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DAT企業とは?仮想通貨を保有する上場企業の戦略と投資リスクをわかりやすく解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインを会社の金庫に組み込み、保有量を増やし続けることを経営の中心に据える企業が増えています。こうした企業をDAT(Digital Asset Treasury)企業と呼びます。

Strategyは2026年4月時点で70万BTC超を保有し、日本でもメタプラネットが「アジア版Strategy」として注目を集めています。さらに最近では、ETHやXRP、SOLを戦略資産に据える企業も登場するなど、こうした動きは世界的に広がりを見せています。

本記事では、DAT企業の定義・仕組み・戦略タイプ・投資リスクまでを整理します。

💡この記事でわかること
  1. DAT企業とは?定義と仕組み
  2. DAT戦略が広がった3つの理由
  3. DAT企業の3つの戦略タイプと代表企業8社
  4. DAT企業への投資リスクと注意点
  5. まとめと今後の展望

DAT企業への投資を検討している方に

DAT企業とは?定義と仕組み

まずはDAT企業の基本的な定義と、戦略の基本的な仕組みを押さえておきましょう。

DAT企業の定義

DAT企業とは?単なるBTC保有企業との違いを比較した図

「DAT企業」の定義は業界で完全に統一されているわけではありませんが、米調査会社Galaxy Researchは次のように定義しています。

「DAT企業とは、ビットコインやその他のデジタル資産を、主要な戦略的機能としてバランスシートに保有する上場企業。デジタル資産への付随的な関与にとどまる従来型企業とは異なり、DAT企業は保有量を積極的に増やすことを明確な目的として掲げている。投資家はこれらの企業を、保有資産へのレバレッジのかかったハイベータのエクスポージャーとして捉えている」

出典:Galaxy Research『Digital Asset Treasury Companies』

わかりやすく言うと、「デジタル資産を増やすこと自体を戦略の中心に据えている企業」をDAT企業と呼び、単に暗号資産を保有しているだけでは該当しないとしています。

例えば、テスラは2026年3月時点で11,000BTC以上のビットコインを保有していますが、あくまでも本業は自動車・エネルギー事業であり、ビットコインの保有拡大を中核戦略とはしていません。そのため、テスラはDAT企業には分類されません。

なお、Galaxy Researchはマイニング(採掘)の副産物としてデジタル資産を保有する企業も除外しています。

なお、DAT企業というとストラテジーやメタプラネットなどビットコインを保有するDAT企業が特に名前があがりやすいですが、保有する資産はビットコインだけとは限りません。イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)といったアルトコインを戦略資産に据える企業も登場しています。

資産ごとに保有する理由は異なります。ビットコインは発行上限2,100万枚という希少性と「デジタルゴールド」としての認知度の高さから、インフレヘッジ・価値保存手段として選ばれるケースが多いです。一方、イーサリアムはステーキングによって年率数%程度の報酬を得られる点が特徴で、「保有しながら利回りを生む」運用が可能です。実際にSharpLinkやTORICOは保有ETHの大部分をステーキングに回し、インカムゲインを得る「稼ぐトレジャリー」モデルを掲げています。

企業だけでなく、個人でもイーサリアムやソラナのステーキングに参加することができます。取引所でETHやSOLを購入し、ステーキング報酬を受け取れるサービスも国内で利用可能です。ステーキングの仕組みや始め方については、以下の記事で詳しく解説しています。

イーサリアム(ETH)ステーキングとは?

始め方・おすすめ取引所・報酬の受け取り方を解説

イーサリアム
【2026年最新】仮想通貨ステーキング利率ランキング|取引所別おすすめ比較

国内取引所のステーキング対応銘柄・利率を一覧で比較

ステーキング

DAT戦略の基本サイクル

DAT戦略の基本サイクルを示した図 好循環サイクルと逆回転リスク

DAT企業は、以下の流れでデジタル資産を増やしています。

DAT企業による資産運用の4ステップ

  • 株式や社債の発行で資金を調達する
  • その資金でデジタル資産を購入・運用する
  • 保有状況や戦略を投資家に開示する
  • 企業価値が高まり、次の資金調達がしやすくなる

