ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など、主要な暗号資産(仮想通貨)の価格が高騰し、過去の年度と比較して利益が出ている方も増えているかと思いますが、ここで気になるのが税金です。
仮想通貨取引での所得について、どのような税金がかかるのか、税務に詳しくない方にもわかりやすく説明していきます。
仮想通貨で税金がかかるのはどんなときか
まず基本として、仮想通貨を所持しているだけでは税金はかからず、売却などして利益が生じた際に課税対象になります。
例えば、1BTCを100万円で購入し、その後105万円で売却したとき、差額の5万円が利益となります。この利益に対し、経費を差し引いたものが所得となります。 仮想通貨取引における経費とは、売買や送金を行った際の手数料や関連書籍の購入費、ミートアップに参加したときの参加費や交通費などが該当します。
含み益となっている場合は売却するまで利益としてみなされないため、基本的に課税対象にはなりません。(法人の場合は除く) NFTにおいても同様で、仮想通貨取引で生じた損益と合算して所得を算出することになります。
実際に仮想通貨取引で利益を得る状況としては、売却益だけではなく、エアドロップやステーキング、ハードフォークで生まれた新規通貨の獲得などさまざまなパターンが考えられます。それが実際に利益とみなされるタイミングについてはこちらの記事でより詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
関連:【確定申告特集2】課税の対象となる利益はいつ発生する?損益発生のタイミングについて|Aerial Partners寄稿
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仮想通貨による所得の種類と特徴
仮想通貨取引による所得は、原則として雑所得に区分されます。 そして、雑所得としても下記3つの特徴を有しています。
- 総合課税
- 損益通算の禁止
- 損失の繰越控除禁止
では、それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
【総合課税】給与所得などの所得金額の合計額に課税される
雑所得は基本的に、給与所得など他の所得と合算した金額に対して税率がかけられる総合課税となり、仮想通貨取引による所得もこれに含まれます。
所得税の税率は下表のように、所得が多いほど高くなる累進課税となっていて、5%~45%の7段階に分かれています。住民税も合わせると最大で約55%の税率が課されます。
FXによる所得や株式の譲渡による所得も雑所得に該当するのですが、こちらは申告分離課税になるため、他の所得金額と合計せずに分離して税額を計算できます。
【損益通算禁止】仮想通貨取引で損失が出た場合、他の所得と相殺できない
年間の仮想通貨取引で損失が出ている場合でも、給与所得や不動産所得などその他の所得と合算して相殺(損益通算)することはできません。
雑所得に区分される所得同士なら損益通算が可能ですが、こちらも「総合課税の雑所得」のみとなります。FXや株などの申告分離課税に該当する雑所得とは損益通算することはできません。
【損失の繰越控除禁止】生じた損失は翌年以降の利益と相殺できない
上場株式などの取引を行っていて損失が出た場合は、損失を最大3年間繰越すことができ、翌年以降の利益から控除することができますが、仮想通貨取引で発生した損失は、翌年以降に繰り越すことができません。
そのため、損失が出ているが含み益もあるといった状態である場合には、その年度内に損失とある程度相殺するように利益を確定しておき、翌年以降の利益を圧縮しておいた方が、翌年以降の税金を少なくすることにつながります。
仮想通貨取引の損益計算方法
仮想通貨取引による所得を算出するために、損益額をルールにのっとって計算する必要があります。そのための計算方法として「総平均法」と「移動平均法」のどちらかを用いておくと、確定申告が必要となった際にもスムーズに進められます。
違いとしては、総平均法は年間取引の最後に取得価額を平均して売却益を算出するものであり、移動平均法は購入するごとに取得価額を平均するものとなっています。また、確定申告においては届け出をしない限りは「総平均法」での計算が適用されます。
計算方法によっては年度ごとの損益額が異なり、実際は損失が生じているのに計算上利益が出ており、確定申告をする必要が出てくる場合もあります。 そして、最終的な計算結果は同じとなりますが、確定申告においては一度適用した計算方法は3年間変更できませんので、注意してください。
下記記事では計算の流れと、具体例を用いて解説しています。
関連:【確定申告特集3】仮想通貨の損益計算 移動平均法・総平均法について解説|Aerial Partners寄稿
仮想通貨取引で確定申告が必要になるケース
では、正しい損益が計算できたうえで、確定申告が必要となるケースを見ていきましょう。 一般的な会社員は、源泉徴収や年末調整によって納税をしているため、確定申告が不要な方が多いです。
しかし、以下のケースに当てはまる場合は確定申告を行う必要があります。
- 給与収入が年間2,000万円を超える人
- 給与所得や退職所得以外の所得金額(仮想通貨による所得を含む)の合計額が20万円を超えている人
- 給与を2か所以上からもらっている人
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受ける人(初年度のみ確定申告が必要)
- 雑損控除、医療費控除、寄付控除の適用を受ける人(ただし、ワンストップ特別制度により、ふるさと納税の場合で寄付先が5自治体以内であれば確定申告は不要
- 配当控除の適用を受ける人
- 同族会社の役員などで、その同族会社からの給与以外に貸付金の利子や資産の賃貸料を受けている人
仮想通貨による所得が関係するのは2ですので、仮想通貨取引による年間の所得額が20万円を超えている場合は、確定申告が必要になる可能性があります。
そのため、ある程度利益が出ているのであれば、正しい所得額を把握するためにも、一度総平均法または移動平均法で計算してみてください。
仮想通貨の確定申告に関するペナルティ
確定申告が必要な状況でしなかった・忘れていた、申告金額を誤ったという場合にはペナルティを受けます。
例えば、納付期限を過ぎてしまったときには「延滞税」、税金を少なく申告した場合には「過少申告加算税」といったペナルティが通常の税金額に加算されます。
ペナルティごとに加算される税金の税率は異なりますが、状況によっては「重加算税」として最大50%もの税率になるペナルティが課されることもありますので、常日頃から損益を把握し、確定申告が必要となったときにはなるべく早めに行うようにしましょう。
まとめ
仮想通貨の税金・確定申告の基本的な部分について説明してきましたが、確定申告を行ったことがない場合は分からないことや不安に感じる点が多いと思います。
まずは、1年間の正確な損益額を計算して確定申告が必要かどうかの判断を行うところから始めてみましょう。Gtaxなどの仮想通貨の損益計算サービスを活用すれば、税務や会計に関する詳しい知識が必要なく、年間の損益額を確認することができます。
そのうえで分からないことや不安に感じる点がある場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
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【確定申告特集1】知っておきたい仮想通貨にかかる税金を税理士が解説
【確定申告特集2】課税の対象となる利益はいつ発生する?損益発生のタイミングについて
【確定申告特集3】仮想通貨の損益計算 移動平均法・総平均法について解説
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