はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

MiCAの監督格差問題 仏・墺・伊が共同でEUの規制強化を要請

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

国ごとに異なる監督方法

フランス、オーストリア、イタリアの規制当局は15日、欧州連合(EU)の暗号資産(仮想通貨)規制MiCAの初期段階で生じている各国レベルの監督格差を問題視し、より強力なEUレベルの監督強化を求める共同声明を発表した。

フランス金融市場庁(AMF)、オーストリア金融市場庁(FMA)とイタリア証券取引委員会(Consob)は、MiCA施行開始後数ヶ月で、各国の監督当局による仮想通貨市場の監督方法に「大きな違い」があることが明らかになったと指摘。監督体制の見直しが迅速に行われない場合、加盟国が他国で認可された業者に対して、独自の予防措置を取らざるを得ない状況になる可能性があると警告した。

さらに、EU業者による域外プラットフォーム利用などのリスクにも対応が不十分であり、現状のままでは投資家保護が損なわれ、EU市場参加者の競争力も脅かされる恐れがあると付け加えた。

MiCA(Market in Crypto Assets)とは、EU全域に適用される包括的な仮想通貨規制の枠組みで、2023年に欧州議会で承認され、2024年12月30日から本格的に施行された。EUの仮想通貨市場を統一的に監督し、投資家保護の強化、金融の安定性と完全性の確保、金融犯罪の防止、EU単一市場と国際競争力の強化を目的としている。

MiCAはステーブルコイン規制やライセンス制度、消費者保護要件などを規定しているが、中でも特徴的なのは、そのライセンス制度の仕組みだ。取引所やウォレット提供者などの仮想通貨サービスプロバイダー(CASP)は、EU加盟国のうち1カ国でライセンスを取得すれば、EU全域で事業展開可能な「パスポート制度」を活用することができる。

AMF長官が警告

ロイターの報道によると、AMFのMarie-Anne Barbat-Layani長官は、より強い姿勢でMiCAに対するEU域内での監督格差について警告し、他のEU加盟国でライセンスを取得した一部の仮想通貨関連企業に対し、フランス国内での事業を阻止する可能性があると述べた。

我々はEUパスポートを拒否する可能性を排除しているわけではない。法的には非常に複雑であり、単一市場にとってあまり良いサインとは言えない。それはまるで『核兵器』のようなものだが…それでもなお、可能性の一つとして残しておく。

同氏は、「仮想通貨プラットフォームは『規制の物色』をヨーロッパ各地で行っており、他よりも要件が少なくてライセンス取得可能な弱い部分を探している」と付け加えたが、具体的な例には言及しなかった。

マルタで迅速にライセンス取得

3カ国の共同声明では具体名は指摘されていないが、マルタがそのうちの一つではないかと推測されている。

地中海の島国、マルタ共和国は「ブロックチェーン島」と称され、いち早く2018年に仮想通貨規制の枠組みを導入し、規制の明確化を図ってきた仮想通貨先進国だ。

マルタは独自の規制である仮想金融資産(VFA)制度を当時から導入しているため、要件を満たした仮想通貨企業は、この枠組みを活用し事前認可を受けることで、比較的容易にMiCAライセンスへ移行できる可能性が高い。

大手取引所OKXやCrypto.comなど仮想通貨企業がヨーロッパの拠点としてマルタに進出している。MiCA制度の本格施行後、数週間でOKXとCrypto.comはMiCAライセンスを取得した。また、マルタ金融サービス局(MFSA)は今年8月、米仮想通貨取引所GeminiにもMiCAライセンスを付与している。

一方、MFSAはライセンス付与のプロセスをめぐって、今年初めに欧州証券市場監督機構(ESMA)の調査を受けた。その際に、MFSAが特定の仮想通貨企業のリスク評価を十分に行っていなかったことが判明した。

