PENDLEの買い方
暗号資産(仮想通貨)ビットコインの誕生から年月が経ち、ブロックチェーンの技術は金融以外の様々な領域で活用されています。最近ではゲームや音楽、メタバースなど身近なユースケースも生まれるようになり、日本政府が技術の活用を推進するまでに注目されるようになりました。
応用が広がる一方で、金融領域での利用も深化しています。JPモルガンやブラックロックらの従来の大手金融企業もブロックチェーンの可能性に注目しており、技術の実用化を進めています。
そこで本記事では、DeFi(分散型金融)のプロジェクト「Pendle」を紹介します。DeFiは、ブロックチェーンの代表的なユースケースの1つ。中央管理者や仲介者がいなくても機能するため、サービスを安価に提供できたり、サービスの効率性が向上したりするメリットが期待されています。
Pendleは24年6月、大手メディアの「ブルームバーグ」が取り上げて、注目を集めました。この時ブルームバーグは、Pendleについて「DeFiで最も人気のあるプロジェクトの1つが、何十億ドルもの資金を集めている」と紹介しています。
Pendleの概要
Pendleは、金利が発生するトークンを、元本と金利に分けて取引できるようにするプラットフォームです。金利を分離してトークン化することで、投資家にとっては、投資戦略を多様化できたり、資金を柔軟に運用できたりするメリットがあります。
この仕組みはブロックチェーン技術によって新たに誕生したわけではなく、債券の元本と金利を切り離して売買する仕組みが以前から存在していました。Pendleのサービスはこの仕組みに類似しており、公式ドキュメントでも「金利を対象にした伝統金融のデリバティブ(派生商品)をDeFiで実現する」と説明しています。
取り扱いトークンの例
Pendleが取り扱うトークンの1つに「stETH」があります。stETHは「Lido」というプラットフォームでイーサリアムをステーキングすると受け取ることができるトークンです。
普通にステーキングするとイーサリアムはロックされて使うことはできませんが、LidoなどのプロジェクトがstETHのような預かり証トークンを発行するサービスを提供し始めたことで、ユーザーはイーサリアムをステーキングして金利を得ながら、代わりにstETHを運用したり、取引したりできるようになりました。
Pendleは、このstETHのような金利を生む資産を元本と金利に分け、満期に応じた取引ができるようにしています。
Pendleの仕組み
続いて、Pendleの仕組みを概説します。
まず、金利を分離してトークン化することをPendleでは「イールドトークナイゼーション」と呼んでいます。イールドトークナイゼーションを行うには最初に、金利を生むトークンを「SY」と呼ばれるトークンにラップ(代替)します。これによって、例えばstETHは「SY-stETH」というトークンに代わります。
この「SYトークン」にラップする作業は、元本と金利を分離して、Pendleの取引所である「Pendle AMM」と互換性を持たせるために行います。イールドトークナイゼーションを行った後、各トークンは以下の総称で呼ばれます。
- 元本:PT(Principal Token)
- 金利:YT(Yield Token)
Pendleでは、このように金利を生む資産をPTとYTに分離し、Pendle AMMでそれぞれを取引できるようにしています。そのため、PTとYTには市場価格が付きます。
投資家が注目する理由
投資戦略を多様化
投資家がPendleに注目する理由の1つは、もともと伝統金融で需要のあった金利デリバティブの取引を提供していることです。通常は、特定の資産を満期まで所有することで金利を獲得することができますが、Pendleでは最初に元本と金利に分離することで、投資戦略をより柔軟化・効率化できます。
例えば、PTは満期になる前は、額面価格よりも安く購入することが可能です。安くPTを購入して満期まで保有すれば、額面金額で償還できるようになるため、この差額を固定金利のように捉えて取引することができます。
Pendleでは「PTの価格+YTの価格=原資産の価格」となるように運営されていて、満期に向かって以下のように価値が変動するようになっています。
- PY:満期に向かって価値が上昇する
- YT:満期に向かって価値がゼロになっていく
金利は満期まで原資産を保有することで受け取れるものであるため、時間が経過すれば価値がゼロになっていくことはイメージしやすいと思います。
他にも、将来的に受け取るはずの金利を先取りするという投資戦略が可能です。一方、YTを即座に売却し、金利変動のリスクをヘッジすることもできます。
大手企業が出資
2つ目はPendleのプロジェクトが大手企業らから出資を受けていることです。他の企業からの支援は、プロジェクトの信頼性や将来性につながります。
Pendleは21年4月、370万ドル(現レートで約5.7億円)の資金を調達したことを発表。この資金調達はMechanism Capitalが主導し、Crypto.comやHashKey Capitalの大手企業らも参加しました。