上記のサイクルがうまく回ると、1株あたりの保有量が増え、株主の利益につながります。ただし、価格下落時は逆回転するリスクもあります。

このサイクルの「回り具合」を測る指標として、投資家の間で広く使われているのがmNAV(修正純資産倍率)です。

mNAVは「企業の株式時価総額 ÷ 保有デジタル資産の時価」で計算されます。mNAVが1倍であれば、株価・企業価値が、企業が保有するビットコインの純資産価値と一致している状態

  • mNAVが1倍を上回る(プレミアム):株式市場がDAT企業の将来性や戦略に高い期待を寄せている状態。
  • mNAVが1倍を下回る(ディスカウント):会社が保有しているデジタル資産の時価より安く評価されている状態。

出典:メタプラネット

例えば、メタプラネットは2025年、保有ビットコインの純資産価値に対してmNAVが8倍超となる時期がありました。これは、BTC保有価値に対して8倍近いプレミアムが乗っかっていたことを意味します。

DAT戦略が広がった3つの理由

ここ数年でDAT戦略を採用する企業が急増した背景には、主に3つの理由があります。

理由① 現金だけでは資産を守りにくくなった

インフレ・通貨下落・地政学リスクにより、現金を持ち続けること自体がリスクだという認識が広がりました。こうした流れから、総発行量が2,100万枚に限られるビットコインを「デジタルゴールド」として、会社の資金運用に組み込む企業が増えています。
関連:ビットコインは本当に「デジタルゴールド」か?金との相関性・違いを解説

理由② 制度が整い、企業が株主に説明しやすくなった

DAT戦略を後押しした2つの制度変更があります。

2023年:米国会計基準の改正(FASB ASU 2023-08)が成立

暗号資産を時価で評価できるルールが決まった(強制適用は2025年から。早期適用で2024年に導入した企業もある)。以前は値上がりしても決算書に反映できなかったが、この変更で「なぜ持つのか」を株主に説明しやすくなった。

2024年1月:米国でビットコイン現物ETFが承認

暗号資産が伝統的な金融市場で正式に認められる転機となった。

参照:Galaxy Research『Digital Asset Treasury Companies』

理由③ 会計・監査・ガバナンスのノウハウが蓄積されてきた

暗号資産の保管・送金・社内承認などの実務ノウハウが蓄積されてきました。以前は管理面の懸念がありましたが、専門サービスやガイドラインが充実し、経営陣でも判断しやすくなっています。

DAT企業の3つの戦略タイプと代表企業8社

DAT企業の3つの戦略タイプ比較図 余剰資金の最適化型・コア資産運用戦略型・運用事業連携型

デジタル資産の位置づけや増やし方は企業ごとに異なります。ここでは、3つのタイプに分け、代表的な8社を紹介します。

代表企業8社の比較表

戦略タイプ 企業名 主な保有通貨 保有のねらい
コア資産運用戦略型 Strategy(米) BTC 現金の代わりに資産運用の中心としてBTCを活用
メタプラネット(日) BTC BTCトレジャリー企業としての位置づけを強める
余剰資金の最適化型 Semler Scientific(米) BTC 余剰資金の価値保存・インフレ対策
運用・事業連携型 Bit Digital(米) ETH ETH保有+ステーキングを事業の軸に転換
SOL Strategies(加) SOL Solana運用(流動性ステーキング等)で収益追求
SharpLink Gaming(米) ETH ETH保有+ステーキング報酬の積み上げ
gumi(日) BTC・XRP XRPを戦略資産に、ステーキング等の運用も展開
TORICO(日) ETH 日本No.1イーサリアム運用会社。ステーキング運用を本格化

上記以外にも、世界・日本でビットコインを保有する上場企業は増えています。保有量ランキングや企業については以下の記事でをご覧ください。

DAT企業への投資を検討している方に

コア資産運用戦略型

転換社債やATM(段階的な新株発行)で資金を集め、デジタル資産の購入に充てるタイプです。「会社の金庫そのものをデジタル資産で作る」という考え方で、保有量を増やすこと自体が企業の目的になっています。

① Strategy(旧MicroStrategy)(米)

Strategyは、1989年創業のデータ分析ソフトウェア企業で、DAT企業の先駆けです。2020年8月、マイケル・セイラー氏の判断でビットコインの大量購入を始めました。当時の余剰資金は約5億ドル。セイラー氏はこれを「溶けていく氷」と表現し、最初の約2.5億ドルをビットコインに転換しました。

