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SBIVC本稼働に向け、仮想通貨市場の将来性を語る|SBI経営近況報告会

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SBI経営近況報告会
SBIバーチャルカレンシーズ(SBIVC)が大きな期待を集める中、北尾社長が為替市場の年間取引高18京円と比べ、仮想通貨市場は69兆円に過ぎないと成長性を示唆。Sコイン構想や、デジタルアセットを活用した新しい資金調達法「TAO」についても説明した。
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記事内容は、公式動画と公式資料の内容をCoinPost編集部で見やすくまとめたものであり、発言内容には意訳が含まれます。関連銘柄に投資などされる場合は、ご自身で内容をよく精査の上、ご判断ください。
SBIVCとは
東証1部上場企業であるSBIホールディングスの子会社が運営する、国内大手の仮想通貨取引所。6月上旬から先行予約口座のみ限定稼働開始した。ネット証券No.1のSBI証券を擁しており、互恵関係が期待されている。

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経営近況報告会 2018

仮想通貨関連事業を推進する、SBIホールディングスの株主総会が6/28(木)に開催されました。

金融庁の認可を得た仮想通貨取引所「SBIバーチャルカレンシーズ(SBIVC)」の本稼働を7月に控えているとされており、仮想通貨市場からも高い関心と注目を集めるSBIホールディングス。

6月28日(木)に開催された株主総会の場で行われた、「経営近況報告会2018」のSBI公式動画が公開されたので、情報を一部抜粋して紹介しています。

Sコイン構想について

出典:SBI公式資料

Sコインとは、仮想通貨のような独自トークンの発行を想定した、SBIグループの「Sコインプラットフォーム」の各地域金融機関への導 入を推進する構想です。

北尾社長は、Sコインの利点について、以下のように述べました。

北尾社長

みずほ銀行のJコインなどは、自分の取引先のみを対象にしている。”Sコイン”であれば、プラットフォームごと持っていくことで、UC台場コインのように地方銀行や地方公共団体と提携することができ、地方創生にも繋がる。

単一のシステムを利用しているため、各地方銀行が発行したトークンを容易に交換可能であり、将来的に、ATMが要らなくなる世界を創り上げていきたい。

Huobiとの提携解消について

当初、中国の仮想通貨取引所「Huobi」が使用する頑強な取引システムの導入を検討、提携したという北尾社長。

しかし契約の最終局面で、Huobi代表に対して中国政府の「出国禁止命令」が下り、2回もキャンセルになったことで、方針転換を余儀なくされました。自社で行うために白羽の矢が立ったのが、米ナスダックの取引システムであり、SBIVCではこれを採用しています。

出典:SBI公式資料

上場通貨の選定基準について

また北尾社長は、「匿名性の高い通貨は、やるつもりはない。なぜなら、リクイディティ(流動性)がほとんどないからだ。」と発言。

先日発生した一部通貨への51%攻撃を例に出し、取り扱い通貨についてはなおさら慎重に検討するとしています。

マイニング事業について

出典:SBI決算資料

経営近況報告会 2018では、SBIグループが注力する「マイニング事業」についても言及しました。

データセンターとのシナジー

北尾社長は、マイニング機械とチップだけでなく、AI、人工知能、IoTが活況になるにつれ、データセンター市場規模が急拡大すると予想。

また、デジタルアセット関連のベンチャー企業などに投資を行うSBIクリプトインベストメントは今年5月、風力発電所で余剰電力を買い取り、コンテナ式のマイニング設備をSBIグループに提供するとする、ベルギー(ルクセンブルグ)の「エティックス・グループ」の株を取得したと発表しています。

エティックス・グループは、データセンターの構築・運営を行うベルギーの企業です。

出典:SBI公式資料

量子コンピュータとマイニング

さらに、計算能力が飛躍的に上昇する次世代マシンである「量子コンピュータ」について、以下のように述べました。

北尾社長

現在SBIグループで購入を検討しているのは、組合せ最適化問題に特化した量子アルゴリズムの一つである「アニーリング方式」を用いており、17億円ほどする代物だ。今後マイニング環境は爆発的な進化を遂げる可能性がある。

ビットコインキャッシュ(BCH)に注力する理由

出典:SBI決算資料

また、SBIホールディングスがビットコイン(BTC)ではなく、2018年4月19日時点の採掘シェアは5.6%とする「ビットコインキャッシュ(BCH)」に注力する理由として、以下の理由を挙げています。

    BCHの選択理由
  • 一地域に偏在するマイニング状況の是正
  • SBIグループのデジタルアセットエコシステムにおける機能補強(流動性確保、クリア リングなど)
  • アクティブマイナー(取引承認者)としてBCHの発展に寄与する

仮想通貨のセキュリティに関して

仮想通貨のセキュリティ面には特に注力しており、ハッキング被害などが相次ぐ仮想通貨市場では、仮想通貨を管理・保管するウォレットがハッカーに狙われやすく危険だと警鐘を鳴らしており、対策の一環として、セコムとの提携を決めたとしています。

北尾社長

マルチシグで複数生成された秘密鍵の内、いくつかをセコムに預ける。

技術開発を組み合わせて、販路を作り上げていき、世界中に販売していくことも検討する。

仮想通貨の市場規模と将来性について

出典:SBI公式資料

50〜60年に1度の新しい経済循環への長期波動が、仮想通貨やブロックチェーンのプロジェクトが動き始めた2010年頃より始まっているとしており、仮想通貨の将来性について以下のように述べました。