また、23年8月には、バイナンスから独立する前のVC部門「バイナンスラボ」がPendleに出資したことを発表。出資額は明かしていませんが、コメントとして「Pendleによる固定利回りの提供は、伝統的機関投資家のヘッジのバックボーンであるため、プロジェクトの成長において極めて重要な役割を果たすでしょう」と評価しました。
PENDLEの価格上昇
投資家が注目する3つ目の理由は、独自トークン「PENDLE」の価格が上昇していることです。本記事執筆時点の24年7月現在、PENDLEの価格は前年比400%超も高騰しています。
また、本記事執筆時点の価格は4.58ドルで、年初来の上昇率は260%超。これまでの最高値は24年4月の7.52ドルで、最安値は22年11月の0.03349ドルです。
PENDLEはユーティリティトークンとして発行されており、ロックすることで手数料報酬を受け取れたり、ガバナンスの影響力を獲得したりすることなどができます。
厳密には、この時にロックされたPENDLEは「vePENDLE(vote-escrowed PENDLE)」と呼ばれ、vePENDLEを持つことで報酬などの資格を得ることになります。vePENDLEは、PENDLEのロックされたバージョンです。
PENDLEの用途で注目を集めているのはガバナンスです。DeFiの各プロジェクトがより多くのPENDLEをロックしてvePENDLEの保有量を増やし、Pendleのエコシステにおける影響力を高め、自分たちの流動性を確保しようと争う「Pendle Wars」が行われています。
トレンドに対応
Pendleはこれまで、仮想通貨領域のトレンドも取り入れた開発・運営を行うことで、エコシステムを発展させてきました。この点も投資家の注目を集める理由の1つです。
例えば2023年には、2024年のトレンドになっているRWA(現実資産)のトークン化に対応。米国債の金利を獲得するトークン化資産の「sDAI」と「fUSDT」を取り扱うことを発表しました。
また、2024年には、仮想通貨領域で注目を集めている「リキッド・ステーキング・トークン」の取り扱いを増やしていくことでも、エコシステムを発展させました。Pendleを介してDeFiのサービスを利用することで、各サービスから獲得できるポイント(=エアドロップの権利)を増やせるようになったことでもユーザーを獲得しています。
このようにして注目を集めるPendleは2024年に入り、運用のためにロックされた資産の総価値「TVL(Total Value Locked)」が急増しました。「DefiLlama」のデータによれば、24年1月に2.3億ドルだったTVLは、6月に一時67億ドルまで増えています。
一方、上記のDefiLlamaのデータの通り、その後にTVLは大きく減少しました。これは、複数のプロジェクトのトークンが、このタイミングで満期を迎えたためです。
この点についてPendleのTN Lee CEOは「The Defiant」に対し、TVLを増やしていくため、新たに他のプロジェクトと協業する予定だと説明しています。
PENDLEの買い方
最後に、PENDLEの買い方を解説します。
PENDLEは日本の交換業者に上場していないため、購入はDEX(分散型取引所)を使用する必要があります。PENDLEはイーサリアム上で発行されているトークンです。今回は、DEXのユニスワップを使用する方法を解説します。
まず、イーサリアムのネットワークに対応したウォレットを用意します。
イーサリアムの代表的なウォレットにはメタマスクがあります。メタマスクのインストールと設定を行い、新しいウォレットを作成して、シードフレーズを安全に保管してください。
次に、ETHを国内取引所からメタマスクへ送金します。日本でETHを入手する場合はSBI VCトレードなどの取引所を利用します。メタマスクの作成方法や、国内取引所からのETHの送金方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
関連:仮想通貨ウォレット「メタマスク」の使い方、送金、セキュリティ対策を徹底解説
ウォレットが準備できたらユニスワップのプラットフォームにアクセスし、ETHとPENDLEのSWAP(交換)を行います。
PENDLE投資目的でイーサリアム(ETH)を購入するなら
以上が、PENDLEの買い方の解説です。Pendleのプロジェクトは、伝統金融商品をブロックチェーン上で確立したり、トレンドに適応したりして注目を集めています。
新しい投資機会に興味がある方は、この機会にPENDLEの購入に挑戦してみてはいかがでしょうか。ただし、PENDLEなどの仮想通貨投資にはリスクが伴うため、十分な調査と理解を行った上で、自己責任で投資判断をしてください。
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