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仮想通貨IOSTとは|初心者でもわかる重要ポイントと関連サービス

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

IOSTの仕組みを解説

本記事では、2021年以降に高騰して関心の高まった「アイオーエストークン(IOST)」の基本概要、ユースケース、将来性などを解説します。

目次
  1. IOSTとは?
  2. IOSTの基本概要
  3. ユースケース
  4. DeFi市場への展開
  5. ロードマップ
  6. まとめ

1.IOSTとは?

IOSTは、2019年2月にメインネットローンチしました。

Javascriptネイティブで開発が可能なdApps(分散型アプリケーション)環境やPoB(Proof of Believability)という新しいコンセンサスアルゴリズムで他のブロックチェーンとは異なる特徴を持ち、スケーラビリティとブロックチェーンの公平性に注目を当てたプロジェクトとなっています。

国内でもIOSTに関する研究・開発が行われており、再生可能エネルギー電力の取引システム実証実験、精密医療や患者ケアに関するデータ管理の研究開発などに利用されています。

2.IOSTの基本概要

IOSTの概要を解説します。

2-1 次世代のコンセンサスアルゴリズム

IOSTにおいて独自に採用されている「PoB(Proof of Believability)」は次世代のコンセンサスアルゴリズムと呼ばれています。

PoBでは、ノード(ネットワークに参加するコンピュータ)が保有するIOSTの量、SERVIと呼ばれるネットワークへの貢献度など、複数の要素によりブロック生成権を割り当てます。これにより、ブロックプロデューサノードの寡占化を防ぎ、すべてのノードに報酬の機会を与えるプロトコルとなっています。

2-2 JavaScriptで開発可能

IOSTに対応しているプログラミング言語は、JavaScriptです。

JavaScriptは、世の中の多くのWebサービス開発で使用されており、プログラマーやエンジニアにとって使いやすい言語と言えます。

3. ユースケースと関連サービス

IOSTの主なユースケースと関連サービスを紹介します。

3-1 dAppsゲーム

2019年4月、エバーシステム株式会社は、IOST上で稼働するdAppsゲーム『CryptoNinja(クリプトニンジャ)IOST版』をローンチしました。

同社は先んじてイーサリアム(ETH)基盤の『CryptoNinja』をリリースしていましたが、マイニングコストが嵩み、ユーザーが大きな負担を被っていたといいます。そのうえで、IOST版のローンチに関して次のように説明しました。

IOSTはトランザクションの処理速度が速く、イーサリアムでは遅い場合には数十秒かかっていたものが、数秒以内にブロックチェーンへの書き込み結果が反映できるようになりました。

さらに、IOSTのブロックチェーンのためのプログラムはJavaScriptベースで、イーサリアム採用されているSolidity言語に比べて柔軟性が高く自由な記述ができます。

例えば、オリジナルトークン(ゲーム内通貨)でアセットを購入といった処理も自然な形で記述でき、結果としてセキュアなプログラムにすることができるようになりました。

イーサリアムを基盤とした『CryptoNinja』は、スケーラビリティ(処理速度)問題のために処理が遅く手数料が高額でしたが、それらの問題を解決するためにIOST版がローンチされたものと見られます。

3-2 DeFiサービス「DonnieFinance」

DonnieFinanceは、IOST基盤の金融サービスプラットフォームであり、DeFi(分散型金融)のデポジットおよびローンサービスに加え、分散型取引所(DEX)、資産管理、支払い、クレジット分析などのさまざまなサービスを提供するものです。

2020年12月、DonnieFinanceのガバナンストークン「DON」が、韓国大手取引所のCoinOneにて取り扱いが開始されたことが発表されています。DonnieFinanceプラットフォームで使用されるガバナンストークン「DON」は、プロトコルにIOSTを預け入れることでも獲得できます。

3-3 HyperPay

21年1月、暗号資産の管理、取引などのサービスを提供するマルチチェーンウォレット「HyperPay」が、IOSTの流動性マイニングを開始しました。

HyperPayは、19年8月にIOSTステーキングサービスを開始しており、当時の基準では、標準利回りステーキングと高利回りステーキングで、平均5%のROI(投資収益率)が見込めるとしていました。

