ビットトレードは9月2日、ストロングホールド(SHX)の取扱い開始を発表しました。国内の暗号資産交換業者がSHXを取り扱うのは、これが初めてとなります。
販売所(積立を含む)での取扱いは、2026年9月中旬を予定しています。
SHXは2018年末に発行されたトークンで、ICO・TGE・IEOのいずれも実施していません。発行体は、既存の銀行決済網とブロックチェーンをつなぐ米国のフィンテック企業ストロングホールドです。
そもそもSHXは、何のためのトークンなのか
SHXを理解する近道は、「保有して値上がりを待つ資産」ではなく「決済ネットワークを回すための燃料」として見ることです。公式のタグラインは、英語で「Most tokens store value, SHx creates it.」、日本語で「価値の保存から、価値の創造へ。」とされています。
なぜそうした設計になるのでしょうか。米国の企業間決済で広く使われるACHのような既存の送金網は、資金の着金までに日数がかかり、事業者は売上が手元に入るまで運転資金を寝かせることになります。ここにブロックチェーン側の即時性を接ぎ木するのがストロングホールドの事業で、SHXはその上で加盟店にインセンティブを配り、資金の出し手を集めるための層として置かれています。
つまりSHXの価値は、ネットワークの上でどれだけ決済が流れるかに紐づきます。
発行体ストロングホールド|レガシー決済とブロックチェーンをつなぐ会社
ストロングホールドは2017年創業のフィンテック企業で、既存の決済網と次世代の決済網をAPIで接続する事業を手がけています。掲げるミッションは「すべての人に、速く、安全で、アクセスしやすい金融サービスを提供する」です。
共同創業者の2人は、いずれもステラ(Stellar)の初期に関わった人物です。CEOのタミー・キャンプ氏はステラの初代Head of Growthを務め、500 Startupsのパートナー、NFXやWalmart Labsでの経験を持ちます。Fortune Ledgerの「40 Under 40」にも選ばれています。CTOのショーン・ベネット氏は、ステラの立ち上げ直後に最初のゲートウェイを構築した開発者で、フィリピン系移民の家庭で送金手数料の高さを目にしてきたことが創業動機のひとつになったといいます。
プロダクト面では、2018年に発行したドル連動のStronghold USDが早い段階の実績にあたります。IBMが初期クライアントとなり、同社のBlockchain World Wire向けステーブルコインとして採用された経緯があります。パンデミック期には米国内決済へ軸足を移し、2020年には黒字化したと会社側は説明しています。第三者からの評価としては、Forbesの「FinTech 50」やInc.の成長企業ランキング「Inc. 5000」への掲載を会社側が強調しています。
トークン単体ではなく、ACHなどの既存レールへの接続、カード処理、ノーコードの決済リンク「Stronghold Direct」、支払いソースの追加やチャージを扱うAPI群、そしてStronghold USDといったドル建て商品が事業の本体にあたります。SHXはその上に乗るインセンティブ層、という整理が正確です。
SHXがネットワークの中で担う4つの役割
公式が挙げるSHXの用途は、大きく4つに分かれます。いずれも「トークンを持っていると何ができるか」ではなく、「決済事業のどこにトークンが噛んでいるか」という説明になっている点が特徴です。
ロイヤリティ/リワード
加盟店とその顧客が、決済ネットワーク上の取引高に応じてSHXを獲得します。加盟店は受け取ったSHXを手数料の相殺に充てたり、そのまま保有したりできます。
加盟店融資の流動性
SHXの流動性プールが、加盟店向け融資(マーチャントファイナンス)の原資を厚くします。事業者は数時間で申請から資金化まで進められると会社は説明しています。
手数料メリット
SHXを使うことで決済手数料の割引を受けたり、運用コストを相殺したりできます。加盟店にとって保有する実務的な理由がここにあたります。
ガバナンス
保有量に応じて、ネットワークの機能や実装方針に投票できます。運用ルールは公式ドキュメントで明文化されています。
ガバナンス投票のルールは明文化されている
ガバナンスは仕組みだけ用意して形骸化するケースが少なくありませんが、SHXは投票の実務ルールを公式ドキュメントで定めています。1トークンにつき1票で小数点以下はカウントせず、投票力はスナップショット時点の保有量で計算します。通常提案の定足数はアクティブな流通量の1%、ガバナンス規則そのものの改正には25%が必要で、可決には単純過半数または3分の2の特別多数が求められます。
2026年には、コミュニティ投票(Vote 8)を経てXRP Ledgerへのブリッジ実装が発表されました。会社側は「You Voted. We Built.(あなたが投票し、私たちが作った)」というトーンでこれを広報しています。
1,000億枚の固定供給と、600億枚を5年ロックする「梯子」
