CoinPostで今最も読まれています

ユニセフがブロックチェーン企業に投資する理由|Forkast寄稿 Forkast寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーン企業へ資金提供

6月9日、金融サービスをいまだ受けられない世界の人々を支援するため、ユニセフのベンチャーファンドは、ケニア、アルゼンチン、インド、メキシコ、ルワンダ、ネパールといった、6カ国のブロックチェーン・スタートアップ企業7社に投資することを発表しました。

77カ国、450社の応募の中から選ばれた7社に、上限10万米ドルが初期投資として提供されました。これらのスタートアップ企業のうち、5社は投資額の一部をイーサリアムで受け取る選択をしており、また5社は女性が中心となっているものです。

ブロックチェーンを活用し、17億人の金融包摂をサポート

世界銀行が2018年10月にまとめた金融包摂に関する調査によると、世界には銀行口座の開設をはじめ、基本的な金融サービスが受けることのできない、「銀行口座を持たない人々(Unbanked)」が約17億人いると推定されています。

アルゼンチンの「Xcapit」、インドの「GovBlocks」、メキシコの「BX Smart Labs」、ルワンダの「Leaf Global Fintech」、ネパールの「Rumsan」、ケニアの「Grassroots Economics」および「KotaniPay」の各スタートアップ企業は、金融包摂(Financial Inclusion)の拡大に向け、ブロックチェーン活用のソリューションに取り組んでいます。内容としては、十分なサービスを受けることができない層に対し、決済や送金、コミュニティ通貨、融資、投資機会の提供、および分散型の意思決定ツール提供など多岐にわたるものです。

ユニセフ・ベンチャー・ファンドは、2016年以来、世界のあちこちの課題に対する革新的なソリューションを支援すべく、世界中の新規プロジェクトに投資を行っています。また、ユニセフの「仮想通貨ファンド」(ユニセフ・イノベーション・ファンドの一部で、ビットコインとイーサリアムをプールするファンド)は、ユニセフによる仮想通貨の受け取り、保有、分配を実現しています。

関連: UNICEF has invested in 100 startups. Could your blockchain project be no. 101 — and receive funding in crypto?

途上国の金融包摂を実現するブロックチェーン

ユニセフ・ベンチャーズのリーダーであるSunita Grote氏は、声明の中で次のように述べています。

新型コロナウイルスは、子どもたちのコミュニティに影響を与えており、今後も世界中の多くの人の生活が大きく乱されるでしょう。金融システムやサービスへのアクセス実現など、包括的で手頃な価格のデジタルソリューションがいかに重要であるかがわかります。

より良い復興を目指すためには、システムの透明性、効率性、分散性を確保し、これまで十分なサービスを受けられなかった人々を取り込むために、イノベーターや問題解決に長けた有識者を支援する必要があります。

また、ユニセフ・イノベーション・ファンドと仮想通貨ファンドで投資部門を担当するセシリア・チャピロ氏は、Forkast.Newsとのインタビューにおいて、ブロックチェーンなどの新技術は子どもたちの生活を改善し、途上国での金融包摂を実現するソリューションを提供できると語っています。

チャピロ氏は、より多くの人々がこの技術に携わる必要があると述べ、ブロックチェーン技術活用がもたらす大きな可能性、そしてそれが及ぼす社会的影響について多くの人々が考え、実現していこうという発想が重要だと述べています。

勢いに乗るインドのDeFiとDAO

インドに拠点を置くスタートアップ企業の1つ、GovBlocks社は、分散型ガバナンスのためのプロトコルをイーサリアムブロックチェーン上に構築しており、ブロックチェーンベースの投票を分散型自律組織(DAO)や分散型アプリ(dApps)に提供します。

GovBlocksの共同設立者であるIsh Goel氏は、Forkast.Newsのインタビューに対し、ブロックチェーンベースの投票システムについての見解を述べました。

イーサリアムやPolygon、その他多くのエコシステムに見られる、ブロックチェーンプラットフォームで作成されるプロトコルや所有型経済は、重要な意思決定において、コミュニティの投票を必要とすることが多くなっています。

インドのDeFi(分散型金融)とDAO(分散型自律組織)のエコシステムは活況を呈しており、イーサリアムのレイヤー2ソリューションである、Polygonのようなプロジェクトがイノベーションを推し進めています。

DeFi(分散型金融)

DeFi(分散型金融)とは、ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。

仮想通貨用語集

インドにおけるDAOの現状

Polygonで構築されたプロトコルやdAppsにはガバナンスソリューションが必要だとする一方、現状は他に選択肢がなく、マルチシグ(マルチ・シグネクチャ:Multi Signature)ウォレットやシングルウォレットが運用されていることにもGoel氏は言及。その上で、ブロックチェーンだけでなく、コミュニティにおける意思決定も分散化されてきていると付け加えています。

分散型アプリケーションを構築するのであれば、中心メンバーにもある程度の分散性が必要です。コミュニティの分散化を期待するだけではなく、創業チームも仮想通貨での構築という分散化の側面を受け入れ流べきでしょう。

