
XRP先物が取引開始へ
米国最大のデリバティブ取引所を運営するCMEグループは19日、暗号資産(仮想通貨)XRPの先物取引を提供開始する。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)に続く暗号資産の先物として、機関投資家から大きな関心を集めている。
これによりXRPは規制対象デリバティブの領域に参入し、機関投資家に新たなエクスポージャー(価格変動にさらされること)とヘッジ戦略の手段を提供。XRPの流動性やパフォーマンスの向上につながることを期待する向きもある。
投資家は、XRPを実際に保有することなく、その将来価格を取引することが可能だ。取引終了時に価格差を現金で決済することになる。
CMEはXRP先物として、機関投資家向けの「標準契約」(50,000XRP、約11.5万ドル相当)と個人投資家向けの「マイクロ契約」(2,500XRP、約5,750ドル相当)の2種類を提供。これにより、あらゆる投資家層がXRPの価格変動に対するヘッジや投機的取引が可能になる。
Robinhoodも個人投資家向けのサポートを計画しており、伝統金融と暗号資産の架け橋としての役割が期待される。
リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは今回の動きについて、「XRP市場の継続的な成長における重要なステップ」だとコメントした。
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注目すべきは、和解に向けて終結に向かいつつも、SECとリップル社の訴訟が完全に解決する前にCMEの先物取引が実現した点だ。
背景として、仮想通貨先物はSECではなくCFTC(商品先物取引委員会)の管轄であり、2023年7月の裁判でXRPは二次市場では証券でないと判断されたことから、CFTCはXRPを商品として扱う根拠を得たことが挙げられる。
トランプ政権下で仮想通貨に友好的な政策環境が進展し、新たに就任したポール・アトキンスSEC議長の柔軟な姿勢もCMEの決断を後押しした可能性がある。
一方、米連邦地裁のトーレス判事は16日、両者による和解申請を「手続き上不適切」として却下した。
ただし、リップル社の最高法務責任者スチュアート・アルデロティ氏はこれを受けて、却下は手続き上の問題に関するものであり、「リップル社とSECは本件の解決で全面的に合意している」とコメントした。
仮想通貨に詳しいジョン・ディートン弁護士は、今回のトーレス判事の方針について見解を示している。
ディートン氏によると、トーレス判事はSECが過去5年間にわたって、膨大な時間とリソースを投じてこの訴訟を進めてきたが、和解によって「その5年間が無駄だった」と認めるような行動を取っていると見ている。
このためトーレス判事は、SECとリップル社が、和解案にあるような差し止め命令の解除や罰金減額が「公衆やXRP機関投資家の利益になる」という説得力のある主張をする必要があるとしている格好だ。
ジャーナリストのエレノア・テレット氏はこうしたディートン氏の分析をXで紹介し、SECとリップル社がこうした方向性で必要な作業を完了した後に、トーレス判事が態度を軟化させるのかどうかが今後注目されると意見した。
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