はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

変わるWeb3業界の投資地図 今注目のVC3社が語る「実需とインフラ」重視の新戦略

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

現在の市場環境と投資戦略について

2025年4月、東京・虎ノ門ヒルズで開催されたTEAMZ WEB3 AI SUMMITには、世界中からWeb3およびAI分野の著名なプロジェクトや投資家が集結した。CoinPostは、この機会に複数のベンチャーキャピタル(VC)企業の代表者と会談し、現在の市場環境と投資戦略について意見を交換した。

  • シアラ・サン氏(Ciara Sun) – C² Ventures創業者兼マネージングパートナーである。
  • ジェームズ・ウォー氏(James Wo) – Digital Finance Group(DFG)創業者兼CEOである。
  • ジョアンナ・リアン氏(Joanna Liang) – Jsquare共同創業者兼CEOである。

情報非対称性と「真の実力」の見極め

Web3業界では、情報非対称性が課題として残る。初期プロジェクトは情報が分散しており、真偽の見極めが難しい状況である。

C² Venturesのシアラ氏は、「初期プロジェクトではチームの実態把握が困難だ。自己申告や表面的なネットワークに頼らず、コード更新頻度、プロダクト進捗、業界内評価を厳密にクロスチェックしている」と説明した。

DFGのジェームズ氏は、「華やかなピッチ資料に惑わされず、ユーザー数、収益構造、技術力を検証する。ゲームやAI分野では専門家の意見を活用し、詳細な審査を実施している」と強調した。

Jsquareのジョアンナ氏は、グローバル分散型チームを活用するアプローチを明かした。「アメリカ、ヨーロッパ、アジアにメンバーを配置し、現地のカンファレンスやミートアップでリアルな情報を収集している」と述べた。

これら3社は、Web3の分散型特性を踏まえ、独自の投資方針を模索し、明確な目標を設定している。

インフラと実需領域へのシフト

2021〜2022年のバブル期とは異なり、投資家は実需に基づく選別を重視する。

DFGのジェームズ氏は、「市場規模が小さい分野は避ける。短期的注目領域もスケーラビリティに限界がある」と指摘した。「参入タイミングも重要であり、インフラや需要が成長フェーズに入った時期を選ぶ」と付け加えた。

C² Venturesのシアラ氏は、クロスチェーン技術に注目する。AxelarやLayerZeroを支援し、ブロックチェーンをシームレスに接続するインフラを構築中である。これにより、ユーザーはdAppsをエコシステムの境界を意識せずに利用でき、Web3統合の鍵とされる。シアラ氏は「安定した収益モデルが鍵だ。優れたビジネスなら時間コストが高くても挑戦する価値がある」と述べた。

Jsquareのジョアンナ氏は、AI×Web3の融合に期待を寄せる。「大規模普及を目指すアプリやAI・ブロックチェーンの新技術が投資機会だ」と分析した。しかし、「ユーザーや収益のないストーリー依存プロジェクトは持続しない」と警鐘を鳴らした。

規制の明確化がもたらす安心感

3者とも、1〜2年以内にWeb3の規制環境が変化すると予測する。

Jsquareのジョアンナ氏は、「米国ではステーブルコイン法整備やDeFiのコンプライアンス要件、暗号資産の証券・商品分類が明確化されつつある。規制の明確化は安心感を与え、政策リスクを軽減する」と期待した。

DFGのジェームズ氏は、トランプ政権復帰を楽観視する。「規制が友好的な方向にシフトし、市場成長を後押しする」とコメントした。

C² Venturesのシアラ氏は、ステーブルコイン立法が流動性を高める一方、「小規模プロジェクトが許認可で淘汰されるリスクがある」と懸念を示した。

アジアの成長可能性

アジア市場が今後の成長地域として注目される。

Jsquareのジョアンナ氏は、「アジアは人口規模とコミュニティの活発さがWeb3普及の土壌である。ただし、規制は統一されていない」と評価した。

C² Venturesのシアラ氏は、IMFデータ(2025年GDP成長率4.2%、G7の2.1%を上回る)を引用し、「アジアの経済成長は大きな潜在力を持つ」と強調した。