人々は、物事が制度化された管理から、コミュニティによる管理へと移行していることに少しずつ気付き始めています。

信用は、仲介者からスマートコントラクトへと移行し、最近ではDAOが意思決定を行っています。

コンセンシス社の2021年第1四半期のDeFiレポートによると、dAppsやスマートコントラクトがコミュニティ主導のNFT取得を促進する、NFT所有の新たなメカニズムとしてDAOが注目を浴びています。

DAOの成功要因、および参入障壁とは

またGoel氏は、UniswapをバックボーンとするDAOのような成功例こそが、繁栄するコミュニティであるとします。彼によると、コミュニティを第一に考えるアプローチ、ビジョンを持つリーダー、そして「コミュニティへの参加」というコンセプト(つまりはより大きな利益のためには主導権を放棄する意思)に賛同する投資家が、その他の成功要因だということです。

仮想通貨業界で起きつつある変化として、創業者はベンチャーキャピタルではなく、コミュニティに目を向けるようになったと同氏は指摘します。

人気の高まりを見せているとはいえ、DAOはまだ始まったばかりです。DAOにとっての最大の参入障壁は取引コストでしたが、レイヤー2ソリューションによりその問題は解決されています。

現在は規制当局のスタンスが、新規参入の障壁になっているとGoel氏は言います。

2021年以降、ブロックチェーンや仮想通貨に関しては、取引コストが議論されなくなることが予想されます。

イノベーションは、規制当局から尊重される必要があります。規制の部分に関しては大きな変革が必要ですが、やがてそれは達成されることでしょう。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/11 金曜日
08:00
トランプ氏の仮想通貨プロジェクト「WLF」、2200億円の評価額で445億円調達へ
米国のドナルド・トランプ前大統領と息子たちが関与する仮想通貨DeFiプロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」が、来週からトークンの初期販売を開始する計画が明らかになった。
07:30
リップル社、米SECを交差上訴へ
リップル社が仮想通貨XRPを巡る裁判で米SECを交差上訴へ。もう争点は残されていないことを明確にすると同社の最高法務責任者が述べている。
06:35
リップル、Ripple Custody拡充
米リップルは10月10日、銀行やフィンテック企業向けの仮想通貨カストディサービス「Ripple Custody」の機能を大幅に拡充したと発表した。
06:15
米SEC、カンバーランドを仮想通貨取引の「無登録ディーラー」として告発
米証券取引委員会は10月10日、仮想通貨取引会社カンバーランドDRWに対し、無登録のディーラーとして3,000億円以上の仮想通貨産取引を行ったとして訴訟を提起した。
10/10 木曜日
15:00
ステーブルコイン需要、ラテンアメリカで急増=Chainalysis
チェイナリシスの最新レポートによると、ラテンアメリカでステーブルコインの需要が急増している。同地域においてステーブルコインは、自国通貨の価値下落への対策として、重要な金融ツールとなっている。
14:05
イーサリアム創設者ヴィタリック氏、ノーベル経済学賞候補に値する? 著名経済学者が評価
著名経済学者コーエン氏とタバロック氏が対談。イーサリアム共同創設者ヴィタリック氏がノーベル経済学賞に値すると評価。ビットコイン創設者サトシ・ナカモトについても言及。
13:15
Bitlayer Labs、13億円追加調達 ビットコイン基盤のレイヤー2ネットワーク開発を加速
ビットコインのレイヤー2ネットワークを開発するBitlayer LabsがシリーズAの延長ラウンドで900万ドルの資金調達に成功した。
10:45
ポリマーケット、8割以上のウォレットが利益を得られず
分散型予測市場ポリマーケットで約87%のウォレットが利益を得られなかったことが、LayerHubのデータで示されている。また、多くの利益を獲得できることが珍しいこともわかった。
10:10
ビットコイン下落幅緩和、需要の影響で市場は安定か=Glassnode
Glassnodeの最新レポートによるビットコイン市場分析。需要層により下落幅が緩和される一方、先物建玉の影響で価格変動のリスクも。
07:40
BTCが8万ドルに到達するための条件、Bitwiseが分析
仮想通貨ビットコインが2024年に8万ドルに到達するための条件をBitwise幹部が分析。今回、合計4つの条件を挙げている。
06:58
米VanEck新設の44億円ファンド、仮想通貨やAIセクター投資へ
ビットコインETFの発行企業である米投資企業VanEck傘下のVanEck Venturesは、フィンテック、デジタル資産、AI(人工知能)分野の革新的なスタートアップ企業に投資する3,000万ドル(44億円)の初期段階ファンドとして新たに立ち上げられた。
06:30
米当局、仮想通貨相場操縦で14人と企業を告発 ミームコイン市場にも関係か
米国ボストンの連邦検察は9日、仮想通貨における市場操作と見せかけの取引で金融サービス会社を刑事告発した初の事例として、4社と個人14人を起訴した。
06:10
アイルランド当局、5年前に押収した約600億円のビットコインにアクセスできず
アイルランドの犯罪資産局は未だ2019年に麻薬密売人から押収した仮想通貨ビットコインにアクセスできないことが明らかとなった。
10/09 水曜日
16:43
博報堂、OpenAI創設者関与のTools for Humanityと提携
博報堂がOpenAI創設者関与のWorldcoinの中核企業Tools for Humanityと提携。AI時代の個人認証システム「World ID」の日本展開を加速。虹彩スキャンによる認証技術で、AIと人間の共存社会実現を目指す。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア