- Bitfinexの最高戦略責任者が辞任
- 大手取引所Bitfinexの最高戦略責任者(CSO)を務めるPhil Potter氏が辞任することが発覚した。
- Bitfinexとは
- 英国領ヴァージン諸島の企業が所有する、大手仮想通貨取引所。USDT(USD Tether)の不正発行疑惑について、アメリカ商品先物取引委員会より召喚状を送付されるなどした。
BitfinexのCSOが辞任:海外へ業務移転か
BitfinexのCSO(最高戦略責任者)が辞任することが発覚しました。
ロイター通信によれば、取引所Bitfinex及びテザー社の最高戦略責任者(CSO)を務めているPhil Potter氏は解雇でなく、自主的に会社を去るそうです。
Potter氏は公式ステートメントにて、「Bitfinexがアメリカを出ることで、アメリカ人として責任者チームにあるポジションを考え直すタイミングが来た」と記述しました。
同氏は、モルガン・スタンレーに務めた経歴を持ち、Bitfinex社の主要マネージャー3人の内1人です。
両社のCEOを兼任するJan Ludovicus van der Velde氏は、次期CSOが就任するまで臨時代行します。
辞任については、以下のように意見を述べました。
「Potter氏は過去4年間に渡り、当社の主要メンバーとして大変活躍した。当社はこれからも戦略的グローバルイニシアティブにフォーカスし、彼は新たな道を歩むのだ。」
Bitfinex社はイギリス領のバージン諸島に本社を置く会社の子会社で、取引高で世界4位の取引所となったこともある大手取引所です。
また、事実上USDTの発行元であるテザー社とは姉妹会社関係(経営陣の共用)だと指摘されており、直近ではBitfinexがテザー社のUSDTを利用し、昨年12月に記録されたBTCの高騰を操作した可能性を主張するテキサス大学の論文が発表されています。
さらにテザー社は、第三者によるUSDTの米ドルによる裏付けを証明する報告書を発表しましたが、公認会計事務所による監査ではないと、懸念と批判を招いています。
両企業は昨年12月に米CFTCからを監査召喚状受けており、6月上旬に提出された「情報自由法案」に基づいた申請を同規制局に却下されました。
Bitfinexの行方は
Potter氏は、それ以上語りませんでしたが、同氏の辞任は最近Bitfinexで起きていた「不祥事」も起因すると考えられます。
6月5日には、Bitfinexが予想せぬメンテナンスを数時間程行い、急遽オフラインにしたことで投資家を不安に陥れた騒動がありました。
DDoS攻撃を受けたことで、莫大な取引高を処理できず、一時停止したことが判明しましたが、攻撃に対する脆弱性と規制局との不調和を露見したことで、万が一Bitfinexが取引所を廃業した場合、USDTが無価値になる可能性があるのではないかと恐れる投資家も少なくないようです。
同氏が米国から撤退することについての詳細は未明ですが、直近に発覚されたBitfinexの「入金システム障害」を巡った事柄から、入・送金体制も併せて調整されていくものと思われます。
また6月23日には、同取引所のユーザーが、6/12、6/16に行った2回の現金振みにおいて、10日経過したにもかかわらず着金確認がなかったため、自身のレバレッジでの取引ポジションを調整できず、ソーシャルメディアRedditを通して、Bitfinexに「対策と補償を求める」という事態が確認されました。
この件については、「投資上の損失を前提に法律手段を考える」と明言しており、Bitfinexからカスタマーサポートの従業員がReddit上でフォローしつつも、同社の遅すぎる対応と隠蔽と捉えかねない入金障害について非難を浴びています。
なお、Redditでのやり取りの中でBitfinex側は、「銀行取引関係が変わったため、このような状態(入金障害)を招いてしまった」と弁明しています。
テザーが新たに2.5億USDT(270億円)を発行
6月26日に、テザー社が再び大量のUSDTを発行したことで話題になりました。
そして前回、5月18日に同じ量のUSDT発行した時と同じように、BTCの相場は短時間でおよそ150ドル上昇しました。
USDTの発行が確実にBTCの価格に影響を及ぼしているかは定かではありませんが、Bitfinexのチャートが示すように、取引高の増加と価格の推移の時期が一致していることが確認されています。