- XRP価格に影響を与えている要因
- 時価総額3位のXRP価格に対し、米リップル社の卓越したメディア戦略が好影響を及ぼしている可能性がある。また、直近1ヶ月のXRP取引量で見ると、法定通貨の中で占める割合が最も大きいのは、韓国ウォンだった。
- XRPとは
- 米Ripple社が開発する仮想通貨で、ネットワーク上の仮想通貨やフィアット間をつなぐブリッジ通貨の役割を持つ。銀行間における国際送金システムでの利用で将来性を期待されている。
評価が二分しやすいXRP
仮想通貨コミュニティの中でも、他の仮想通貨に比べて、支持派、否定派と大きく意見の別れる時価総額3位のXRP。
その価格推移は今までのところ、他の仮想通貨と同様、大筋においてビットコイン価格と連動している動きを見せています。
しかし、仮想通貨の「基軸通貨」とも言われ、社会的に認知度が最も高いビットコインと、XRPとは本質的に異なる部分が複数あり、価格に影響を与える要素にも、違いが見られます。
XRPとBTCの一番顕著な違いとしてよく挙げられるのは、BTCには中央管理者は存在せず、「非中央集権的」である一方、XRPはリップル社がその発行上限とされる1000億XRPの6割を所有し、「中央集権的」にXRPを開発・管理しているとされる点があります。
また技術面では基盤も異なり、XRPはブロックチェーン技術ではなく、同技術に類似した分散台帳技術であるXRPレジャーを基盤としており、不特定多数によるPoW (Proof of Work) ではなく、PoC (Proof of Consensus)というコンセンサスアルゴリズムを使用。Validater(承認者)と呼ばれる、限られた人数の代表者が取引の承認を多く行っています。
パートナーシップ締結のために
このような点が、初期からBTCを支持してきたグループからの反発を受けやすい要因になっていると指摘されますが、実際に企業や銀行での利用を促進していくためには、必ずしも不利ではありません。
現に、今までリップル社が提携を結んできた政府中央銀行をはじめ、銀行などの金融機関や主要企業などには、世界でそれぞれの分野をリードする組織が名を連ねています。
呼び名が同じため、仮想通貨XRPと混同されやすいリップル社ですが、必ずしもXRPの使用を求めるばかりではなく、銀行間の即時国際送金のためのxCurrentなどのプロダクトを展開しており、国際送金のためのプラットフォームのスタンダードとなるべく事業展開を行っています。
現在の「情報」のインターネットから「価値のインターネット」の基盤となることを同社の理念として、提唱しています。
そのためリップル社は、新しい技術のスタートアップ企業が、社会に根付いていくために欠かせないパートナーシップの形成と顧客ベースの確保に、多くの財政的および人的資源を割いています。
巧みなメディア戦略
特に、マーケティングを含む市場戦略責任者として、メディア向けに顔の効くCory Johnson氏を起用するなど、企業戦略として、メディアでの存在感をいかに大きくするかに注力していることが伺えます。
実際に大成功を収めているのが、メディアを巧みに使ったイメージ戦略です。
一例を挙げると:
- ・アメリカのテレビの人気番組であるThe Ellen DeGeneres Showで、ホストのEllen DeGeneresが力を入れている野生動物保護の基金のために、俳優のAshton Kutcherが、400万ドル(4億4千万円)相当のXRPを寄付
- ・アメリカの公立高校の歴史教師が始めたクラウドファンディングサイト、DonorsChoose.orgに、28,000を超える現場の公立学校教師から寄せられていた寄付嘆願プロジェクトの全てを2900万ドル(31億9000万円)相当のXRPで、一夜にして叶える
- ・大学ブロックチェーンリサーチ 構想:世界の名門大学から17校を選び、共同でブロックチェーン関連の研究を進めるのに、5,000万ドル(55億円)を寄付
などがあります。このように、人々の感情に直接訴える手法で、リップル社に対する好感度は上昇します。
そして、感動した人々はそれをシェアせずにはいられず、口コミやSNSで、良い評判は広がっていきます。
中央集権的な通貨だからこそできる方法です。
投資の判断には、合理性が必要だと思っていても、市場を動かす大きな要因の一つは、人間の感情です。
無情なはずのWebBotも情報を集める際に注目するのは、多くの人々がどのような「感情」を体験しているかです。最終的には、その分析結果も、市場に影響を与えることにもなります。
また、XRPの本質とは直接関係はないものの、価格に影響を与える注目すべき要因として、韓国のXRP取引量に占める存在の大きさも挙げられるでしょう。
直近の取引量
直近1ヶ月のXRP取引量で見ると、韓国ウォンは、BTC(33.52%)、USDT(24.62%)に次いで第3位で、総取引量の20.18%を占め、米ドルでの取引量を上回り、法定通貨での取引では最高位となっています。(CryptoCompareより参照)
実際、4月に起こったXRPの高騰(4月20日時点)では、韓国大手取引所BithumbとUpbitが、当日の取引量の43.2%を占め、ランキング10位以内に入った二つの取引所(Coinone と Korbit)を含めると、世界のXRP取引量の50%を韓国勢が占めていました。
この事実が意味することは、XRPの価格に対する韓国情勢の影響の大きさです。つまり、韓国規制当局の動向や、社会情勢が、過度にXRP価格へ影響を及ぼすことが考えられます。
韓国に対しては、リップル社は 韓国の大学、高麗大学校と提携して研究を進める世界17大学の一つとして選んでいます。
中央集権的だからこそ、ピンポイントで影響力を行使できます。
XRPのこれからの価格を予想する上で、メディアが何を報じているかに注目してみると、大変興味深いのではないでしょうか。