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グレースケール幹部、ストラテジーに30億ドルのビットコイン売却を提案

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • グレースケールがストラテジーにBTC売却を提言
  • STRC急落、配当負担は年12億ドルへ膨張

大量のビットコイン売却という選択肢

仮想通貨運用大手のグレースケールのリサーチ部門責任者、ザック・パンドル(Zach Pandl)氏は27日、米ストラテジー社が抱える優先株の配当負担をめぐり、優先株「STRC」の配当率引き上げよりも、30億ドル超相当のビットコインを売却する方が、市場の信頼回復につながりうるとの見解を示した。

パンドル氏はX投稿で、ストラテジー社がSTRCの配当率を50ベーシスポイント(0.5%)引き上げると予想。その場合、今後2年間で約1億ドルの追加配当負担が生じるにもかかわらず、市場の信頼回復にはつながらないと見ている。

一方、30億ドル超相当のBTCを売却し、一部の転換社債を除く今後2年間のほぼすべての現金支払い義務を賄うことができれば、市場の信頼回復につながる可能性が高いとの考えを示した。

この発言の背景には、ストラテジー社特有の資本構造がある。同社はビットコインを大量保有するデジタル資産トレジャリー企業(DAT)の代表格で、普通株(MSTR)だけでなく、変動利率永久優先株STRCなどを発行し、資金調達とビットコインの積み増しを進めてきた。

STRCは当初、100ドル前後で推移し、約11.5%の配当が想定されていた。しかし、26日に最安値を更新し、額面100ドルに対して74ドル前後まで下落。株価の下落に伴い投資家が求める利回りが上昇したことで、配当率の引き上げ圧力が強まっている。

そんな中、同社の現金準備金は2026年初から38%減少している。5月に2029年満期のゼロクーポン転換社債15億ドルを買い戻したことで、現金が大きく減少したためだ。一方で、年間優先配当義務は2026年初の約3億ドルから現在の12億ドルへと約4倍に膨らみ、配当をカバーできる期間は7年超からわずか14ヶ月にまで急減した。

パンドル氏によると、同社のソフトウェア事業による年間収益は約4億7,700万ドルにとどまり、年間約12億ドルに膨らんだ優先株の配当負担を大きく下回っている。

ストラテジー社は5月26日〜31日に32BTCを約250万ドルで売却し、調達資金を優先株の配当支払いに充てたと6月1日に公表した。売却規模自体は同社の総保有BTCから見ればごく小規模だったものの、「積み増し・長期保有」を掲げてきた同社が売却に踏み切ったことは、市場心理に影響を与えた。

パンドル氏は、ストラテジー社のレバレッジを活用したビジネスモデルは現在、構造的な圧力に直面しており、それがビットコイン市場全体のボラティリティを高めていると指摘。また、長期的なビットコイン・エコシステムの健全性という面では、ストラテジー社のBTC保有量が減少し、保有がより分散化することはプラスに働くとの見方を示している。

関連記事:ビットコイン価格低迷でストラテジーの資金調達モデルに軋み、市場の追加リスク要因に=アナリスト

オンチェーンアナリストのアドラー氏が、ストラテジー社の資金調達モデルに軋みが生じていると指摘。BTC価格が平均取得価格を下回る中、優先株STRCの額面割れや資金調達コスト上昇が追い打ちをかけ、市場を支えてきた同社の買い手としての力が弱まるリスクが浮上している。

さまざまな見方

世界最大のビットコイン保有企業であるストラテジー社の動向は、ビットコイン市場への影響が大きいことから、市場関係者の注目を集めている。

同社は5月末にビットコインを売却した後、3週連続でビットコインを買い増し、BTC累計保有量は847,363BTC(8.8兆円相当)に達した。なお、その財務戦略をめぐっては市場でさまざまな見方が出ている。

仮想通貨データ分析会社のクリプトクアントは、現金準備金と配当カバレッジが回復するまでビットコインの新規購入を停止すべきだと提言。市場の信認を回復するためには、現金準備金の積み増しが重要との見解を示した。

またリップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは、マイケル・セイラー会長によるビットコイン購入手法について、長期的な価値を生まない「金融工学」であると批判し、市場全体を傷つけていると指摘した。

一方、ビットコイン支持者として知られるサムソン・モウ氏は、ストラテジー社の財務改善策として、ビットコイン・トレジャリー企業「BSTR」との店頭(OTC)取引で約15億ドル相当のBTCを売却し、現金準備金を積み増す案を提案。「双方にメリットがある」との考えを示した。 

ストラテジーの資本戦略を巡ってはさまざまな見方が示される中、市場の信認を保ちながら、財務の安定とBTC保有戦略をどう折り合わせるか。同社の判断が注目される。

関連記事:リップルCEO、ストラテジーのビットコイン購入手法を疑問視

リップルのガーリングハウスCEOがCNBCで、ストラテジーのビットコイン購入を支える『金融工学手法』を批判した。優先株STRCは26日に過去最安値を更新し、クリプトクアントはBTC購入停止と現金準備金の回復を提言している。

関連記事:ビットコインを保有する上場企業ランキング|世界・日本TOP10を徹底比較【2026年6月版】

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