DFGのジェームズ氏は、「アジアは重要だが、ローカル限定プロダクトでは成長限界がある。グローバル視野と国際競争力を持つ創業者を重視する」と述べた。

まとめ

3社のインタビューから、投資方針の違いが浮き彫りになるが、実需や持続性を重視する姿勢が共通している。規制整備や市場成熟への期待とともに、アジア市場への関心が高まり、Web3投資は次の成長段階へと進展中である。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
06/20 金曜日
18:58
ビットコインは"国の富"となり得るか? 通貨を超えた「戦略資産」として注目される理由
ビットコインはもはや単なる通貨ではない。米国の戦略的準備構想、ブータンの国家収益源活用、中国シンクタンクの準備資産検討など、各国がビットコインを戦略資産として位置づけ始めている。金とドルの特性を併せ持つデジタル資産として、秩序なき時代の新たな価値基準となりつつあるビットコインと日本はどう向き合うべきか。
13:55
ビットコイン、オンチェーン取引が空洞化=Glassnode
Glassnodeの最新レポートによると、ビットコイン市場の構造が大きく変化。オンチェーン取引が減少する一方で、中央集権型取引所での現物・先物・オプション取引が急拡大しており、オフチェーンでの活動が主流になりつつある。
13:30
世界最小島国ナウル、太平洋初の仮想通貨規制当局を設立
太平洋の島国ナウル共和国が仮想通貨規制当局「CRVAA」を設立する法案を可決。気候変動リスクに対する経済的回復力強化と新たな収益源確保が狙い。
13:00
DeFiレンディングのTVLが過去最高8兆円を記録、AAVE・Morpho・Mapleがけん引
DeFiレンディングプロトコルの預かり資産総額が過去最高の8兆円を記録した。AAVE、Morpho、Mapleが牽引しており、SEC委員長のDeFi支持発言も追い風となっている。
11:54
ビットコイン10万4000ドル台で推移、現物市場の需要後退も機関投資家は資金流入継続
ビットコインは前日比+0.2%の104,560ドルで推移。中東情勢の緊迫化とFRBの高金利継続姿勢が重石となる中、現物市場では売り圧力が優勢に。一方でビットコインETFには5日連続で13.9億ドルが流入し、機関投資家の中・長期的な買い姿勢は堅調だ。
11:25
イーサリアムステーキング数が史上最高に、長期保有拡大で供給圧縮
イーサリアムのステーキング量が過去最高の3535万ETHに達し、流通供給量の29%を占める。機関投資家の需要も堅調で、ETF資金流入が19日連続を記録。
10:40
イラン中銀、仮想通貨取引所に営業制限 親イスラエルのサイバー攻撃受け
イラン中央銀行が国内仮想通貨取引所の営業時間を制限した。最大手ノビテックスへの親イスラエルサイバー攻撃で131億円が流出したことを受けた措置である。
09:50
イスラエル・イラン衝突下でもビットコインETFに8日連続資金が純流入
仮想通貨ビットコインの現物ETFは18日、約3.9億ドルの資金が純流入した。イスラエルとイランの軍事衝突で地政学リスクが高まる中、ビットコインの現物ETFは需要を維持している。
09:25
アリゾナ州「ビットコイン準備金」法案が復活、僅差で上院可決 下院審議へ
アリゾナ州でビットコイン準備金法案HB2324が再審議動議により復活。犯罪捜査で押収した仮想通貨による基金創設を目指し、上院16-14僅差で可決後下院へ。
08:15
『アルトシーズン』はもう来ない? ビットコイン偏重の相場に構造変化の兆し=アナリスト
仮想通貨分析企業がアルトコインシーズンの可能性を分析。ETHがBTCとアルト間の橋渡し役となる一方、累積売買差額-360億ドルで投資家離れが深刻化。
07:25
米上場セムラー、3年以内に10万BTC超のビットコイン保有目指す
米医療技術企業セムラーが19日、ビットコイン戦略責任者にジョー・バーネット氏を任命。2027年末105,000BTC保有の3年計画を発表。
07:15
イーロン・マスクのX、投資機能を搭載へ
イーロン・マスク氏のXは、投資機能の搭載を計画していることがわかった。同社のCEOが計画を明かしたことが報じられており、仮想通貨にも対応するのかに注目が集まっている。
06:55
10年以上動かないビットコインが過去最多、需給構造の変化が今後の上昇を後押しか=レポート
フィデリティが2024年半減期後のビットコイン供給動向を分析。10年以上動かない「古代供給量」が日平均566BTCと新規発行450BTCを初めて上回り、希少性が高まっている。
06:10
ビットコイン、10万ドル台を6週維持 イスラエル・イラン情勢下でヘッジ需要拡大か
仮想通貨ビットコインが中東緊張とFRB慎重姿勢の中、5週間以上10万ドル台を維持。機関投資家の継続的買いが下支えし、マクロヘッジ資産としての地位確立と見られている。
05:50
トランプ一族が仮想通貨事業の持分を削減か WLFIで60%から40%に
トランプ大統領関連企業DT Marks DeFi LLCが仮想通貨プロジェクトWorld Liberty Financialの持分を20%削減。民主党議員からの仮想通貨取引への監視強化や利確開始などが背景か。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