
株主優待として「暗号資産(仮想通貨)」を受け取れる企業が登場し、新たな投資手段として注目を集めています。XRP(エックスアールピー)やイーサリアム(ETH)などを保有できるこの仕組みは、仮想通貨投資を始めたい方にも有効な入り口となります。
本記事では、2025年時点での対象企業や優待内容、受け取り手順、注意点までをわかりやすく解説します。
目次
暗号資産株主優待の特徴
2025年時点で導入企業は限られているものの、制度の革新性と資産形成への期待から、今後はテクノロジー系企業を中心に拡大が予想されます。ここでは、株主優待の基本から、暗号資産特有の注意点、今後の展望までを整理して解説します。
株主優待は、会社の株式を保有する株主に対して定期的に商品やサービスを贈呈する制度です。
株主優待に類似の制度として「配当金」があります。どちらも、権利確定日に株主名簿へ名前が記載されている株主への還元という意味では同じですが、その性質は大きく異なります。
具体的には、配当金は企業が得た利益を出資額に応じて株主に現金の形で分配しますが、株主優待は自社商品・サービスや割引券など使い道がある程度制限された特典を贈呈するものです。
株主優待を行うことで、企業にとっては自社製品のファンを増やし、株式の保有期間を伸ばせるというメリットがあります。株主優待と配当金を両方実施している銘柄であれば、条件を満たせば両方とも受け取ることが可能です。
株主優待を受け取るには、2つの条件を満たす必要があります。
- 「権利付最終日」までに必要数の株式を取得
- 「権利確定日」に株主名簿に名前が記載されている
まず、株主優待や配当などの権利が確定する日を「権利確定日」と呼び、株主優待を受けるためには権利確定日の時点で株主名簿に名前が載っていなければなりません。
ただし、株式の購入から株主名簿に名前が記載されるまでには約3営業日を要します。この「権利確定日から3営業日前」、つまり株主優待を受ける権利を獲得するために株を購入できる最終日のことを「権利付最終日」と呼びます。
ちなみに、権利付き最終日の翌日のことを「権利落ち日」と呼びます。この時点では既に株主優待を受ける権利が確定しているため、権利落ち日に株式を売却したとしても優待は受け取れると覚えておきましょう。
ただし、優待目的の株購入を行う際には注意点があります。
まず、前述の「権利付最終日」には投資家の多くが買い付けを行うため、株価が値上がりして割高になりやすい点です。これは、権利付最終日の直前や当日ではなく、日数に余裕をもって買付を行うことで回避できます。
また別の注意点として、「権利落ち日」の直後は継続して保有を望まない投資家の多くが株式を売却するタイミングなため、株価が下落する傾向にあります。
これを回避する方法が「つなぎ売り」です。つなぎ売りは、現物で保有する優待銘柄について、権利付最終日の直前に信用取引で売り建て(空売り)の成行注文を行うことで株価下落のリスクを軽減する方法。
予想通り権利落ち後に株価が下落した場合でも、信用取引を買い戻した利益によってその損失を相殺できます。
ただし、一般的に信用取引の銘柄は現物取引の銘柄よりも少なく、つなぎ売りができない場合もある点や、信用取引には現物取引とは別で手数料が発生する点に留意しましょう。
暗号資産の株主優待は雑所得として課税対象となります。
- 年間20万円超の利益がある場合は確定申告が必要
- 他の雑所得と合算して計算
- 受け取り時の時価で所得計算
記録保持の重要性
- 受け取り日時と時価の記録
- 売却時の価格記録
- 手数料等の経費記録
投資のリスク
- 株価下落リスクの考慮
- 優待制度変更の可能性
- 企業業績への影響
暗号資産株主優待は実験段階から本格的な制度へと発展しており、近年複数の企業が導入を発表しています。2025年4月にはAIフュージョンキャピタルグループが2026年3月期から暗号資産配布の株主優待制度を開始予定で、OKJが技術面を全面サポートします。同社は時価総額1,000億円を目指すAI革命戦略の一環として、この制度を取り入れています。
また、株式会社gumiは2025年4月期から総額1,600万円相当のビットコインを抽選で株主に配布する制度を導入し、SBI VCトレードとの提携で包括的なサポート体制を整えています。500株以上保有の株主を対象に、10万円相当(30名)から1万円相当(1,000名)まで段階的な配布を行います。
これらの動きを後押しするのが、上場企業による暗号資産の直接保有増加トレンドです。企業がデジタル資産への理解を深め保有経験を積むことで、株主還元手段としての活用にも積極的になっています。
今後はフィンテック、IT・テクノロジー、ゲーム・エンターテインメント、AI関連企業を中心に制度拡大が予想されます。特にWeb3技術との融合や、若年層株主獲得、企業イメージ向上を目指す企業にとって魅力的な選択肢となっています。
暗号資産を株主優待で提供する企業一覧【2025年最新】
現在確認されている企業は以下の3社です:
セレス(株価コード:3696)
300株以上:各10,000円(合計20,000円)
イクヨ(株価コード:7273)
10万円相当×30名
3万円相当×100名
1万円相当×1,000名
1. SBIグローバルアセットマネジメント(株価コード:4765)

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各企業の詳細条件と受け取り要点
セレスの暗号資産株主優待
項目 | 要点 |
---|---|
提供暗号資産 | ETH + ZPG(合計付与) |
