GonkaはAI推論・学習に特化した分散型の計算プロトコルだ。従来のブロックチェーンは、ネットワーク内部のセキュリティ処理に計算リソースの大半を費やすという構造的な非効率を抱えている。
Gonkaはこの問題に正面から取り組み、計算リソースのほぼ100%を実際のAI処理タスクへ振り向けることを目指す。企業・組織を介さないコミュニティ主導の完全分散型設計となっている。
プロトコルを共同創設したのは、ロサンゼルスを拠点に活動する連続起業家、DavidとDaniil Liberman兄弟だ。両氏はSnapでプロダクト責任者(Director of Product)を歴任後、コンピュータグラフィックス・フィンテック・AIの各分野で事業を立ち上げてきた。
CoinPostはWebX 2026のプラチナスポンサーとして参画するGonka共同創設者のDavid・Daniil Liberman両氏に独占インタビューを実施。「AIコンピュート(AIの処理に必要なGPUなどの計算リソース)は、時代を左右する世界で最も重要な資源の一つになりつつある」というビジョンの背景、世界規模でGPUを集約・活用する分散型ネットワークの可能性、そして日本市場への展望を聞いた。
David Liberman & Daniil Liberman
Gonkaプロトコル 共同創設者
David・Daniil Libermanはロサンゼルスを拠点とする連続起業家・投資家であり、Snapの元プロダクト責任者(Director of Product)、そしてGonkaプロトコルの共同創設者。兄弟とともに起業家としての歩みを始め、コンピュータグラフィックス・金融・人工知能をまたいで複数の事業を共同設立。フィンテック企業Frank Moneyを共同創業して抜本的な財務の透明性を追求し、後にAR企業Kernel ARを立ち上げ、設立と同年にSnapに買収された。
兄弟とともにFounders Pledgeに署名し、経済的成果をLibermans Co.に集約。同社の企業価値は現在約4億ドルに達し、Marc Andreessen、Josh Kushner、Arielle Zuckerbergらから投資を受けている。
GonkaはAI推論・学習向けに設計された分散型の計算プロトコルであり、コミュニティによって運営・管理される。集中型クラウドプロバイダーと既存の分散型ネットワーク双方が抱える根本的な非効率を解決し、計算リソースのほぼ100%を生産的なAIタスクへと振り向ける。
(左)David Liberman / (右)Daniil Liberman
Web3参入の原点 「インフラは決して中立ではない」
私たちがWeb3に参入したのは、解決しようとしている課題そのものが分散型アーキテクチャを必要としていたからです。さまざまなテック領域で事業を築いてきた経験を通じて、私たちはある重要な教訓を得ました。インフラは決して中立ではなく、それを制御する者が「何を作れるか」を決定するということです。
AIの台頭により、この問題は一層緊迫したものになりました。コンピュートはイノベーションの新たなボトルネックとなり、誰が作れるか、誰が少数の集中型クラウドプロバイダーへの依存から抜け出せるかを決定づけています。
GonkaはWeb3を、単にトークンを発行・流通させるための外装としてではなく、現実世界のコンピュートリソースを調整・分配するための不可欠なレイヤーとして位置づけています。GPUオーナーは許可不要でリソースを提供でき、開発者は仲介者を介さずコンピュートに直接アクセスできます。ネットワークが作業を検証し、報酬を分配します。
AIインフラのノウハウとWeb3の調整・連携機能を組み合わせることで、Gonkaはコンピュートを、世界中からアクセスできる計測可能な経済リソースへと転換します。
ネットワーク形成から実用段階へ Gonkaの4つの注力領域
私たちの主なWeb3プロジェクトであるGonkaは、まずAI推論に特化した高効率AIコンピュートのための分散型ネットワークです。そのコア原則はシンプルです。内部ネットワークのセキュリティに無駄に消費するのではなく、計算リソースのほぼすべてを生産的な現実世界のAIタスクへと向けることです。
今後1年間は、4つの優先事項に注力します。
- 実用的なAI推論:AIアプリケーションの重要なインフラが手頃な価格で維持され、集中型の独占的コントロールから解放されるよう、ネットワークを強化します。
- 検証とインセンティブ:実際の計算作業を検証するレイヤーを開発し、報酬が単なる資本の所有ではなく提供した有用なコンピュートに基づくようにします。
- ハードウェアパートナーシップ:独立したGPUオペレーター、マイナー、データセンターが既存の設備をAI処理タスクへ転用することで収益化できるよう支援します。
- 開発者へのアクセス:分散型AIコンピュートをビルダー、研究者、スタートアップにとって使いやすく有用なものにします。
事業面では、今年はネットワーク形成から実際の利用への転換を図る年です。より多くのコンピュートプロバイダーの確保、開発者の利用促進、そして集中型クラウドプロバイダーの代替を必要とする組織とのパートナーシップ締結を進めていきます。
なぜアジア最大級の舞台を選んだのか WebX 2026への参画理由
