- クラリティー法が不成立でも仮想通貨市場の発展は続くと分析
- 法制度が整わなければ投資や起業が海外に流出するリスクも
年内成立の可能性が低下
米資産運用大手グレースケールのリサーチ責任者ザック・パンドル氏は8日、最新の公式リサーチノートで、クラリティー法案が不成立となった場合の市場への影響を分析した。同法案が成立しなくとも、暗号資産(仮想通貨)市場は前進するとの見方を示している。
パンドル氏は「上院の審議日程や選挙イヤーの特有の政治情勢を踏まえると、年内に成立する可能性は低くなった」と述べた。一方で「成立しなかったとしても、主要ブロックチェーンの機能や、価値の保存手段としてのビットコインに対する需要、ステーブルコイン決済の成長が直ちに損なわれるわけではない」と強調した。
仮想通貨業界は、包括的な市場構造規制が存在しない状態でも、約17年にわたって発展を続けてきたと同氏は指摘する。特に現トランプ政権下では規制当局による個別の解釈や指針が、すでに多様な面で業界を支援しているとして、以下の具体例を挙げた。
- 機関投資家向けカストディに関する新たなルール
- 銀行サービスへのアクセス改善
- ステーキングに関する明確な方針
- 仮想通貨の上場投資商品(ETP)の成長を促す枠組み
グレースケールは、クラリティー法案が成立しない場合でもこうした流れは続くと見ている。米証券取引委員会(SEC)などの規制当局は、今後数か月、特にトークン化証券について規則を制定することにより、「残された空白を埋めていく」可能性が高いと予想する。また、SECが示した、仮想通貨への連邦証券法の適用に関する解釈方針は、業界にとって大きな前進となっていると指摘した。
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米国の暗号資産規制を担う「ジーニアス法(GENIUS Act)」と「クラリティー法案(CLARITY Act)」。ステーブルコイン発行者を規制する成立済みのジーニアス法と、SEC・CFTCの管轄を整理する審議中のクラリティー法案の違いを、比較表とともに初心者向けに解説します。
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ビットワイズCIOのマット・ホーガン氏は、クラリティー法が今週不成立でも仮想通貨市場への打撃は限定的と分析した。法案は消えずに宙に浮くとしつつ、SECの独自ルール整備や機関マネーの流入で制度化は後戻りしないとの見方を示す。
海外への投資・起業流出リスク
一方、クラリティー法の不成立は、米国における新たな投資活動や資本形成に影響を及ぼす可能性があると、パンドル氏は警鐘を鳴らす。
同法案には、ブロックチェーン技術を活用した新たな資金調達の道筋や、トークン化証券市場の成長支援のための措置が盛り込まれている。また、仮想通貨取引所やブローカーといったで至る資産の仲介業者を対象とする包括的な監督・監視の枠組みに加え、消費者・投資家・開発者を保護する規定も含まれる。
同法案は、米国の仮想通貨市場に対して伝統的な金融市場(TradFi)に近い、合理的なルールブックを提供するはずだった。それだけに、不成立となれば大きな機会損失につながる。
規制当局によるルール策定が進んだとしても、米国に市場構造を包括的に規制する法制度が整備されなければ、起業家の事業活動が海外へ流出する可能性があるとグレースケールは指摘する。トークン発行ルールの柔軟性や開発者に対する保護の充実といった要因から、より事業を展開しやすい国や地域が選ばれることが考えられるという。
この傾向はすでに確認されており、トランプ政権の発足時には一部反転したものの、再び強まる可能性があるとパンドル氏は付け加えた。
9月採決が最初の関門
米上院は、8日の休会前にクラリティー法案の本会議採決を実施できなかったが、ジョン・スーン上院院内総務が同日未明(東部時間)、討論終結(クローチャー)動議を提出し、9月の審議入りに向けて手続きを進めた。休会明けの9月15日に手続き上の投票が行われる見通しだ。
クローチャー投票は、本会議での審議入りを進めるための手続きで、可決には60票が必要となる。現在、共和党は53議席を握るが、全共和党員が賛成したとしても、少なくとも7人の民主党議員もしくは無所属議員からの支持が欠かせない状況だ。
残る主な争点は、公職者の利益相反を巡る倫理規定(トランプ大統領関連の事業売却を求める案を含む)、不正金融対策、ステーブルコインの利回り提供などだ。
上院で審議入りが認められた場合でも、その後に本会議での討論や修正協議、最終採決が必要となる。
11月の中間選挙が迫る中、議会が法案審議に割ける時間は限られている。したがって、9月の手続き採決は同法案の成立に向けた重要な一歩となる一方で、超党派合意を形成できるかが最大の焦点となる。
関連記事:延期されたクラリティー法案、上院が採決日を9月中旬に調整へ
米上院は仮想通貨市場構造法「クラリティー法案」の8月内の採決を見送り、9月に持ち越した。9月15日を軸に共和党と民主党の交渉が続く状況を伝える。



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