供給設計はSHXのわかりやすい特徴です。最大供給は1,000億SHXで固定されており、追加発行はありません。総供給はおよそ997.5億で、流通供給はデータソースによって幅があります。CoinMarketCapは約175.9億、Messariは約183億と示しており、最大供給に対する流通率はおおむね18%前後にとどまります。
数字が割れるのは、ロック分を除くかどうか、イーサリアム側の残高を含めるかどうかで定義が変わるためです。記事化や分析の際は単一の数値で断定せず、出典を添えたレンジで扱うのが安全といえます。
配布については、2018年末に総供給の約5%を初期ユーザーへエアドロップした以外に、公募での資金調達を行っていません。残りは発行体がエコシステム用途で保有する、というのが現行の公式説明にあたります。
毎月15日に1段ずつ上がる、オンチェーンのエスクロー梯子
「残りは発行体が保有」と聞けば、いつ大量に放出されるのかが気になるところです。ストロングホールドはこの点に対して、2025年からステラのスマートコントラクト基盤Sorobanを使った仕組みを導入しています。
60個の口座に各10億SHX、合わせて600億SHXをロックし、毎月15日に1口座分ずつ満期を迎える設計です。満期を迎えた分のうち使われなかったSHXは市場に出さず、そこからさらに5年間ロックし直します。必要な分だけが流通し、突然の大量アンロックが起きない構造になっています。
もっとも、これはトレードオフでもあります。需要が急に伸びた場合でも月あたりの供給上限が10億にとどまるため、機動的に供給を厚くすることはできません。約束としてではなくオンチェーンの梯子として実装した点が差別化になる一方、運用の柔軟性は意図的に犠牲にしています。
ステラを本籍に、イーサリアム・ソラナ・XRP Ledgerへ
SHXのネイティブチェーンはステラです。ステラはSCP(Stellar Consensus Protocol)とPoAを組み合わせており、秒単位での決済が可能で手数料は端数セントに満たない水準だと会社側は説明しています。マイニングを伴わないため、気候負荷の小さい暗号資産という点も訴求材料に挙げています。
2025年11月以降は、アップグレード版のERC-20トークンとAxelarを使ったブリッジによって、ステラとイーサリアムを1対1で接続できるようになりました。旧コントラクトから新コントラクトへの移行ページも用意されています。さらにソラナ、そしてガバナンス投票の成果としてXRP Ledgerへと展開が続いており、決済に特化したチェーンを横断して使えるようにする方向性が読み取れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Stronghold SHx(SHx/SHX) |
| 種別 | 決済エコシステムのユーティリティ/リワード/ガバナンストークン |
| ネイティブチェーン | ステラ(Stellar) |
| その他の対応チェーン | イーサリアム(ERC-20)、ソラナ、XRP Ledger |
| 最大供給量 | 1,000億SHX(固定・追加発行なし) |
| 小数点 | 7桁 |
| 初期配布 | 2018年末、初期ユーザーへ総供給の約5%をエアドロップ |
| 資金調達 | ICO・TGE・IEOのいずれも実施なし |
| 対応ウォレット | Freighter、Lobstr、Ledger、Stellar Wallet(公式掲載) |
| 公式サイト | stronghold.co/ja/shx |
国内初の取扱い|ビットトレードがSHXを取り扱う
SHXの現物取引は、これまで海外の取引所とステラのDEXが中心でした。金融庁が公開する暗号資産交換業者登録一覧(令和8年8月21日現在)では、国内27社のいずれもSHXを取扱暗号資産として届け出ていません。日本の投資家が円建てで直接購入する手段はなかったことになります。
今回のビットトレードでの取扱い開始は、この状況を変えるものです。同社は暗号資産交換業者として関東財務局長第00007号の登録を受けており、第一種金融商品取引業(関東財務局長(金商)第3295号)も併せ持ちます。日本暗号資産等取引業協会にも加入しています。
グリーンリストに載っていない銘柄が、国内で扱われるまで
国内で新しい銘柄が扱われる経路は2つに分かれます。判断の起点になるのは、自主規制団体である日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が公表するグリーンリストに載っているかどうかです。
グリーンリストは「本邦で広く取り扱われている暗号資産」として公表されるもので、掲載には次の4点をすべて満たす必要があります。3社以上の会員企業が取り扱っていること、1社が取扱いを開始してから6か月以上が経過していること、その取扱いにあたって協会が付帯条件を設定していないこと、そしてリストの対象とすることが不適当な事由が生じていないことです。掲載されている銘柄であれば、取扱いを希望する業者は自社で調査と評価を行うことで、協会審査を経ずに追加できます。
2026年8月31日現在、このリストに掲載されているのは30銘柄です。SHXのネイティブチェーンであるステラのXLMは、12社が取り扱う銘柄として名前を連ねています。一方でSHX自体は含まれていません。国内での取扱い実績がないため、ひとつ目の条件から外れます。