流動性マイニングとは、需給バランスによって常に変化する利率に応じて流動性の提供先を変え、最も大きなリターンを得る取り組み「イールドファーミング」を行う投資家を惹き付けるため、流動性提供の対価として利息の他にガバナンストークン(ガバナンスへの参加権を表現するトークン)が付与されることを指します。

3-4 バイナンスステーキング

20年2月、世界最大の取引所バイナンスは、IOSTのステーキングサービスを開始したと発表しました。最大年利54.49%のAPY(Annual Percentage Yield)を得られると説明しています。

出典元:Binance公式

3-5 国内初のNFTマーケットプレイス

2021年2月、株式会社プラチナエッグは、NFT(非代替性トークン)アイテムの売買ができるプラットフォーム『TOKENLINK』をリリースしたと発表しました。

第一弾として、同社が開発したスマートホンアプリのブロックチェーンゲーム『CrossLink』内のNFTアイテムの取り扱いを開始。取引をIOST対応しました。

また、同社は『TOKENLINK』を開発した背景について、次のように説明しています。

TOKENLINKは登録したユーザー間でNFTを売買できるNFTマーケットです。

NFTマーケットは OpenSeaなど海外発のものはありましたが、現在国内には存在しておりません。日本人にとってわかりやすい、日本初のNFTマーケットが必要だと考えて、我々はこのTOKENLINK作成致しました。

これからもユーザー様の声を多く取り入れ、使いやすいマーケットを作っていきたいと考えています。

NFTは昨年から注目を集めている技術でありますが、日本国内に売買のためのプラットフォームが存在しないため、他の企業に先駆けリリースした格好です。

発表時点で2,000トランザクション以上、20万IOST以上の取引が行われているといい、「今後、他社のNFTの取り扱いや他社との協業、ノウハウ・ライセンスの提供なども積極的に行ってまいります」と展望を明かしました。

関連:非代替性トークンNFTとは|主な特徴と将来性を解説

4.DeFi市場への展開

IOSTは昨年から盛り上がりを見せているDeFi(分散型金融)関連のプロジェクトにも注力しています。その中の一部を紹介します。

4-1Noah Oracle Fund

IOSTは2020年8月、IOSTのブロックチェーン上でDeFiプロジェクトを促進し、DeFi(分散型金融)市場を盛り上げていくための100万ドル(約1億円)のファンド「NoahOracleFund」を発表しました。同ファンド設立の目的として以下の4点を挙げています。

  • 1. 資金調達、運営や技術面などの包括的な支援により有望なDeFi開発チームを世界中で排出する
  • 2. DeFiの急速な成長を促進し、IOSTのメインネットのイノベーションや採用を促す
  • 3. DeFiやそのユーザーに価値を創出し、DeFiアプリケーションの最高峰のホームになる
  • 4. IOSTのH 2 2020ロードマップに記載された2020年の目標の達成

DeFi開発における包括的な支援を通じて世界中のDeFi市場を活性化させIOSTのエコシステムの発展を狙っていることがわかります。

また、Oracle、DEX(分散型取引所)、ステーブルコインなど6つの分野における開発者を募集しており、Noah Oracle FundではOracleの開発を最重要視しています。

4-2 HUSDステーブルコイン

21年1月、IOST財団は、Stable Universal Limitedが開発した米ドルペッグのステーブルコイン「HUSD」をサポートする計画を発表しました。

HUSDステーブルコインについて、「米ドルに1:1の価値でペッグされたステーブルコイン。米ドルの安定性とブロックチェーン技術の効率性を組み合わせたHUSDは、送金、商業、支払い、取引、DeFiなどのための安全で確実かつ便利な資産へのアクセスをIOSTユーザーに提供します」としています。

IOSTブロックチェーンへのHUSDの統合が完成すれば、IOSTユーザーはStable Universalのアカウントに米ドルを入金し、HUSDを1:1の比率でデジタルウォレットに送ることができるようになると思われます。

