ETHOS(イーソス)は、Web3.0版「TikTok」へ成長を遂げることが期待されているショートビデオ作成プラットフォームです。既存のWeb2.0型プラットフォームが抱える問題を解決し、クリエイターだけでなくユーザーもトークン獲得を通じて収益を得られるシステムを開発しています。
ETHOSはアジアをメインターゲットとして展開しており、前澤友作氏のファンド「MZ Web3ファンド」が出資したことで注目を集めました。
そこで本記事では、ETHOSの概要や従来型プラットフォームとの違い、将来の展望について解説します。
- 目次
1. Web3ショートビデオ作成プラットフォーム「ETHOS」の概要
出典:ETHOS
初めに、ETHOSの概要についてご紹介しましょう。ETHOSは、Binance Smart Chain(BSC)上に構築される分散型ソーシャルメディアプラットフォームです。非中央集権型のシステムを採用することで、プラットフォームが1つの組織によって管理・制御されることなく運営されるのが特徴。それにより、ユーザーはコンテンツデータの完全な所有権を保有でき、かつ高いプライバシーを実現します。
ETHOSは「Watch2earn」「Engage2Earn」という2つの仕組みを備えており、動画の視聴やコンテンツ制作に対して収益の再分配が行われるインセンティブを提供。獲得したトークンはエコシステム内の製品・サービスの購入などに使用可能です。
ETHOSは、こういったトケノミクスとコミュニティ主導のプラットフォーム運営を通じてエコシステムの維持と拡大を行い、「Web3.0版TikTok」としてオンラインコンテンツ市場に革命を起こすことを目指します。
2. 従来型ソーシャルメディアの問題を解決するETHOSの機能
出典:ETHOS
ETHOSは非中央集権型プラットフォームであり、コミュニティ主導で運営されます。それにより、特定の企業が一切のデータを管理する従来のソーシャルメディアが抱える問題の解決が期待できるでしょう。
2-1. 従来型ソーシャルメディアの問題点
中央集権型のソーシャルメディアは、作成したコンテンツの所有権がユーザーに帰属しない点や、データ収集によるプライバシー侵害が問題視されているほか、アルゴリズムの操作による検閲が可能な点を懸念する声もあります。
例えばTikTokには、アプリ上で入力されたデータが運営企業を通じて中国政府に収集されているという懸念があります。そのため、米国では半数以上の州において連邦職員が使用する公用端末で同アプリの使用が禁止されました。またInstagram・Facebookといった人気ソーシャルメディアも、運営企業によるデータ収集が行われている事が問題視されているのです。
さらに、YouTubeやTikTokでは広告収益の多くが運営企業に中抜きされていると考えられ、収益性の面でユーザーが不利になりやすい点も指摘されています。
2-2. 従来の課題を解決するETHOSのサービス
ETHOSは、ソーシャルメディアのWeb3.0化を通じて、こういった従来のプラットフォームが抱える課題の解決を目指します。
まず、ユーザーは自身の個人情報とコンテンツデータに対して所有権を持ち、その使用や共有の方法を完全にコントロールできます。運営はユーザーによるコミュニティ主体で行われ、高い信頼性を確保。
また収益や決済に関しても、スマートコントラクトを活用します。ETHOSで獲得したトークン報酬がクリエイターやユーザーに自動で直接分配されるシステムを採用。透明性を重視し、報酬のブラックボックス化や運営による不正行為を回避することで、ユーザーからの高い信頼を獲得できるでしょう。
2-3. ETHOS上での収益化モデル
続いて、ETHOSプラットフォーム上におけるユーザーの多様な収益化方法について解説します。
まず、コンテンツの視聴者はショート動画の視聴によってトークンを獲得します。獲得したトークンは、ETHOSエコシステム内でサービスの利用や商品購入に利用可能であり、現金やカード決済などを用いずに経済圏へ参加できる点も魅力と言えるでしょう。
またコンテンツ制作者は、ETHOS上での動画や記事の公開し、コンテンツの視聴者数に応じてトークンを獲得できます。また、有料のサブスクリプションサービスや限定コンテンツを設定し、購入者から収益としてトークンを得ることも可能です。この際、トークンによる支払いを行ったユーザーも、支払額の10%をCRTトークンの形でキャッシュバックが受けられます。
加えて「ETHOS NFT」はエコシステム内でマイニングマシンのように機能し、保有を通じて一定期間・継続的にトークンを取得可能。NFTのレアリティは5段階あり、レアリティの高いNFTほど耐久度が高く、高確率でトークンを得られる仕組みです。
3. ETHOSのトケノミクス
