ここ2か月ビットコインの移動を実施
イーロン・マスク氏の航空宇宙企業スペースXは10日、約9,400万ドル(約146億円)相当の暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を移動した。10月より大規模な移動を数回行っているところだ。
ブロックチェーン分析企業アーカムが、スペースXの所有と特定したビットコインアドレスは、2つのアドレスに合計約1,021BTCを送金。内訳はそれぞれ407BTCと614BTCだった。
アーカムは、スペースXがここ2か月ほど、毎週約1億ドル相当のビットコインを移動させていると指摘している。スペースXは7月からビットコインを移動していなかったが、10月下旬より、たびたびビットコインを分割して送金している。
ブルームバーグなどによると、スペースXは現在2026年半ばから後半頃の新規株式公開(IPO)に向けた計画を進めていると伝えられる。評価額1.5兆ドル(約230兆円)で300億ドル(約4.6兆円)以上を調達する可能性があるという。
これは、2019年にサウジアラムコが記録的なIPO(290億ドルを調達)を達成した際の時価総額に近く、史上最大の上場となる可能性があると報じられている。市場状況などの要因によって時期は変更される可能性がある。
IPOとは
Initial Public Offering(イニシャル・パブリック・オファリング)の略で、日本語では「新規株式公開」または「株式上場」と呼ばれる。未上場企業が初めて株式を証券取引所に上場し、一般の投資家が株式を売買できるようにすることを指す。
相次ぐビットコインの資金移動からは、IPOに向けた保有資産の整理や保管方法の変更などを行っていることも考えられる。ただ公式な意図は発表されていないために不明だ。
一部の取引は、資金が「1」で始まる従来のビットコインアドレスから「bc1q」で始まるより現代的な形式に移されたことを示している。一連の送金は、ウォレット再編の一環である可能性を指摘する見方もある。
スペースXは、2022年には2万5,000 BTCを保有していたが、同年半ばに保有量を約70%削減しており、それ以降はビットコインを追加購入していない。削減の背景は、同年に発生した仮想通貨業界の債務不履行連鎖にあるとみられる。
マスク氏が率いる別の企業テスラもビットコインを保有している。7~9月期の決算報告書によれば、テスラは11,509 BTCを保有しているところだ。BitcoinTreasuries.netによると、これは上場企業の中で12位にランクインする規模である。
関連:ビットコインを保有する上場企業ランキング|日本・米国の注目企業を解説
ビットコインに関する最近の発言
マスク氏は、過去にビットコインやドージコインに注目する発言を行い、それが価格に影響を与えてきたこともある。最近は仮想通貨に対する言及はあまり見られなかったが、11月末、久々にビットコインについて公の場で話した。
起業家ニキル・カマス氏とのインタビューで、「エネルギーこそが真の通貨だ」と述べ、その上で、ビットコインはそのエネルギーに基づいているとして、ビットコインの価値に触れた格好だ。
法定通貨と異なり、中央銀行の政策によって供給をコントロールできない性質を指摘したものとみられる。
関連:イーロン・マスク氏「エネルギーこそ真の通貨」、ビットコインは基づくと主張



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