- テザー問題で高まる規制下のステーブルコインの需要
- テザーの不正発覚の影響を受け、ステーブルコイン「 Paxos Standard (PAX) 」が、18時間で1000万枚以上の新規発行。PaxosのCEOは急激な需要の高まりを指摘した。
テザー問題で高まるステーブルコインの需要
26日テザー(USDT)に関わる不正発覚の影響を受け、18時間で米ドルのステーブルコイン「 Paxos Standard (PAX) 」の発行量が1000万を超える事態となった。PaxosのCEO Chad Cascarilla氏は、「昨日から一晩中、大量に発行がなされた」と話し、急激な需要の高まりがあったことを指摘した。
またCascarilla氏は、以下のようにも語った。
確実に(テザーの)ニュースが影響している。テザーや米ドルとPAXとの取引が顕著に見受けられるからだ。
我々は、PAXを事前に発行することはなく、取引高は市場の需要に比例して上下する。つまり、今回の上昇は、テザーのニュースを受けて市場からの需要が高まっていたことを示す。
今回判明しているだけでも、新たに13,737,199.87 PAXが新規発行され、3,354,741.74 PAXが買い戻しされている。
また、PAX以外にも、USD CoinやGemini dollar、DAIなど他のステーブルコインの価格も需要が増加。それらも米ドル価格を上回る格好となった。
相場に加えて、今回のステーブルコインの急激な需要の高まりのように、様々な方面で影響を及ぼしている「テザーショック」であるが、今後はどのような展開をみせていくのか。その影響力の大きさから慎重な判断が必要とされるだろう。
「テザー事件」の経緯と新たな展開
米ニューヨーク州の司法長官が26日、仮想通貨取引所Bitfinex・USDTを発行するTether社の親会社iFinexに対して、取得した裁判所命令を発令した。この発表で、ステーブルコインのテザー(USDT)の裏付け資産から8億5000万ドル(約950億円)の資金を不正に利用していたことが発覚。仮想通貨市場には一時的急落をもたらした。
しかしその直後にはBitfinexが上述の指摘を全面否定した。なお同取引所の株主数人はBitfinexとテザー社に対して動かぬ信頼を示した。
株主の1人である中国のビットコイン億万長者Zhao Dong氏は、CoinDeskの取材に対し、BitfinexとTether双方へ「サポート的」であると話した。また米ニューヨーク州司法局の「消失した資産がBitfinexとその顧客の混ざりである」との非難についても「全ての資産はクライアントに属するもの」と反論を明示した。