以降、転換社債やATMで資金調達を続けながらビットコインを買い増し、社名もStrategyに変更しました。独自指標「BTCイールド」(1株あたりのBTC増加量)を開示しており、新株発行による希薄化をこの指標が上回っているかが、戦略の効果を見る目安になります。

参照:Strategy IR「MicroStrategy Adopts Bitcoin as Primary Treasury Reserve Asset」

② メタプラネット(日)

東証スタンダード上場の元ホテル事業会社で、日本で初めて本格的なビットコイントレジャリー戦略を打ち出しました。
2024年4月にビットコインを資産運用の中核に据える方針を発表しました。同社のCFOは「円の価値が下がるなか、ビットコインで保有することでインフレ回避になる」と説明しています。社債や新株予約権(ワラント)でビットコインを繰り返し購入しています。

「アジア版Strategy」とも呼ばれ、BTCイールドに相当する指標を日本の投資家向けに開示しています。日本の証券口座から購入できるDAT企業として注目度は高いですが、時価総額が一時1兆円を超えた後に大きく調整した場面もあり、株価の振れ幅はビットコイン以上になることがあります。

参照:メタプラネット開示資料

余剰資金の最適化型

コア型のような大規模な資金調達はせず、本業から生まれるキャッシュフローの中からビットコインなどを購入するタイプです。既存事業はそのまま維持し、余った資金を現金のまま置くのではなく、デジタル資産に換えて保有しています。

③ Semler Scientific(米)

Semler Scientificは、末梢動脈疾患(PAD)検査機器を手がける米国の医療テクノロジー企業です。2024年5月、取締役会がビットコインを主要なトレジャリー資産に採用すると決定し、最初の購入として581BTC(約4,000万ドル)を取得しました。

会長のエリック・セムラー氏はビットコインを「デジタルゴールド」と呼び、金よりまだ上昇余地があるとしています。当初は既存事業のキャッシュフローを原資にしていましたが、その後ATMや転換社債も活用し購入規模を拡大中です。BTCの保有方針だけでなく、既存事業の業績もあわせて確認しておくとよいでしょう。

参照:Semler Scientific プレスリリース「Semler Scientific Announces Bitcoin Treasury Strategy」

運用・事業連携型

デジタル資産を保有するだけでなく、ステーキングやバリデータ(取引承認)の運営、DeFiなどの運用を組み合わせ、利回りも生み出すタイプです。

④ Bit Digital(米)

元々はビットコインマイニングを手がけていた企業です。ETHステーキングへ徐々にシフトし、2025年6月にETH専業のトレジャリー企業への転換を発表しました。
同社はBTC保有分も段階的にETHへ転換する方針で、マイニング事業は売却または終了を進めています。ETH価格への依存度が高い点には注意が必要です。

参照:Bit Digital プレスリリース「Strategic Shift to Ethereum Treasury and Staking Operations」

⑤ SOL Strategies(カナダ)

Solanaエコシステムに特化したカナダの上場企業(CSE: HODL / NASDAQ: STKE)です。複数のSolanaバリデータを運営し、2026年1月に流動性ステーキングトークン「STKESOL」を発行しました。

STKESOLの実績

  • ローンチ時:50万SOL超がステーキング
  • 68万SOL超に拡大
  • 全体で約330万SOLを運用

バリデータ運営の報酬とSTKESOLの手数料が、同社の主な収益源となっています。

参照:SOL Strategies プレスリリース「Launches STKESOL Liquid Staking Platform」

⑥ SharpLink Gaming(米)

ミネソタ州に本社を置くオンラインゲーム企業で、イーサリアムを主要トレジャリー資産に据えています。ETHを購入し、保有分の100%をステーキング・リステーキング(さらに別のプロトコルに預けて追加報酬を得る手法)に回しています。
会長にイーサリアム共同創設者のジョセフ・ルービン氏が就いており、ETH特化の戦略にはこの人事も関係しています。独自指標「ETH Concentration」(1,000株あたりのETH保有量)を開示しています。

参照:SharpLink Gaming IR「Grows ETH Holdings to 205,634」

⑦ gumi(日本)