WebXを選んだのは、単なる金融市場としてではなく、インフラ運動としてのWeb3を議論するアジア最高峰の場だからです。これはGonkaの方向性と完全に一致しています。私たちが作っているのは投機的なアプリではなく、AIコンピュートとGPUリソース調整のための基盤インフラです。
WebXは、強力なエンジニアリング文化、明確なデジタル資産規制、長期的なインフラへの深い理解で知られる日本という戦略的市場において、私たちの主要なオーディエンスであるビルダー、企業、投資家、規制当局を一堂に集めます。
プラチナスポンサーとしての参画は、Gonkaが掲げる中心的な主張を発信するための理想的な場となります。Web3の次の大きな機会は、実際に価値を生むリソースを調整・活用することにあります。AI処理タスクのために世界中のGPUリソースを集約するGonkaの取り組みを通じて、Web3が次世代インターネットの基盤になり得るというビジョンを参加者に伝えたいと考えています。
ブースコンセプト「AIコンピュートを可視化する」に込めた思い
私たちのブースのコンセプトは、「AIコンピュートを可視化する」ことです。
ほとんどの人がAIと接するのはアプリケーションレイヤーを通じてです。チャットボット、コーディングアシスタント、画像生成AI、エージェント、エンタープライズワークフローがその代表例です。しかし、あらゆるAIのやり取りの背後には物理的なインフラレイヤーが存在します。GPU、データセンター、エネルギー、ネットワーク、コスト、レイテンシ、そしてリソース配分の意思決定です。このレイヤーは通常見えないところにありますが、誰が作れるか、誰が依存し続けるかを決定しています。
ブースでは、参加者に「AIは抽象的なものではない。AIはコンピュートそのものだ」と理解してもらいたいと思っています。そしてコンピュートがAIの基盤になるならば、コンピュートの所有と統治は次の10年間における中心的な問いとなります。
エンジニアリング文化とコンピュート主権 日本市場への戦略的視点
日本を優先するのは、AIとWeb3の次のステージに不可欠な要素を独自に兼ね備えているからです。具体的には以下の4点が挙げられます。
- エンジニアリング文化:日本は信頼性と長期的思考を重んじており、これは運用可能で信頼できる分散型インフラを構築するうえで不可欠です。
- エンタープライズAI需要:製造業から金融に至るまで、あらゆる産業でAIの導入が急速に進んでおり、堅牢なコンピュートへのアクセスが戦略的必要条件となっています。
- 成熟したWeb3エコシステム:規制が整備されたインフラ重視の環境は、機関投資家とWeb3コミュニティの双方に対する信頼構築を助けます。
- コンピュート主権:集中型・独占的なプラットフォームへの依存を避けるため、独立したコンピュートアクセスがアジア全体で必要とされています。日本はその実現において重要な役割を担う国です。
私たちの目標は、日本のテックコミュニティをつなぎ、AIコンピュートをオープンでグローバルにアクセス可能にすることです。インフラの未来はハイブリッドになるでしょうが、Gonkaのような分散型ネットワークは独立を求める人々にとって重要な選択肢を提供します。最終的に、AIが経済成長を牽引するなら、コンピュートへのアクセスは機会へのアクセスそのものです。私たちはコンピュートを、分散型で、障害に強く、実際の貢献が適切に報われる仕組みへと変えていきます。
文明的な問いとしてのAIコンピュート Gonkaが描く未来
私たちが伝えたい最も重要なメッセージは、AIコンピュートが世界において最も重要な「力」の形の一つになりつつあるということです。
長年にわたり、「データは新しい石油だ」と言われてきました。ソーシャルメディアとクラウドの時代においては、それは部分的に正しかったと言えます。しかしAIの時代において、コンピュートは同様に、むしろ多くの場合それ以上に重要になっています。コンピュートを支配する者は、誰がモデルを構築でき、誰がエージェントを動かし、誰が経済的に競争でき、誰が他者のインフラに依存し続けるかを左右します。
これはビジネスの問題だけではありません。文明規模の問題です。AIインフラが少数の企業や国家の手に集中すれば、「豊かさ」の約束は新たな人為的希少性に変わりかねません。理論上はAIがより安く利用できるようになっても、実際にはそれへのアクセスが高価で、制限され、または政治的に管理されるようになる可能性があります。
Gonkaが存在するのは、別の道があるべきだと私たちが信じているからです。AIインフラはオープンで、許可不要で、効率的で、グローバルにアクセス可能であるべきです。実際のコンピュートを提供する人々は、その貢献に見合った報酬を得るべきです。世界がAIコンピュートの不足に直面している中、分散型ネットワークはセキュリティのための「見せかけ」にハードウェアを無駄遣いすべきではありません。
Web3の本来の約束は、Web3が置き換えるプラットフォームよりもオープンなシステムを構築することでした。その約束の次のテストはAIです。Web3がAIコンピュートをより分散化された、透明で、アクセスしやすいものにできるなら、それは次の10年を定義するテクノロジーの一つになり得ます。
それが、私たちがGonkaで構築しようとしている未来です。



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