北尾社長

仮想通貨市場は、10年後には約40兆ドル(4000兆円)規模になるという一部予想もある

現在の仮想通貨の市場規模は、グローバル市場で31兆円足らず。

昨年末のピーク時より半減しているが、米相場の先物市場では、ピークから「半値八掛け二割引(32%)」ということわざがあり、30%ぐらいで下げ相場は落ち着いてくるものだと説明。さらに、他市場との比較を行いました。

北尾社長

世界全体の株式市場規模は、9,500兆円ある。これに対して、仮想通貨の市場規模は、たった31兆円だ。

仮想通貨の年間取引高は、69兆円だが、為替市場の年間取引高は、18京円にも及ぶなど、文字通り桁違い。比較すると仮想通貨市場はまだまだ小さなものであり、仮想通貨市場はバブルにすらなってないのではないか。

仮想通貨相場は下がるところまで下がったら、また上がっていくことになるだろう。そのためには、実需を生み出すなどやるべきことをやっていかなければならない。

仮想通貨の実需面については、以下のように言及しています。

北尾社長

仮想通貨の市場規模拡大のためには、機関投資家などに仮想通貨の新たな取引機会提供のため、まずは”実需を作る”ということが重要だ。

仮想通貨を組み入れたファンドの設立(SBI Coventure Asset Management)であったり、先物など仮想通貨のデリバティブ市場の創設により、機関投資家やヘッジファンドが長期的に運用できるようなシステムを作り上げることで、投機需要が下がり、実需が上がるだろう。

アメリカは流石だ、フューチャーマーケット(先物取引市場)などを作った。日本も追従しなければならない。

新たな資金調達法「TAO」

SBIの北尾社長は、デジタルアセットを活用した新たな資金調達方法に関して、「TAO(Tokenized Asset Offering)」に対して、高い関心を持っていると明かしました。

TAOとは、対象の仮想通貨をコインではなく有価証券と認めつつ、トークンを発行することで資金調達していく手法です。

現在、アメリカを中心に「仮想通貨の有価証券問題」が議論になっており、SECの結論は、イーサリアム(ETH)はコインだと認定されています。

また、コイン購入者への値上がり以外のメリットとしては、以下の2種類が考えられるとしています。

サービスバックドトークンとは

中間持株会社でコイン発行を行い、所有量に応じてサービス料金などが大幅に減額されるもの。

トークンの保有者はその保有量に応じて、SBIデジタルアセットホールディングス傘下の各企業が提供するサービスを、無料または好条件で一定期間利用できる設計とする。

アセットバックドトークンとは

発行体の知的財産(IP)を含む、全てのアセットに裏付けられたトークンにするもので、発行体の価値とトークンの価値は連動している。

傘下企業の持分売却(上場時の売り出しを含む)によりキャピタルゲインを得た場合など、トークンの保有量に応じてキャピタルゲインの一部を分配することも検討。

これについて北尾社長は、

北尾社長

キャピタルゲインの利益は、もちろん有価証券になるが、それで構わない。

分厚い目論見書や煩雑なプロセスを不要にして、アメリカで認可されている「TAO」の仕組みで出していきたい。

と、語りました。

ICOの問題点

一方でICO(Initial Coin Offering)に関しては、「現状で最大の問題点は、監査法人による会計処理のルールが決まっていない点であり、決算が閉まらない。」と指摘。

「関係者には世界中の監査法人に働きかけてもらい、ゆくゆくは、発行から流通に至る一貫体制を構築して、信頼できるトークンマーケットを作りたい。」と、抱負を述べました。

SBIの投資先について

SBIの北尾社長は、実需に繋がる”グローバル・スタンダード”になるだろうと感じ、国際送金分野では、米Ripple社に。貿易、金融その他の取引では、R3社に早くから投資したと強調。

これらの企業は、IPOしたら大変なバリューになるが、上場されると逆に困る部分もあり、利益が上がりすぎて税金がすごいことになるほか、公開したら売却せざるを得ないので、本意ではないと語りました。

米Ripple社のサービス『xCurent』については、世界有数のサンタンデール銀行が導入するなどしており、「やがて、世界中の主要金融機関で使用するようになるだろう。」と予想。

法人間の大口送金に対して、『xCurent』だけでなく、仮想通貨XRPを使用した場合は、トランザクションがさらに大きく削減できるものの、それだと金融機関の不要論が台頭しかねず、現状では「個人間のスモールなお金だけで、金融機関を介在させてやりましょう。」という話が落とし所となっていると言及しています。

また、ブロックチェーンの技術・開発に関しては、R3社に変わって、国内で技術活用推進の啓蒙活動を行っており、すでに26社が参加し、7〜8月までほぼ満席状態だとしています。

今後の投資先

出典:SBI公式資料

ブロックチェーンの市場規模が急拡大することについては、疑いの余地はないと確信を持っており、投資を通じて、A&B(AIとブロックチェーン)ファンドを設立。

国内や海外の大手金融機関や銀行から500億円規模の出資を集め、すでにブロックチェーン分野で有望なベンチャー企業17社に計78億円を投資していると語りました。

仮想通貨と人材

6月28日に開催されたSBIホールディングスの株主総会では、新取締役として、金融庁の総括審議官、関東財務局長を歴任した「小野 尚」氏や、米国 国防総省などのキャリアを持つ「チャン・ソク・チョン」氏を迎え入れています。

他にも、元金融庁長官の五味 廣文氏や、金融担当大臣などを歴任した竹中平蔵氏が社外取締役として名を連ねており、日本を代表する”金融コングロマリット”として、万全の体制を築く意思表示を明確にしていると言えるでしょう。

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