- BTCとXRP価格は次第に相関しなくなる
- 先日反響を呼んだ、米Ripple社CEO「Brad Garlinghouse」氏の発言を受けて、BTCとXRP価格が将来的に相関しなくなる理由について、3つの観点から考察を行いました。
- 理由1:BTCとXRPは本質的に異なる通貨
- BTCは非中央集権的に分散台帳を管理することを目標にしているのに対し、XRPは金融市場における利便性を優先し、完全な非中央集権による管理を放棄しています。したがって、XRPとBTCは本質的に異なる通貨であると言えます。
- 理由2:XRP基軸取引の増加
- 4月にはインドの大手取引所が8つのXRP基軸取引を開始しました。今後さらにXRP基軸取引が増加すれば、XRPとその他の通貨を取引するために、BTC取引を経由する必要がなくっていく可能性もあります。
- 理由3:XRP/BTCの取引高の減少傾向
- 主要取引所におけるXRP/BTCの取引高シェアは、直近30日間で減少傾向にあります。この傾向が続けば、XRPの取引時にXRP/BTCのレートを参照する必要がなくなるでしょう。
先日、米Ripple社CEOの「Brad Garlinghouse」氏(以下、Garlinghouse氏)が、『人々が通貨の特性を理解していくにつれて、リップル(XRP)とビットコイン(BTC)の価格の強い相関は小さくなっていくだろう』と言及しました。
CoinPostの参考記事
以下では、現在のところ強い相関関係があるBTCとXRPの価格変動について、今後価格の相関関係が弱まっていく理由を解説します。
XRPとBTC価格の相関は非常に高い
Sifr Dataでは、主要仮想通貨間における価格の相関の強さが日々更新されています。
それによると、6月3日現在、直近90日間のXRPとBTCの相関係数は「0.84」となっています(一般に、相関係数が0.5以上あると強い相関関係があると言われます)。
また、通常ほとんどのアルトコインの価格は、ビットコイン価格と強い相関関係があることがわかります。
なぜアルトコインはビットコインに連動するのか
そもそも、なぜアルトコインはビットコインの価格変動に連動するのでしょうか?
ビットコインとアルトコインの価格の相関については、次のような理由が考えられます。
ビットコインは「基軸通貨」の役割を果たしている
海外取引所では基本的にアルトコインがビットコイン建てで取引されているため、任意のアルトコインに投資したい人はまず法定通貨をビットコインに変える必要があり、その後ビットコインとアルトコインを交換する、というプロセスを踏まなければなりません。
複数のアルトコインを円建てで販売している日本の取引所でも、円建てのアルトコインの円建て価格は、海外取引所のアルトコイン/BTCとBTC/JPYのレートから計算されています。
つまり、ビットコインが仮想通貨の「基軸通貨」の役割を果たしており、ビットコインを介してアルトコインが取引されます。
- 法定通貨⇄ビットコイン(BTC)⇄アルトコイン(ETH, XRP, BCH,…)
したがって、好材料が出たアルトコインの需要が増加する時、基軸通貨のビットコインの需要も一時的に増加します。
仮想通貨全体に対する投資家の期待が、価格に反映される
仮想通貨価格を変動させる材料の中には、特定の通貨に関するもの(ハードフォーク、取引所上場など)に加え、仮想通貨全体に関するものが存在します。
その最たる例が、「政府による規制」です。
政府による規制が価格変動の材料になる例としては、仮想通貨売却益に対する税金の取り決め、仮想通貨取引所の取り締まりなどがありますが、これらは全ての仮想通貨に適用される規制です。
したがって、このような規制が発表された時には、仮想通貨市場全体で価格の変動が連動します。
Garlinghouse氏はXRPとBTCの相関が弱まると予想
以上のような理由から、現在のところBTCとXRPの価格変動には、強い相関があります。
しかしながら、Ripple社のGarlinghouse氏は、先日のCNBCの取材に対し、次のように発言しています。
リップル(XRP)とビットコイン(BTC)の価格には、強い相関がある。
しかし究極的には、それらは各々が独立したオープンソースの技術であるはずだ。
各通貨の差異をきちんと反映し、理に適った市場となる日は、そう遠くないだろう。
また同氏は、現在の仮想通貨のおよそ99%が10年後には淘汰されると予想し、将来的に本当に有益な通貨のみが正しく評価されるようになるだろうと主張しました。
XRPとBTCの価格相関が小さくなる理由については、以下の3点から考察しました。
理由1:XRPとBTCは本質的に異なる通貨
Garlinghouse氏がXRP価格はBTC価格に影響されにくくなると考える根拠の一つとして、ビットコインとリップルの性質の違いが挙げられます。
ビットコインはマイニングを誰でも参加可能なものにすることで、全てのノードにブロック承認の権利を与え、完全な非中央集権での分散台帳の管理を目指しています。
一方リップルは、金融市場における実用化を優先しており、完全な非中央集権を犠牲にして、トランザクションスピードに重きをおいています。
このように、XRPとBTCの性質は本質的に異なっており、将来これらの通貨間の相関関係が弱まることは想像に難くありません。
理由2:XRP基軸取引の増加
将来的に、XRPとBTCの価格の相関が弱まると考えられる別の理由としては、XRP基軸取引の増加が挙げられます。
4月には、インドの大手取引所「Koinex」が8つのXRP基軸取引ペアを追加し、XRPの基軸化が話題になりました。
CoinPostの参考記事
また、夏以降に開設が予定されているSBIホールディングスの仮想通貨取引所「SBIバーチャル・カレンシーズ」においても、これまでの経緯などから、XRPが基軸通貨として採用される可能性があるのでは、と予想する人もいます。
CoinPostの参考記事
今後も既存、あるいは新規の取引所で、XRPなどを基軸とした取引が採用されることがあれば、ビットコインを介してXRPとその他通貨を取引しなければならない必要がなくなる可能性も考えられます。
そうなれば、XRPはBTCからの影響を次第に受けにくくなるでしょう。
理由3:XRP/BTCの取引高の減少傾向
XRP Chartsの過去の取引高データを見ると、主要取引所でXRP/BTCの取引高が減少する傾向が観察されています。
例えば、6月3日現在、BinanceのXRPの総取引高に占めるXRP/BTC取引高の割合は、減少傾向を示しています。
- 53.38%(直近30日間)
- 43.13%(直近7日間)
- 35.69%(直近3日間)
- 35.21%(直近24時間)
Binanceは6月3日現在、XRPの総取引高の約15%を占めており、XRPの主要取引所になっています。
将来もこの減少傾向が続けば、XRP取引時にXRP/BTCのレートを参照する必要がなくなり、XRPはBTCの価格変動から切り離されていくことになるでしょう。
また、XRP/BTCの取引高の減少傾向から、BTCとXRPは全く性質の異なる通貨であり、BTCがXRPの代替的な通貨ではないということを投資家が認識し始めている可能性が読み取れます。
BTCとXRPのチャート
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