- 米デジタル商工会議所がガイドライン策定
- 米デジタル商工会議所(CDC)は30日、仮想通貨トークンとICO市場形成を支援するため、包括的ガイドラインを公開した。専門家や元規制当局員、法律実務家などを含む、世界から350以上の参加者が結成したイニシアチブで、有益で公正な情報源を目指す。
- ICOとは
- 「Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開」のこと。資金調達したい企業や事業プロジェクトが、独自の仮想通貨トークンを発行・販売し、資金調達する行為を指す。 ハイリスクハイリターンで投機的側面が強い反面、各国の法整備が追い付いていないことで、詐欺まがいのICOが横行するなど問題点も多く、国際的な規制強化が協調路線にある。
米デジタル商工会議所がガイドライン策定
アメリカ、ワシントンDCに拠点をおく、デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce、以下CDCと表記)の、業界イニシアチブである、トークン・アライアンス(Token Alliance)は7月30日、より健全で責任あるトークンとICO市場形成を支援するため、包括的ガイドラインの初版となるレポートを公開しました。
ホワイトペーパーという形で発表されたこのレポートは、「デジタルトークンの理解のために:政策立案者と実践者のための市場概要とガイドライン」と題され、業界関係者をはじめ、革新者や発明家や政策立案関係者が参照することを念頭に置いて作成されており、シリーズの第一弾として、ユーティリティトークンに関する情報を取り上げています。
レポートは、5カ国(アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、ジブラルタル)のトークンに関する規制環境と証券法の概要、ユーティリティトークンの原則とガイドライン、2013年から現在までのトークンプロジェクトの資金調達の動向を示した経済データ、という3つの部分から構成されています。
元アメリカ証券取引委員会(SEC)検査官で、現Patomak Global Partners社CEOのPaul Atkins氏は、次のように述べています。
この業界で開発した原則は、責任ある成長と投資家保護と同時に、この新しいテクノロジーの最先端領域における革新を妨げない、バランスの取れた、賢明な規制のために重要なツールとなるだろう。
ブロックチェーン技術に基づいたデジタル資産のユニークな属性は、投資対象としてだけではないということを説明し、消費者や規制当局と、この業界に指針を提供することが重要だと考えている。
今回のレポートは、トークン業界初のガイドラインであり、作成したトークン・アライアンスは、ブロックチェーンやトークンの専門家、技術者、経済学者、元規制当局員、法律実務家などを含む、世界から350以上の参加者が結成したイニシアチブで、トークン発行と運営に関する有益で公正な情報源となることを目的としています。
CDCは、2014年に設立され、デジタル資産とブロックチェーン技術の受け入れと使用を促進することを使命に掲げ、政策立案者や規制機関、また業界との緊密な連携を通じて、革新や雇用、そして投資を促進するような、法的環境を開発することを目的としている非営利団体です。
CDC創設者で会頭を務める、Perianne Boring氏は、特にICOを取り巻く仮想通貨スペースでの明確な規制が欠如していたことが、ICO詐欺などの問題につながる要因となったとの認識を持っており、Bitcoin Magazineのインタビューに次のように答えています。
CDCは、規制が明確であることを提唱しているが、これまでは、ICOやユーティリティトークンに関する規制の見通しがはっきりとはしていなかった。
いくつかのICOは、詐欺的であったり、もしくは法律に違反するものだった。不正行為は、この成長が見込める産業の評判にも影響する。
私たちの目標は、プラットフォーム上で使用するトークンを発行するイノベーターやビジネスを奨励しながらも、証券法を遵守し、不正行為が発生することを最小限に抑えることだ。
Boring氏はこのレポートは、トークンエコシステムが直面する大きな問題に対処するための、CDCの積極的な取り組みの一環であり、トークンを利用しようとするビジネスのために、世界の適用可能な法律の要約を示し、また業界を評価するのに役立つ市場動向も提供していると述べています。
熱狂的な盛り上がりをみせた2017年のICO市場から一変して、資金調達はしたものの計画遂行が滞っていたり、詐欺の疑いがかけられるプロジェクトもあり、玉石混淆とも言えるICO市場ですが、業界内外の専門家によって作成されたガイドラインが、市場を健全化するツールとして、大いに活用され、業界の発展へと繋がっていって欲しいものです。