- 仮想通貨ファンドの懸念
- モルガンクリークデジタルの創業者は、仮想通貨ファンドの報酬形態を理由に、複数のファンドが年内に閉鎖危機にあると指摘、SEC規制によるICO発行者への懸念を指摘した。
仮想通貨ファンドの懸念
Morgan Creek Digitalの創業者であるAnthony Pompliano氏は、先日11月19日に自身の情報発信サイトOff The Chainにて、仮想通貨ファンドやICO発行者への懸念を示した。
仮想通貨は、ボラテリティの高い投資対象として知られ、その価格は2017年に大幅な上昇を遂げた一方で、2018年には年間を通して大幅下落を記録し続けている。
さらに、仮想通貨市場はここ数日間でも大幅な下落を見せており、記事執筆時点でビットコインは、50万円を下回って取引されている。
そんな中Pompliano氏は、仮想通貨ファンドマネージャーの「High Water Mark」方式と呼ばれる報酬形態が、仮想通貨ファンド存続が困難になっている現状に関係していると述べた。
High Water Markとは、日本語で最高水位のことを意味し、ファンドの運用額がある一定の水準を超えた部分に対して、ファンドマネージャーに追加報酬が得られる、いわゆる成果報酬型の形態と呼べる。
つまり、彼らが大きな成果を挙げれば、それに見合った報酬が得られるが、逆に成果が挙がらないと、追加報酬を得られないことになる。
実際、ほとんどのファンドは、前投資期の最後であり、仮想通貨市場が最も高まっていた2017年末に最高水位を記録しているため、多くのファンドマネージャーは、その水準を超すまで成果報酬を得られないことをPompliano氏は指摘している。
現在の仮想通貨市場は、2017年末から全体的に50〜80%ほど大きく下落していることから、ほとんどのファンドマネージャーがHigh Water Mark方式の成果報酬を得るためには、仮想通貨価格が現在の価格より2〜4倍の上昇を記録する必要があるとされる。
そして、ファンドマネージャーの総報酬額は、成果報酬に大きく左右されることから、Pompliano氏は、今後、多くのファンドが閉鎖、または、最高水位を記録した2017年の基準を一新するために、閉鎖後、新たなファンドを立ち上げるといった行為が目立つようになるのではないかと予想した。
さらに、仮想通貨のファンドマネージャーには、比較的若く、経験の少ない人材が多いことから、未だ成果報酬の予測が立てられていないのではないかと主張している。
つまり、彼らの成果報酬額が明らかになる年末にかけて、残り60日ほどで、複数の仮想通貨ファンドが閉鎖される可能性を示唆した。
危ぶまれるICO
Pompliano氏は、仮想通貨ファンドだけでなく、ICO発行者にも危機が迫っていることについても強調した。
今月11月初頭に、アメリカ証券取引委員会(SEC)は、分散型取引所EtherDeltaが未登録証券の取引を提供していたとして、その創業者であるZachary Coburn氏に約4400万円の罰金を命じている。
同じく今月11月中旬にSECは、AirfoxとParagonと呼ばれる2つのICOプロジェクトを証券とみなし、それらが未登録証券であることから、両企業に対し、投資家への返金や罰金が命じられた。
このように、SECは着々とICOプロジェクトの証券認定に着手していることが示唆された。
そして、Anderson Killにて弁護士を務めるStephen Palley氏も、それらのトークンが証券と認められれば、全てのICOプロジェクトの95%が証券に値するだろうと述べていることから、今後その数は増えていくことが予想されている。
Pompliano氏は、これらのプロジェクトが証券であると認定された場合、SECへの罰金に加え、当時の価格で投資家への返金を行わなければならないことが言及された。
例えば、そのプロジェクトは当時1BTC=100万円の時に50BTCを調達していた。
これは当時の価格で言えば、5,000万円に相当する。
つまり、このプロジェクトが証券認定された場合、そのチームはSECへの罰金に加え、5,000万ドルの返金も行わなければならない。
現時点で仮想通貨市場が大幅に下落していることを考慮すると、多くのICOプロジェクトがその返金分を払えず、追加の資金調達を行うか破産するしかないと指摘された。
もし、その破産が起きた場合、そのトークンの価値はゼロになり、それを保有する仮想通貨ファンドも被害を被り、悪循環に陥る可能性があることを主張している。
実際これらの出来事が現実になるかは定かではないが、今後もSECの動きや仮想通貨市場の動向を注意深く見守って行く必要があるだろう。
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