モバイルゲーム「ブレイブ フロンティア」などで知られる東証スタンダード上場企業です。

XRPトレジャリー戦略の主な動き

  • 2025年8月:25億円相当のXRP購入を決定
  • 2025年10月:新株予約権で追加資金を調達し、XRPを買い増し
  • Evernorth社(米国でXRPトレジャリー上場を計画する企業)のPIPE(上場企業が行う私募増資)に500万ドルを出資

筆頭株主のSBIホールディングスがXRP推進の中心であることからXRPを戦略資産に選び、バリデータ運営やレンディング(貸し出し)でも収益を狙う方針です。

参照:gumi プレスリリース「Evernorth社PIPEへの出資」

⑧ TORICO(日本)

「漫画全巻ドットコム」を運営する東証グロース上場企業で、2025年からイーサリアムトレジャリー事業を本格的に開始しました。「日本No.1イーサリアム運用会社」を掲げ、SBI VCトレードと連携し、保有ETHからインカムゲイン(運用益)を生む「稼ぐトレジャリー」モデルを目指しています。
既存事業とは別の収益源としてETH運用を位置づけた、日本では先駆けとなる企業です。

参照:SBI VCトレード × TORICO 連携プレスリリース

DAT企業への投資リスクと注意点

ここでは、通常の株式投資にはない、DAT企業に関するリスクについて解説します。

投資家が知っておくべきリスク

株式の希薄化リスク
DAT企業はATMやPIPEで新株を発行して資金を集めるため、既存株主の持分が薄まる可能性があります。

プレミアム崩壊リスク
DAT企業の株価はNAV(暗号資産の時価)を上回る「プレミアム」で取引されがちですが、市場環境の悪化でプレミアムが剥がれ、割安に転じることがあります。

価格変動の増幅
DAT企業の株価は暗号資産の値動き以上に大きく動くため、上昇局面では利益も大きい反面、下落時の損失も大きくなります。

構造リスク
Galaxy Researchは、多くのDAT企業が同じ方向(買い増し)の取引を行っているため、資金環境の悪化時に一斉売却(アンワインド)が起き、暗号資産市場全体が下落し、DAT企業の株価にも波及するリスクがあると指摘しています。

企業・制度面のリスク

東証の監視強化
あるメディアの調査によると、日本でDAT戦略を発表した上場企業30社のうち19社に「継続企業の前提に関する注記(経営が危うい可能性を示す記載)」等が記載されていました。既存事業の収益が安定していない企業がDAT戦略に向かうケースが多いことがうかがえます。
東証は「リスクやガバナンスの観点から懸念がある場合は対応する」との方針を示しています。

NYSEの先例
NYSEは2024年7月、上場企業が「主な事業内容」を大幅に変更した場合に上場廃止基準の対象とする規則を定めました。今後、日本でも同様の議論が起こる可能性があります。

参照:NRI 大崎貞和『話題を呼ぶDAT企業』

ガバナンス・セキュリティ
投資の判断をする前には、次のような体制が整っているかも見ておくとよいでしょう。

確認すべきポイント

  • 暗号資産の送金管理
    誰がどう動かすか
  • 秘密鍵の保管体制
    カストディの仕組み
  • 内部承認フロー
    取締役会・経営層の関与
  • サイバーリスク対策
    ハッキング・不正送金への備え

DAT企業への投資を検討する際は、ビットコインを直接保有する場合との違いも把握しておくとよいでしょう。

関連:ビットコインと仮想通貨関連株はどちらを買うべき?メリット・デメリットを解説

まとめと今後の展望

DAT企業は暗号資産を「ただ持っている」のではなく、増やし方から資金調達、投資家への説明まで一体で組み立てている企業です。

DAT企業に関しては、今後は次の3点が注目されます。

今後の注目ポイント

  • 保有対象の多様化
    BTC以外にETH・SOL・XRPなど、ステーキングで利回りを狙える資産に手を広げる企業が増えている
  • 制度面の変化
    日本では分離課税化やETF承認の議論が進む一方、東証による監視強化も並行する可能性がある
  • 企業の選別
    プレミアムを維持できる企業とそうでない企業に分かれていく
    資金を集める力や、本業で利益を出せているかどうかがポイントになる

DAT企業への投資を検討している方に

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