セイラー氏がワシントンDCと和解
暗号資産(仮想通貨)ビットコインを財務資産として保有する戦略で知られる米マイクロストラテジーのマイケル・セイラー会長は5月31日、ワシントンDC(コロンビア特別区)当局と脱税の疑いをめぐって和解した。
セイラー氏は和解金として4,000万ドル(約62億円)を支払うことになる。この金額は、ワシントンDCにおける所得税回収に関する和解金の中でも、最も高額となった。
ワシントンDCは2022年8月、セイラー氏が居住地をワシントンDCではなくフロリダ州またはバージニア州と偽り、当地における税金を2,500万ドル(約39億円)以上脱税したとして、同氏とマイクロストラテジーを訴えていた。
2005年から現在まで、セイラー氏が居所をワシントンDCに維持しながらも、他の低税率の地域の居住者だと不正に主張して所得税から故意に逃れていたと申し立てる格好だ。
セイラー氏は、ジョージタウンのペントハウスを改装して住み、ワシントン港に複数のヨットを停泊させていたとしている。さらに、居住地に関して、セイラー氏がマイクロストラテジーに虚偽の源泉徴収申告書などを作成させていたとも述べていた。
和解では地方裁判所から差し止め命令が出されている。セイラー氏に対して、今後ワシントンDC内に住居を所有または賃借しており、少なくとも183日間は居住している年度には、コロンビア特別区に所得税を支払うことが命じられた。
セイラー氏はワシントンDCと和解に達したものの、違反は否定し続けている。ニューヨーク・タイムズ紙に以下のように語った。
フロリダは今も私の居住地であり続けている。私がワシントンDCの住民だったことがあるという申し立てには異議がある。友人や家族、そして私自身に訴訟の負担が続くことを避けるため、この和解に同意した。
マイクロストラテジーは、訴訟が提出された当時「同社はセイラー氏の日常業務に責任を負っておらず、個人の税務責任も監督していなかった」と述べていた。
なお、マイクロストラテジー株式は過去5日間で約1%下落、過去1か月で約28%上昇しており、現在のところ、この和解に伴う大きな動きは見られていない。
マイクロストラテジーはビジネスインテリジェンス・サービスを提供する企業だが、ビットコインを財務資産として購入する戦略を一つの背景に株価を上げてきた。
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ビットコイン関連製品も開発
マイクロストラテジーは、メインの事業の他に、ビットコイン関連サービスの提供も開始しており、5月にはビットコインブロックチェーン上に構築された分散型IDプラットフォーム「MicroStrategy Orange(マイクロストラテジー・オレンジ)」を発表している。
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また、セイラー氏は2月、マイクロストラテジーを「ビットコイン開発会社」としてリブランディングすると話していた。同社には、ビットコインのL2技術「ライトニングネットワーク(LN)」を活用した報酬プラットフォームを開発する計画もある。
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ライトニングネットワークとは
ビットコインのトランザクション処理能力を解消するため、レイヤー2を利用したオフチェーン技術のこと。混雑しがちなブロックチェーンの外で取引を行うことができ、取引の高速化や手数料削減につながる。取引の高速化や手数料削減が実現すれば、少額決済が行えるようになるため、それによって新しい商品やサービスが生み出されることも期待されている。
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