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ブロックチェーンゲームでも税金が発生する?課税のタイミングやNFT取引における所得の注意点などを解説|Aerial Partners寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ブロックチェーンゲームで稼いだら税金がかかる?

ブロックチェーンゲームには、「ブレイブフロンティアヒーローズ(ブレヒロ)」や「プロジェクトゼノ(Project XENO)」など一般的なアプリゲームのように遊ぶことで暗号資産(仮想通貨)が得られる「遊んで稼ぐ(Play to Earn)」や、「ステップン(STEPN)」のように実世界でのアクティビティによって仮想通貨が獲得できる「歩いて稼ぐ(Move to Earn)」など、さまざまな仕組みを持つものがあります。

またその仕組みも、ゲーム用のNFTを最初に購入する必要があったり、「デュアルトークンシステム」が用いられているために、最初はガバナンストークンを購入・保有し、その状態で遊ぶことで付与されるユーティリティトークンが収益となったりと、ゲームごとに取り入れられている仕組みもまた異なっています。

ただ、ブロックチェーンゲームを遊んで得た仮想通貨やNFTを売却したことで生じた収益は所得となり、課税の対象となります。

ではまず、ブロックチェーンゲームに関係する所得は何に該当するのか、損益の発生タイミングはいつか、基本的なポイントから解説していきます。

ブロックチェーンゲームによる収益は原則雑所得

仮想通貨取引による収益は原則雑所得として扱われますが、ブロックチェーンゲームで得た収益も雑所得に該当します。 ブロックチェーンゲームに関係した収益の発生タイミングとしては、主に下記のようなシチュエーションが考えられます。

①市場価格のついているトークンを獲得したとき

②ゲームを遊んで得たゲーム内通貨やポイントを市場価格のついているトークンに交換したとき

特に間違いやすいのが「売却時」ではなく「取得時」に収益とみなされる点です。もし後に売却した際には、そのときに生じた差損益をさらに計算することになります。

ゲーム内での通貨やポイントのままであれば所得にならない

②に関係することですが、ゲームで得たものがユーティリティートークンではなく、ゲーム内通貨やポイントといった仕組みであれば、その獲得時には収益とみなされません。

そのため、通常の仮想通貨取引やステーキングなどで、すでにある程度の所得がある場合には、交換せずにそのまま残しておく方が所得を少なくできます。

NFTの売却は譲渡所得

所持しているNFTをマーケットプレイスで第三者に売却した際には、第三者への有償での譲渡とみなされ、基本的には譲渡所得になります。 また、営利目的で継続的に売却を行っているとみなされた場合、事業所得または雑所得とされることもあります。

注意点として、譲渡所得とみなされたときは、通常の仮想通貨取引による収益やブロックチェーンゲームで得た収益が該当する「雑所得」とは所得の種類が異なるため、それぞれの所得で損益通算することはできません。

また、NFTの売買で損失が生じた(赤字となった)際は、事業所得や不動産所得との損益通算は可能ですが、国税庁から公表されたFAQ「NFTに関する税務上の取扱いについて」において、「そのNFTが主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有していたものである場合には、他の所得との損益通算はできません」と明記されており、このようにみなされたときは同じ総合譲渡所得だけとしか、損益通算できません。

参考:NFTに関する税務上の取扱いについて

NFTの売却で生じた所得は、仮想通貨やブロックチェーンゲームに関連した所得であっても相殺できない可能性が高いという点には注意しておきましょう。

ブロックチェーンゲームの所得も確定申告が必要?

ブロックチェーンゲームで生じた所得も確定申告が必要になります。

給与所得がある人は20万円を超えると、個人事業主や学生など給与所得がない人は、すべての所得の合計が48万円を超えた段階で確定申告が必要となります。

また、確定申告が不要であっても、住民税の申告が必要なときもあります。

住民税非課税とされている場合は申告不要ですが、そうではない場合は所得の額に限らず、住民税の申告を行わなければいけません。

なお、確定申告していれば、そこから住民税の計算が行われるため、別途住民税申告する必要はありません。

ブロックチェーンゲームで発生する所得の具体例

では、ブロックチェーンゲームで発生する所得を具体的に見てみましょう。今回は「STEPN」と「ブレイブフロンティアヒーローズ」を例にしていきます。

STEPNの場合

「STEPN」はさまざまなレアリティのある「NFTスニーカー」を購入して歩くことで、仮想通貨「グリーンサトシトークン(GST)」がもらえる仕組みとなっています。 そのほか、靴のレベルアップができ、それには「グリーンメタバーストークン(GMT)」を用いることがあります。

