
ビットコイン財務戦略を開始へ
ソーシャルメディアプラットフォーム「Truth Social」運営のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは13日、米証券取引委員会(SEC)が、ビットコイン財務戦略の登録届出書を承認したと発表した。
これにより、同社は最近機関投資家約50社から調達した23億ドル(約3,300億円)の資金で暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を取得することが可能になった。
ビットコインの取得予定額は明らかにしておらず、購入は任意であり、調達した資金は一般的な企業目的にも使用できると述べている。
トランプ・メディアは5月末、普通株式と無利子転換優先債券の私募により、上場企業最大級のビットコイン財務戦略を実行すると発表していたところだ。
トランプ・メディアのデビン・ヌネスCEOは、次のようにコメントした。
当社は、事業や提供サービスの拡大、能力向上に向けた計画を積極的に実行している。ソーシャルメディア・プラットフォーム、テレビストリーミング・プラットフォーム、そしてフィンテック・ブランドを同時に強化・成長させているところだ。
同時にビットコイン財務戦略を確立することで、同社を拡大するパトリオット・エコノミーの顧客基盤にとって不可欠な企業へと変革し続けることを目指す。
なお、パトリオット(愛国者)エコノミーとは、主にアメリカの保守派・右派を中心に使われる用語で、政治的・思想的に共感する企業や製品を支持し、経済活動を通じて価値観を共有しようとする動きである。
トランプ・メディアは、「Truth Social」に加えて、ストリーミングサービス「Truth+」を運営しており、今年1月には仮想通貨への投資を視野に入れたフィンテックブランド「Truth.fi」も立ち上げた。
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同社は、登録届出書の承認を受けて最終目論見書もSECに提出。これには「ユニバーサル・シェルフ(一般棚卸し登録)」も内容として含まれていた。これにより最大で120億ドル(約1.7兆円)分の株式、社債、またはワラント(新株予約権)をいつでも発行することが可能だ。
トランプ・メディアは、「当面の間、このユニバーサル・シェルフ届出に基づいて証券を発行する計画はない」と述べている。
初期投資家が保有する約8,470万株が、転売登録されており、これは同社の流通株式の約半分、発行済み株式全体の30%に相当する量だ。
ユニバーサル・シェルフとは
英語でUniversal Shelf Registration。米国などの金融市場で使われる仕組みで、企業があらかじめ一定額までの証券(株式、社債、ワラントなど)を発行できるように登録しておく制度。
現在、世界でビットコインをはじめとする仮想通貨に投資する企業が増えている。5月時点で、世界の上場企業や機関投資家85社が保有するビットコインは合計80万BTCを超え全供給量の約4%に達した。
企業によるビットコイン購入は、ビットコインを後押しする要因の一つと考えられている。一方で、小規模な上場企業による大規模な仮想通貨購入計画が相次いでいることについては、一時的な投機行為である可能性があるとして注意を呼びかける専門家も存在する。
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