対象株主 | 【基準日】2025年12月末 100〜299株:合計5,000円相当/300株以上:合計20,000円相当 |
申込・配布 | 案内送付:2026年3月下旬(総会後)/配布:2026年5月中旬〜10月中旬 |
口座要件 | 株主本人名義のCoinTrade口座(18〜79歳) |
最終期限 | 2026年9月30日までに口座開設+申込完了 |
- やることは2つだけ:① CoinTrade口座を開設 ② 専用サイトで申込
- 配布は2026年5〜10月に順次。
- やることは2つだけ:① CoinTrade口座を開設 ② 専用サイトで申込
- 毎月末締切で翌月15日配布。最終は9/30 23:59まで。
イクヨの暗号資産株主優待
項目 | 要点 |
---|---|
提供暗号資産 | BTC(ビットコイン) |
対象株主 | 2025年9月30日現在の株主名簿に記載の500株以上保有株主 |
優待内容 | 抽選で総額1,600万円相当のBTC 10万円相当 × 30名 / 3万円相当 × 100名 / 1万円相当 × 1,000名 |
申込・配布 | 詳細は後日、公式HPで案内(付与方法・当選発表方法は未公表) |
口座要件 | 未定(特定取引所口座などの指定は現時点で発表なし) |
最終期限 | 未定(抽選方式。申込スケジュールの発表待ち) |
- やることは2つだけ:① 基準日(9/30)までに500株以上を保有 ② 公開され次第、公式案内に従って申込
- 抽選のため必ず受け取れるわけではありません。BTCは価格変動リスクがあります。
SBIグローバルアセットマネジメントの暗号資産株主優待
項目 | 要点 |
---|---|
提供暗号資産 | XRP |
対象株主 | 2025年3月末基準で ・100~499株:2,500円相当 ・500株以上:10,000円相当(保有1年未満)/12,000円相当(保有1年以上) |
申込期限 | 2025年10月31日(金)17:00 |
口座要件 | SBI VCトレード本人名義口座(未成年不可) |
その他特典 | 株式新聞Web版 1年間無料購読(全株主対象) |
今後の方針 | 2026年3月末以降もXRP中心で継続予定。ただしETFや投資信託を含む制度改定の可能性あり(詳細未定) |
- 確定情報:2025年3月末基準の優待内容は上記のとおり。
- 不確定情報:2026年3月末以降は制度見直しを検討中。XRPに加え暗号資産ETF・投信導入の可能性もある。
まとめ:暗号資産株主優待の投資価値
本記事では、株主優待として暗号資産を提供する企業の最新情報をご紹介しました。現在確認できるのはSBIホールディングスとセレスの2社ですが、gumiやAIフュージョンキャピタルグループなど新たな企業の参入も続いており、この分野は確実に成長しています。
従来の商品券や食品とは異なり、暗号資産優待は価値上昇の可能性や流動性の高さといった魅力がある一方で、価格変動リスクや税務処理の複雑さといった注意点もあります。特に、雑所得として課税される点は事前に理解しておくことが大切です。
投資を検討される際は、優待内容だけでなく企業の業績や将来性、必要な取引所口座の開設手続きなども総合的に判断しましょう。100株という比較的少ない株数から参加できる銘柄が多いのも魅力の一つです。
暗号資産株主優待は、デジタル資産への入門機会としても、新しい投資体験としても注目に値する制度です。リスクを十分に理解した上で、ご自身の投資スタイルに合った銘柄を選んでみてください。
よくある質問(FAQ)
暗号資産株主優待に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 暗号資産株主優待はどんな企業が提供していますか?
2025年6月現在、SBIグローバルアセットマネジメント(8411)とセレス(3696)の2社が暗号資産による株主優待を提供しています。
Q2. SBIグローバルアセットマネジメントの優待内容は?
8XRP(2,500円相当)、31XRP(10,000円相当)、38XRP(12,000円相当)のいずれかをSBI VCトレード口座に配布。申込期限は2025年10月31日17:00まで。
Q3. セレスの優待内容は?
ETH(5,000円相当)とZPG(5,000円相当)の合計10,000円相当をCoinTrade口座に配布。2024年12月31日基準で100株以上保有の株主が対象で、最終申込期限は2025年9月30日23:59まで。
Q4. 暗号資産株主優待の税務上の扱いは?
暗号資産の株主優待は雑所得として課税対象となります。年間20万円超の利益がある場合は確定申告が必要で、受け取り時の時価で所得計算を行います。
Q5. 優待で受け取った暗号資産は売却できますか?
暗号資産取引所での売却は可能です。ただし、SBIの優待では「株主名義人以外の他人への譲渡、転売等」が禁止されており、セレスの優待でも「株主名義人以外の第三者への譲渡や転売等」が禁止されています。
Q6. 取引所の口座開設にはどのくらい時間がかかりますか?
SBI VCトレードは審査・郵送含めて約10日間、CoinTradeは審査含めて約5日間必要です。申込期限に間に合うよう早めの手続きを推奨します。
Q7. 株主優待は毎年継続されますか?
セレスは継続予定を表明していますが、両社とも業績や外部環境により変更される可能性があります。詳細が決定次第、各社から公表される予定です。

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