ほかにもプレイしていると「ミステリーボックス」という宝箱を入手でき、GSTのほか「ジェム」というスニーカーの強化アイテムが手に入ることがあります。 こちらのジェムはゲーム内マーケットで売却可能で、GMTで取引することができます。

では、STEPNを遊んでいて所得とみなされる収益が得られるタイミングはどのようなときか、まとめると次の通りです。

①報酬としてGSTを得たとき

②ミステリーボックスからGSTを得たとき

③所有しているNFTスニーカーを売却したとき

④手に入れたジェムをマーケットで売却してGMTを得たとき

STEPNは仮想通貨を直接得る仕組みとなっているため、取得したときの時価でそのまま収益となる点に注意です。

また、NFTスニーカーの修理やレベルアップにGMTとGSTを使用する必要があるのですが、こちらはNFTの売却時に経費として参入できるため、所得を計算する際には忘れないようにしましょう。

関連:グリーンメタバーストークン (GMT)|投資情報・リアルタイム価格チャート

ブレイブフロンティアヒーローズの場合

「ブレイブフロンティアヒーローズ」はキャラクターや装備などのデジタルアイテムがNFTとなっており、ガバナンストークンである「ブレイブパワークリスタル(BPC)」とユーティリティートークンである「エルドシャード(ELS)」のデュアルトークンシステムを採用しています。

また、BPCとELSはそれぞれ、「BPCP(BPCポイント)」「ELSP(「ELSポイント)」というゲーム内ポイントとして取り扱われています。これらのポイントを同数のトークンに変える手続き(Claim)を行い、取り扱いのある取引所やDEX(分散取引所)で売却することで収益を得ることができます。

そのため、ゲーム内ポイントとして保持・使用するだけであれば、所得としてみなされないと考えることができます。

NFTはOpenSeaなど取り扱いのあるマーケットプレイスでイーサリアム(ETH)やポリゴン(MATIC)などで売買できるほか、ゲーム内マーケットでもBPCまたはBPCPで取引可能となっています。

以上のことから、ブレイブフロンティアヒーローズで所得が発生するのは次のような状況です。

①ゲームで獲得したキャラクターや装備のNFTをマーケットで売却して、仮想通貨を得たとき(BPCPで受け取った場合は該当しない)

②ゲームを遊んで得たBPCPもしくはELSPを対応するトークンに変換したとき

③ゲームを遊んで、市場価格のあるNFTを手に入れたとき

④NFTを購入するときに利用した仮想通貨が値上がりして含み益があったとき

まとめ

基本的には仮想通貨取引における税金の仕組みとほぼ同じではあるものの、NFTの売却は譲渡取得になるなど、NFTを取り扱うことの多いブロックチェーンゲームゆえに注意しなければいけない部分もあります。

そのため、まずは仮想通貨に関する税金の知識を深めることを心がけましょう。

また、さまざまな状況で損益が発生するため、都度計算をしておいた方が確定申告の際にも安心です。

特に「STEPN」のように細かいタイミングで直接仮想通貨をもらえるゲームについては、把握するのも難しくなるので、ツールを導入するのがおすすめです。

仮想通貨の損益計算ツールである「Gtax」では一般的な仮想通貨取引のほか、NFTの取引にも対応しているため、ブロックチェーンゲームに関連した損益を簡単に把握できます。

日々の損益をちゃんと把握しておけば、確定申告のときにも困らないため、ブロックチェーンゲームで稼ぎたいという人ほど、しっかり準備しておきましょう。

関連:暗号資産(仮想通貨)にかかる税金と確定申告の基礎知識を税理士が解説|Aerial Partners寄稿

企業情報

企業名:株式会社Aerial Partners(https://www.aerial-p.com/

設立:2016年12月27日

代表者:沼澤 健人

グループ会社:Aerial法律事務所/Atlas Accounting/税理士法人堀口会計

運営サービス:Gtax(ジータックス)コイン相場、Aerial Web3 Accounting(AWA)、Guardian(ガーディアン)

事業概要:仮想通貨損益の自動計算ソフト『Gtax』、税理士紹介&仮想通貨取引の損益計算サービス『Guardian』、Web3事業者向け経理サポートツール『Aerial Web3 Accounting(AWA)』などの開発

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