つまりSHXは簡易な経路を使えず、協会審査を正面から通す必要がある銘柄でした。審査を経た銘柄については、遅くとも取扱い開始日までに暗号資産概要説明書がJVCEAのサイトで公表されるため、発行体や仕組みに関する情報は誰でも確認できます。
これまで日本の投資家がSHXに触れるには、国内で購入した暗号資産を海外の取引所へ送金する手順が必要でした。送金時のネットワーク選択ミスや、海外事業者に資産を預けることに伴うカストディリスクを、国内の登録業者の口座内で完結させられる点が、今回の取扱い開始で変わる最も実務的な部分といえます。
ストロングホールド側のコメント|日本展開をどう位置づけているか
今回の取扱い開始について、SHXを発行するストロングホールドのプロジェクト関係者は次のようにコメントしています。
SHXの買い方|口座開設から購入までの手順
ビットトレードでSHXを買う場合、必要なのは口座開設と日本円の入金、そして購入操作の3段階です。海外取引所を使う場合と違い、送金の手間やチェーン選択の判断は挟まりません。
| 手順 | やること |
|---|---|
| STEP 1 | ビットトレードで口座を開設し、本人確認を済ませます。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類が必要です |
| STEP 2 | 銀行振込またはクイック入金で日本円を入金します |
| STEP 3 | 【要記入:販売所/取引所】でSHXを購入します。【要記入:対応ペア】で取引できます |
口座開設の具体的な画面遷移や必要書類は、ビットトレード(BitTrade)口座開設の手順で解説しています。あわせてご確認ください。
販売所と取引所では、同じ銘柄でも実質的な取引コストが変わります。販売所は提示された価格で即座に売買できる代わりにスプレッドが乗り、取引所は板に注文を出す形式で手数料体系が異なります。どちらで取り扱われるかは公式の告知でご確認ください。
ビットトレードでSHXの取引を始める
金融庁登録の暗号資産交換業者(関東財務局長第00007号)。国内の口座内でSHXの売買が完結します。
無料で口座開設口座開設には本人確認書類が必要です。取扱い条件・手数料の詳細は公式サイトをご確認ください。
関連ガイド
取扱事業者: ビットトレード株式会社
登録: 暗号資産交換業 関東財務局長第00007号/第一種金融商品取引業 関東財務局長(金商)第3295号。一般社団法人日本暗号資産等取引業協会 加入
公式サイト: https://www.bittrade.co.jp/
SHX発行体: Stronghold(2017年創業/発行関連はStronghold Anchor Limitedの記載あり)
SHX公式: https://stronghold.co/ja/shx
出典:ストロングホールド公式サイトおよび公式ドキュメント、EU MiCAホワイトペーパー、CoinMarketCap、Messari、金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年8月21日現在)、日本暗号資産等取引業協会「グリーンリスト」(2026年8月31日現在)および「暗号資産の取扱いに関する規則」。国内初の取扱いである旨は、同一覧に掲載された全27社の届出内容を確認したうえで記載しています。流通供給量および価格に関する数値は出典により差があり、いずれも記載時点のものです。



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日本市場でSHXを取り扱っていただけることを、大変光栄に思っています。今年私たちが進めてきた取り組みのなかでも、日本への展開はとくに大きな意味を持つものです。
日本は暗号資産に対して高い基準を求める市場です。私たちは、その厳格さこそが日本市場の強みだと考えています。BitTradeを通じてSHXに触れる日本のユーザーの皆さまは、すでに慎重な審査・確認を経た環境のなかでSHXを知ることになります。私たちにとって、これは大きな意義があります。
Strongholdは創業以来、規制された金融システムのなかで決済インフラを構築してきました。暗号資産の制度上の位置づけを明確にしようとしている日本市場でSHXを展開できることは、私たちが積み上げてきた取り組みと自然に重なります。
日本の決済市場が重んじる信頼性、分かりやすさ、顧客本位の姿勢は、私たちがプロダクトで実現したい価値観と同じものです。日本市場から学びながら、サービスを磨いていきたいと考えています。
BitTradeには、これまで優れたパートナーとしてご協力いただいてきました。日本で初めてSHXを取り扱う暗号資産交換業者になっていただいたことを、うれしく、誇りに思います。
今回の日本展開は、私たちにとってアジア市場への重要な第一歩です。日本のユーザーの皆さまと長期的な関係を築き、信頼していただける存在になれるよう取り組んでまいります。
ストロングホールド プロジェクト関係者