキングサービスのTVLが増加しています。TVL(Top Value Locked)はプロジェクト価値を判断するのに重要な指標です。
このビットコインステーキングサービスにおけるTVLでトップに位置しているのが、バビロン(Babylon)です。
2025年1月時点でBabylonのTVLは約60億ドル、2位のLombardのTVLは約20億ドルでBabylonがビットコインステーキング分野を牽引しています。多額の資金調達を実施しており、合計額は約1,000万ドルに及びます。今後もプロジェクトのエコシステム成長が期待されています。
競合プロジェクト
Lido
Lidoはイーサリアムネットワーク上のリキッドステーキングです。WBTCなどラップされたトークンを介してBTCのステーキングが可能です。WBTCをステークし、PoSを採用するブロックチェーンにBTCをステーキングできます。
SolvBTC LSTs
Solvプロトコルは暗号資産取引所をブリッジし、ビットコインのステーキングを簡単に、投資家が実行できるように設計されています。
SolvプロトコルからBabylonチェーンにステーキングし、solvBTV.BBNを獲得し、イーサリアムやアービトラムなどのマルチチェーンにステークされます。
STX(Stacks)との違い
Babylonと比較されることが多いプロトコルの一つにSTX(Stack)があります。STXはスマートコントラクトを構築できるように設計された、ビットコインの「レイヤー2」ソリューションです。
相違点
BabylonとEigenlayerの比較
「ステーキング資産を再利用する」という点では、Ethereum向けに再ステークを可能にするEigenlayerが知られています。
両プロジェクトとも、「既存の大規模資産をいかに効率的に使うか」を事業化しており、BabylonもEigenlayerはEthereum保有者を主軸としており、今後も相互に比較されながら成長していくでしょう。
項目 | Babylon | Eigenlayer |
---|---|---|
対応資産 | ビットコインを直接ステーキング | イーサリアムを再ステーク(ETHやLST) |
主な目的 | BTCの価値とセキュリティをPoSチェーンへ活用 | Ethereumの強固なバリデータセットを複数DAppやサービスのセキュリティに再利用 |
背景 | Cosmos SDK上で独立チェーンとして構築し、BTCをPoSチェーンに接続 | イーサリアム上のスマートコントラクトでAVS(追加サービス)を保護 |
TVL | 2025年1月時点で約60億ドル | 約107億ドル(再ステーク資産として推定) |
まとめ
Babylonは、ビットコイン(BTC)を自己管理しながらPoSチェーンのセキュリティに貢献し、 報酬を得る仕組みを提供する新たなプロトコルです。BTCをラッピングする必要がなく、 複数チェーンへの同時ステーキングが期待されるなど、ビットコインの新たな活用を切り拓く可能性があります。
一方で、以下のリスクにも注意が必要です。
投資・ステーキングを検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、 プロジェクトの進捗状況や市場動向を見極めたうえで慎重に判断することをおすすめします。
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