改善提案

AMF、FMA、Consobは、MiCA規則の一貫性と効果的な適用を確保するため、重点的な変更を求め、以下の4つの改善案を提示した。

  • 欧州証券市場監督機構(ESMA)が主要CASPを直接監督する
    各国間の監督格差を解消し、一貫した基準を適用。企業による「国選び」を防止し、監督コストを削減。
  • EU仲介業者による域外プラットフォームへの注文執行を禁止
    EU投資家をターゲットにした国外プラットフォームのリスクを排除し、規制逃れを防止。
  • MiCAライセンス取得・更新時に第三者によるサイバーセキュリティ監査を義務化
    市場のセキュリティ強化と投資家の信頼向上
  • トークンのホワイトペーパーを一元的に提出するシステムの構築
    国境を超えたトークン提供の簡素化と、法的明確性の確保
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/01 土曜日
09:50
チェンジHD、JPYCで地方創生へ ふるさと納税・インバウンド決済に円ステーブルコイン導入検討
チェンジホールディングスが日本円ステーブルコインJPYCを活用した地方創生に着手する。「ふるさとチョイス」での決済導入検討やインバウンド事業での実証実験を計画している。
09:20
欧州中央銀行がデジタルユーロ開発加速、2029年導入目指す
欧州中央銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC)デジタルユーロの開発を次段階に進めることを決定した。2027年にパイロット実験を開始し、2029年の正式導入を目指す。
07:40
ビットコイン、サトシ・ナカモト執筆のホワイトペーパー公開から17周年に
仮想通貨ビットコインは10月31日、ホワイトペーパー公開から17周年を迎えた。SNSでは祝福の声が投稿されており、コインベースのCEOは、1つのPDFが世界を変えたとコメントしている。
07:30
米連邦控訴裁、仮想通貨銀行カストディアのマスターアカウント請求認めず
米連邦控訴裁判所が仮想通貨銀行カストディアに対するFRBのマスターアカウント拒否を支持した。裁判所はFRBがアクセスを認めるかどうかの裁量を持つと判断し、地方裁判所の判決を支持した。
06:45
コインベースが民主党議員の政治献金批判に反論 、「中立的活動」と主張
仮想通貨取引所コインベースが民主党マーフィー上院議員からの政治献金批判に公開反論した。同社幹部は仮想通貨業界PAC活動が非党派的で企業献金は歴代政権で標準的慣行だったと説明。
06:10
ストラテジーのセイラー会長、ビットコイン企業買収に消極姿勢
ストラテジーのセイラー会長が他のBTCトレジャリー企業の買収に関心がないことを明らかにした。不確実性が多く時間がかかることを理由に挙げ、デジタルクレジット販売とビットコイン購入に注力する方針だ。
05:45
カナン、日本の電力会社と契約 ビットコインマイニングで送電網安定化図る
BTC採掘機器メーカーカナンが日本の大手地域電力会社とマイニングサーバー販売契約を締結した。水冷式アバロンサーバーで送電網バランシングとエネルギー効率最適化を実現し、2025年末に稼働開始する予定だ。
10/31 金曜日
18:45
American Bitcoin CEOが語る、環境配慮型マイニングの未来|独占インタビュー
American BitcoinのMichael Ho CEO独占インタビュー。ビットコインマイニングの60%以上が再生可能エネルギー由来という実態や、トランプファミリーとのビジネス関係、日本市場への期待について詳しく聞く。
18:41
万博ウォレットがリニューアル、JPYC対応開始&総額1億円配布へ
EXPO2025デジタルウォレットが「HashPort Wallet」としてリニューアル。JPYC対応を開始し、総額1億円プレゼントキャンペーンを開催。Ethereum・Polygon対応も。
18:33
SBIホールディングスが上半期で過去最高益 暗号資産事業は堅調・Web3戦略を本格化
暗号資産事業も堅調 SBIホールディングス株式会社(東証プライム:8473)が31日に発表した2026年3月期第2四半期(2025年4〜9月)連結決算は、純利益が前年同期比3….
16:59
ゲーム会社gumi、子会社で予測市場サービスの事業化を検討
gumiが子会社gC Labsで予測市場サービスの事業化検討を開始。AIとブロックチェーンを活用し、政治・経済・エンタメなど幅広いテーマで集合知を生成。海外で急成長するPolymarketを参考に、日本での新市場創出を目指す。
16:53
金融庁、ビットコインなど暗号資産ETF関連デリバティブの国内提供を「望ましくない」と牽制
金融庁は31日、海外で組成された暗号資産(仮想通貨)ETFを原資産とするデリバティブ商品の取扱いについて「望ましくない」との見解を表明した。IG証券が開始したブラックロックのビットコイン・イーサリアムETFのCFD取引が背景とみられる。国内では暗号資産ETFの制度整備が進行中で、税制面の不透明さも課題となっている。
14:38
バンクマン=フリード被告のXアカウント、「FTXは破産していなかった」とする文書を公開
破綻した暗号資産取引所FTXの創設者サム・バンクマン=フリードが「FTXは破産していなかった」と主張。収監中の身ながら、X上で14ページの反論文書を公開した。
14:08
コインチェック、『Eternal Crypt - Wizardry BC -』関連NFT取扱い終了へ
Coincheckは、ブロックチェーンゲーム『Eternal Crypt - Wizardry BC -』のサービス終了に伴い、NFTコレクションの取扱い終了とBCトークン購入の一時中止を発表しました。
13:50
RWAトークン市場、2028年に約60倍拡大予測「大部分はイーサリアム上で」=大手銀行分析
スタンダードチャータード銀行がステーブルコインを除く実物資産トークン化市場が2028年までに現在の350億ドルから2兆ドルへ約60倍拡大すると予測した。マネーマーケットファンドと上場株式が市場を牽引する見込みだ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