- 国際間商業取引での成功事例
- 各国の銀行や企業が、国際取引するための効率的かつ費用対効果の高い方法を模索する中、国境を越えた取引でのブロックチェーンプラットフォーム構築を目指す「we.trade」が、5カ国間で7つの商取引を成功させたと発表した。
- Hyperledgerとは
- Hyperledger(ハイパーレジャー)とは、ブロックチェーン技術を仮想通貨業界に留まらず、各方面で最大限活用することを目的とした「ブロックチェーン技術の推進コミュニティー」で、企業利用に適した分散台帳フレームワークを目的としたオープンソースのブロックチェーン環境開発プロジェクトのこと。 Linux Foundationが中心となり、グローバルレベルで共同検証が実施されている。
国際間商業取引での成功事例
多くの銀行や企業が、国際取引するための効率的かつ費用対効果の高い方法を模索する中、クロスボーダー取引におけるブロックチェーンプラットフォームの構築を目指す「we.trade」は7月3日、5カ国間で7つの商取引を成功させたと発表しました。
今回の取引では、10企業が4つの大手銀行を介して行われ、国際間で行われる商業期日現金取引をブロックチェーン技術において実現させた”最初のシステム”であるとwe.tradeの公式サイトに記述され、大きな注目を集めています。
we.tradeは、「リアルタイム取引、本人確認、スマートコントラクトの機能」を備えており、ビジネス間の取引を効率化させることを目的としており、
- ドイツ銀行
- イギリスHSBC銀行
- ベルギーKBC銀行
- フランスNatixis銀行
- フランスSociete General
- スウェーデンNordea銀行
- オランダRabobank
- スペインSantander銀行
- イタリアUniCredit銀行
という世界的に有名な9つの金融機関によって、2017年10月から開発されています。
このシステムは、The Linux Foundationがホストするビジネス・ブロックチェーン・フレームワークである「Hyperledger Fabric」基盤のIBMブロックチェーンを元に作成されており、現時点で11カ国(イギリス、スウェーデン、スペイン、ノルウェー、オランダ、イタリア、ドイツ、フランス、フィンランド、デンマーク、ベルギー)にて使用することができます。
このように、世界有数の金融機関が参画し、主要ヨーロッパ地域を網羅したブロックチェーン基盤のプロジェクトが実際に取引を成功させたことは、非常に大きな功績であり、高い手数料と長い時間がかかっていた銀行取引を変える大きな一歩になるのではないかと期待されています。
関係者の発言
We.tradeの最高運営責任者(COO)を務めるRoberto Mancone氏は、今回の取引成功に関して、以下のように自身の見解を述べています。
今回のwe.tradeの取引成功は、非常に大きな出来事だ。
技術的な解決策を見出しただけでなく、複数の金融機関の協力を漕ぎ着け、取引エコシステム自体の繋がりを高めることができた。
オランダのwe.tradeのパートナー、Rabobankのデジタルトランスフォーメーション最高責任者であるBart Leurs氏も、今回の功績に対して以下のように語りました。
we.tradeをした取引は、既存の銀行が顧客需要に答えるためにイノベーションを受け入れていく”良き事例”となった。
私たちの銀行も先駆的な技術を取り入れ、より利便性のある国際的な取引を顧客に提供したいと考えていたことから、we.tradeは、顧客が求める最適な解決策であったと言える。
このサービスは、現在11カ国で提携銀行に口座を持つビジネスに限られていますが、今後さらなる銀行との提携を経て、ヨーロッパ圏の国々にも進出。将来的には世界的にも拡大したい、とMancone氏は公式サイトで記述しています。
現時点で、既存の金融システムにおける国際間送金や取引は、高い手数料や多くの手間、あるいは時間がかかってしまい、非効率であると考えられています。
しかし、今回のwe.tradeやリップル(XRP)のようなブロックチェーン技術関連のプロジェクトが多くの金融機関を引き込み、試験段階まで進んできていることから、国際間送金取引における、さらなる発展が期待されています。
実際に、ヨーロッパ最大級の金融機である「Santander銀行」は、今年4月にリップル(XRP)を使用して、小売顧客のブロックチェーン決済を提供した最初の企業となりました。