出典:ETHOS
BSC上に構築されるETHOSのエコシステムは、主に「3TH」と「CRT(クリエイタートークン)」という2つのトークンによって構成されます。3THはプラットフォームの収益性に関連するEHOSのネイティブトークン、CRTはガバナンストークンです。
供給量:
- 3THトークン:1,000,000,000.00
- CRTトークン:無制限
3THは取引所などに上場して一般に取引される一方、CRTはETHOSエコシステム内でのみ機能する仕組み。CRTが3THの役割を補完する構造によって、エコシステムの長期継続性や流動性の安定化を目指します。また、収益化にも利用できる「ETHOS NFT」は、CRTもしくは3THで購入可能な「プロップ」を用いてNFTの合成を行うことで、レアリティのアップが可能です。
なお、プラットフォーム運営側は、クリエイターの収益から手数料を受け取ることで収益を得ます。
4. ETHOSのチームとパートナーシップ
出典:ETHOS
続いて、ETHOSの運営チームとパートナーシップについて詳しくご紹介しましょう。
4-1. ETHOSの運営チーム
CEO・創設者としてETHOSを率いるのは、世界的な投資家として有名なTiger Miller氏。同氏は、テレビや映画業界で15年以上にわたってコンテンツを制作してきたデジタルコンテンツの権威でもあります。
また共同創設者として、ブラジルの仮想通貨領域で最も著名な人物の一人、Kaue Cano氏が参加。同氏は、Solana Foundation、ENSなど数多くの有名プロジェクトにも貢献した、元MakerDAOのスマートコントラクトエンジニアです。
その他にも、ETHOSのチームには経験豊富なWeb3エンジニアや、マーケティングの専門家が多数在籍しています。
4-2. MZ Web3ファンドも出資、ETHOSのパートナーシップ
次に、ETHOSのパートナーシップ企業についてご紹介しましょう。
- MZ Web3ファンド
- DAO Maker
- BNB Chain
日本国内では、前澤友作氏の投資ファンド「MZ Web3ファンド」がETHOSに出資したことで、話題を呼びました。MZ Web3ファンドはWeb3.0関連の実績も豊富な前澤友作氏によって立ち上げられ、「わからない人たちも巻き込んで進む」ことをモットーに活動。今までスポットの当たらなかった場所や人に光を当て、情報格差や所得格差を減らし、また政治・宗教・人種・国境・性別を超えて、あらゆる人がフラットにつながることを目的としています。
また、ETHOSは2023年5月、これまで数多くのトークンセールスを成功させたIDOプラットフォーム「DAO Maker」との提携を発表しました。IDO(Initial DEX Offering)とは、分散型取引所において直接当事者間で取引を行う資金調達方法を指します。
DAO Makerは将来性が高いブロックチェーンプロジェクトを厳選してIDOを実施することで、高いパフォーマンス実績を維持していることから投資家からの信頼が厚いのが特徴。この提携決定によって、ETHOSの知名度も急上昇しました。
さらに、ETHOSは分散型アプリケーションを構築できる世界的なブロックチェーンネットワーク「BNB Chain」ともパートナーシップを締結しています。
5. ETHOSの今後の展望
出典:ETHOS
最後に、公式サイトのロードマップを参照しつつ、今後の展望についても考察しましょう。
まず2023年10月時点で、ETHOSは500人以上のクリエイターにリーチし、広告収入の目標達成を目指しています。今後は、音楽イベントとの提携を通して、ゲーム化された限定コンテンツや特典の提供や、二次チケット販売を目的とした新しい市場の開拓を計画しています。そして長期的には、ユーザーにおける収益化の方法を、さらに多様化してゆく予定です。
ETHOSは戦略的に日本・韓国におけるプロモーションを重視しており、X(旧Twitter)や取引所のキャンペーンなどを通じて国内の仮想通貨コミュニティ向けに発信しています。また、今後はベトナムやマレーシアを中心とした東南アジアの仮想通貨ネイティブ層にもリーチを拡大していく計画です。
6. ETHOSがデジタルコンテンツ市場に与えるインパクト
ETHOSはMZ Web3ファンドから出資を受け、DAO Makerのインキュベーターに選ばれた有望プロジェクトです。投稿や視聴によって収益化が実現できる「Engage to Earn」の仕組みによってエコシステムの拡大が進めば、Web3.0版TikTokとして新しいイノベーションを生み出す可能性があるでしょう。
Tiger Miller氏率いる経験豊富なチームが運営し、世界的プロジェクトとも提携するETHOSの将来に注目です。