この発表に際し、IOST財団CTOのTerry Wang氏は次のようにコメントを残しています。

ステーブルコインは、DeFi- IOSTが2020年と2021年に注力して成長させる分野であり、多くの機会を解き放つ鍵となります。IOSTの革新的かつ開発者に優しい技術は、高いスケーラビリティ、高速なトランザクションスピード、トランザクション手数料ゼロを可能にし、DeFiの開発者とユーザーの両方にとって優れた選択となっています。

Stable Universalとのコラボレーションから生まれる無限の機会を探求し、IOSTがDeFiの拠点になるためのより多くのパートナーを期待させています。

昨年から注力しているDeFi市場への展開について、2021年も継続していく姿勢を改めて示した格好です。

また、プレスリリースで「DeFi dApps が従来のアプリケーションと十分に競合するためには、基礎となるネットワークは高速でなければならず、dApp提供者の目的と完全に一致していなければなりません」としていることから、これらのコメントはイーサリアムのエコシステムの欠点を意識したものであると考えられます。

4-3 イーサリアムとの比較

2021年4月時点で、イーサリアムのエコシステムでは、ガス代の高騰によりユーザーが負担を強いられており、トランザクションの承認が滞るスケーラビリティ(処理速度)問題も存在しています。

以下は、イーサリアムの1日のガス代の推移を表すグラフです。DeFiの利用者が急増した20年夏ごろからガス代が急騰していることがわかります。

出典:Etherscan

ガス代高騰の要因として、オークション制を採用していることが挙げられます。取引を速く処理してもらいたいユーザーが、それだけ高い料金をマイナーに払うことで優先権を得るような状況が多くのユーザーに指摘されています。

コンセンサスアルゴリズムにPoWを採用していることも一因となっています。PoWとは、必要なハードウェア要件やネットワーク要件を満たすマイナーが、ユーザー間の取引情報(送信者、受信者、金額を含む)を1つのブロックに格納し、ブロックチェーン上に記録する承認作業(マイニング)です。

イーサリアムが採用をしているPoWでは、1ブロックのマイニングに約13秒を要しており、1秒あたり12件の取引情報を処理することができます(2020年07月時点)が、クレジットカード「VISA」の取引処理速度が1秒あたり最大56,000件とされることから、処理能力の不足が指摘されることも少なくありません。

一方IOSTは、独自のコンセンサスアルゴリズムであるPoBを採用することによりイーサリアムが抱える問題をプロジェクト発足当初から解消しています。

実際、トランザクションの処理速度を表す指標である「TPS」の値は、イーサリアムの100倍以上とされています。tpsとは「transaction per second」の略で、毎秒いくつのトランザクションを処理できるかを表すもの。この数値が大きければ大きいほど高速に処理を実行できることを意味します。

関連:イーサリアム新旧チェーンの統合を優先するメリットは?ブテリン氏らが見解

5.ロードマップ

21年1月、IOSTは21年のロードマップ(事業計画)を公開しました。

ロードマップは2つの項目に分かれています。1つ目の項目では、Rosseta APIのサポートおよびSDKのドキュメントの改良によるメインネットの最適化、複数のステーブルコインのローンチやDeFi・NFT市場への注力を掲げています。

2つ目の項目では、ブラウザプラグインのハードウェアウォレットやデバッグ機能の改善やトップグローバル企業とのブロックチェーン関連ビジネスにおける協業などを挙げました。

6.まとめ

21年3月時点でのIOSTの時価総額は約800億円、価格は約5円(参考:CoinMarketCap)。21年4月には10円に達する場面もありました。21年初時点での価格は0.5円前後を推移していたので、数ヶ月で最大20倍まで高騰した計算になります。

IOSTは、独自のコンセンサスアルゴリズムの採用で高速にトランザクションを行うことができ、手数料も安く抑えることが出来るため、今後も関連サービスやユースケースが増えていくことが期待されます。

21年5月時点では、IOSTを取り扱う国内仮想通貨取引所は、コインチェックのみとなっています。

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